santorini favaサントリーニ島の料理で有名なものといえば「ファヴァ」と「ドマトケフテデス(プセフトケフテデス)」ではないでしょうか?どちらも島の名産を使用した料理ですが、今回はファヴァについての話題です。

まず最初に「ファヴァ」というと一般的にはそら豆を指すようですが、ギリシャではラスーリ(λαθούρι、英語ではグラスピーgrass pea)と呼ばれる小さな豆のことで、一般的に皮を剥いた割り豆の状態で売られています。これを長時間煮てピュレにしたものはレストランでもお馴染みの料理で、ギリシャ全土で作られるようですが、特にキクラデス諸島サントリーニ島のものが有名です。

サントリーニの人々はファヴァにとてもこだわりがあるようで、その調理法にもいくつかの決まりがあります。最も大切なのは水を最初からたっぷり加え途中で足さないこと、そして勝手にピュレ状になるまでじっくり煮込むことだそうです。

そして最も基本、忘れてはいけないのが「サントリーニ産のファヴァを使うこと」。水分の少ない火山灰質の土地で育ったファヴァは、味が凝縮されているといいます。しかしサントリーニは小さい島なのでファヴァの生産量もごく僅か。島で作られるファヴァは、ほとんど島民達によって消費されます(※)。その希少価値もあって、ファヴァ伝説が出来たのではないでしょうか?


※追記:記事執筆後数年の間に地方特産品の需要が伸びたため、サントリーニ産のファヴァも入手しやすくなりました。
少し前に紹介したプラカの店でサントリーニ産のファヴァが売っていました。値段も見ずに買ってしまったのですが、500gパックがなんと9ユーロ近くもしました。普通のファヴァが1ユーロ前後なのに対し、かなりの高級品です。その値段の価値はあるのか、家に帰って早速煮てみました。

じっくり煮てピュレ状にしたファヴァの味を見て「???」。もっと味に深みがあるかと思ってたら、意外にもラフな感じです。どうも納得いかなくて、今度は家にあったギリシャ本土フェネオス産のファヴァも煮て、味比べをしました。こちらは馴染みのある味。ファヴァ嫌いなギリシャ人の夫に無理矢理食べさせると、サントリーニ産は「味がない」フェネオス産は「こっちのがまだおいしい」という感想でした。じゃ、サントリーニ産ファヴァの立場は!?と、またまた納得いかず、日本にまで持って行って味見をしてもらうことにしました。

京都のカフェ「猫町」で約10名に試食して頂いた結果、味・食感共にかなり意見が分かれ、結局引き分けということになりました。私個人の感想はサントリーニ産がゴツゴツした火山灰質の土地をイメージさせる、スパイシーで個性的な味なのに対し、フェネオス産は緑の大地をイメージさせる、ふんわり甘みもあるやさしい味でした。ちなみに私はサントリーニのファヴァ全部を食べ比べしたわけでもないので、あくまで個人的な感想だということをおことわりしておきます。

※写真は左がサントリーニ産、右がフェネオス産のファヴァです。

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