vlita & stifnos1雨がほとんど降らない夏の間は、ほうれん草や野草も市場からほとんど姿を消してしまいます。代わりに登場するのがブリタ(アマランサス)やグリストリーダ(スベリヒユ)。今回はブリタについて書きます。

ブリタ(写真:下左)は上にも書いたようにアマランサスのことで、色鮮やかな鑑賞用のものもあれば、緑や赤っぽい色の葉を食用にしている国も多いです。日本では南米原産のアマランサスが雑穀・スーパーフードブームでよく知られるようになりました。ギリシャで普通見かけるのは、地中海原産のAmaranthus blitum。葉や柔らかい茎が食用にされ、古くから食べられています。

各種ビタミンの他、鉄分やカルシウムも多く含み、栄養たっぷりのブリタは、暑い夏を乗り切るのにもぴったりです。
味は少しほろ苦いもののマイルドで滋味があり、茹でて「ホルタ」として食べる他、ガーリックオイルで炒めたり、パイのフィリングにしたり、また煮込みに入れても美味しいです。

ブリタよりマイナーな存在のスティフノス(写真:下右)は、ほろ苦い味がブリタとよく合うとされています。私もブリタを茹でサラダ(ホルタ)として食べる時は、よくスティフノスとズッキーニを一緒に茹でます(写真:オイルをかける前の状態です)。もう少しボリュームが欲しい時は、ジャガイモも茹でるといいです。私はどちらかと言うとレモンやビネガーは加えずに、塩とオリーブオイルのみで食べるのが好きです。

スティフノスはナス科のSolanum nigrum。和名ではイヌホオズキと呼ばれ、日本全土でも見られる史前帰化植物です。アルカロイド系の毒であるソラニンが含まれるため毒草として知られますが、ギリシャでは食用とされアテネの青空市場でもよく見かけます。今回気になって少し調べてみたのですが、漢方でも使われるんですね。生薬名は龍葵(リュウキ)で、利尿・解熱・強壮の薬として、あと口角ヘルペス・たむし・ものもらいなどにも効くそうです。古代ギリシャでも同様に、薬として用いられていたようです。

毒性植物なので使い方に注意が必要ですが、ギリシャの、特にクレタ島では割と普通に食用にしています。若い葉や茎のみを使い、ギリシャ流に長時間茹でる方法だと毒が抜けるのでしょうね。上に書いた茹でサラダの他、夏野菜の煮込みなどに加えても美味しいです。他にも毒のある植物はよく食用にされていて、その調理方法もさまざまで興味深いです。

※アマランスは妊婦や授乳中の女性は食べない方がいいという説もあります。
※ブリタは正確には「ヴリタ(βλήταもしくはβλίτα)」ですが、オリーヴ=オリーブなどと同じく「ブリタ」にしてみました。ブログ内の他の記事と統一されてなくて読みにくいかもしれませんが、ご了承下さい。

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