秋の訪れを感じるサインのひとつが、市場で見かけるムストス(葡萄の絞り汁を発酵しないよう安定させたもの)や、スーパーで山積みにされているムスタレヴリァとムストクルラ。

2012.10.07 moustokouloura1

葡萄の旬は8月頃からなのだけど、ムストスが並び出すのは大体9月に入ってからのようです。例によって、載せるのが大幅に遅れてしまいましたが……。

2012.09.29 moustos petimezi

私がよく行く青空市場でも、こんな風に売られています。

ムストスについては以前にも紹介しましたが、葡萄の絞り汁に木灰を加えて加熱し、濾したものです。加工してあるとは言えこれはそれほど日持ちは良くないようで、保存するにはシロップ状になるまで煮詰めペティメジにしたり、ムスタレヴリァを作って乾燥させたりします(※)。

そのムストスやペティメジを使ったお菓子として最も一般的なのが、上で挙げたムスタレヴリァやムストクルラ。ムスタレヴリァは過去記事を参照して頂くとして、今回はムストクルラについてご紹介します。

ムストクルラはギリシャの家庭でよく作られるクルラキャ(ビスケット、クッキー)のひとつで、ペティメジや冷凍保存したムストスを使えば一年中作れますが、特にムストスのシーズンである秋のお菓子です。
基本的な材料をムストスまたはペティメジ、植物油、小麦粉、スパイス、膨張剤とし、この手のお菓子としてはヘルシーなので子供のおやつとしても最適。捏ねて丸めるプロセスが簡単かつ楽しいので、うちではよく子供と一緒に作っています^^

今回書いてみたレシピはペティメジヴァージョンのソフトタイプムストクルラです。日本ではなかなか作りにくいかと思いますが、機会があれば是非お試し下さい。

※ムスタレヴリァを長期保存するには、出来上がったものを一口大に気って日干しにしたり、また、スジュキというお菓子にします。スジュキは紐に胡桃を数珠繋ぎにし、ムスタレヴリァの液体に何度もくぐらせてサラミのような形にして乾燥させたもの。


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葡萄シロップとスパイス風味のソフトクッキー(ムストクルラ)

材料:(13〜15個分)
ペティメジ...1/2カップ
オレンジの絞り汁...1/2カップ
オリーブオイル又はサラダ油...1/2カップ
塩...ひとつまみ
薄力粉〜中力粉...2 ½カップ
ベーキングパウダー...小さじ1
重曹...小さじ1/2弱
シナモンパウダー...小さじ1/2
クローブパウダー...小さじ1/4(約5粒分)
白ごま(飾り用に好みで)...適量

ペティメジ〜塩までの材料を大きなボウルに入れて、スプーンかヘラで混ぜ合わせる。

小麦粉〜クローブまでの材料をふるい入れ、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。生地は柔らかめで、ふわっとした感じになるが、もし柔らかすぎるようなら粉を少し足す。

オーブンは170度に予熱する。

ゴルフボール大の生地を手に取り、12cm〜15cmぐらいの紐状にのばして好みの形に成形し、クッキングシートを敷いた天板にのせる。成形の仕方はカタツムリ(渦巻き)型または以前載せたクルラキァのレシピを参照。

2012.10.07 moustokouloura2残りの生地も同様に成形し、間隔を少し開けて並べる。好みでごまを適量ふりかける。

オーブンに入れ、約15分焼いて出来上がり。※オーブンの癖によって、必要なら焼き時間や温度は調整して下さい。

MEMO:ペティメジはガムシロップぐらいの濃度のサラッとしたタイプを使いました。ご使用のペティメジが濃いタイプなら、少し水で薄めて調整して下さい。
使用するペティメジやムストスによって仕上がりが違ってくるのですが、このレシピだと(薄いペティメジを使った場合)あまり甘くないムストクルラになります。もっと甘いのがお好みなら砂糖を適量足して下さい。