なすを使って、肉も入ったボリュームのある料理を作りたいなと考えていて、チョブレキのことをふと思い出しました。

2019.07.13 tsobleki
Τσομπλέκι

北ギリシャのマケドニア地方、特にエデッサでよく見られる郷土料理なのですが、試しに検索してみても少ししか情報が出てこないので全国的な知名度は低そうな料理です。牛肉のトマト煮をなすやポテトと重ねたもので、なんとなくムサカを思い出させるものがあります。

そうそう。大事なことなので最初に言っておきますが、「チェブレキ」ではなく「チョブレキ」なのでお間違えなく。


2019.07.15 giouvetsi

この料理の特徴のひとつとして、基本的にひとり分ずつ小さな土鍋や金属製の丸型に入れて作り、食べる時は容器のまま食卓に出すのではなくひっくり返して皿に出します。容器の底にはフェタチーズをひと切れ、その上に真っ赤なフロリナペッパーをひと切れ。控えめな量のそれらの色合いと味がアクセントになっています(※)。


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チョブレキにまつわる思い出……というほどのことでもないのですが、いつだったか夫がサッカー仲間か誰かと話していてこの料理のことを聞いたと言っていました。その時に、「どんな料理か知ってるから作ってあげよう!」と思いつつ忘れてしまって早数年。このエピソードはもう夫の記憶からはすっかり消えてしまったようですが、チョブレキは大好評でした。


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久しぶりにレシピを書いてみましたので、ぜひお試し下さいね。ボリュームはあるのだけど重すぎず、とってもおいしい料理です!肉の煮込みを作って、野菜を焼いて……と少し手間と時間のかかるこの料理。全工程を一気にすると大変ですが、分けて作業すると結構簡単ですよ。

ちなみに牛肉の煮込み単品だとタス・ケバップ(タス・ケバブ)という料理になります。今回はひと粒で2度おいしいレシピ(笑)実はタス・ケバップは昔クックパッドに載せてたのですが、ブログに移行してからなんとなく再掲載してなかったもののひとつ。焼きなすとチーズをたっぷり加えたベシャメルソースの上に盛り付けると、ギリシャではコンスタンティノープル料理として知られるヒュンキャル・ベエンディ(ヒュンカル・ベエンディ)という料理になります。


※フェタチーズやフロリナペッパーはもっと多く加える人もいますが、基本的に少なめの量にするのが様式美という気がします。


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牛肉のコンスタンティノープル風トマト煮込み(タス・ケバップ/タス・ケバブ)

材料:(4人分)
牛肩肉...800g
玉ねぎ...大きめ1個
にんにく...2かけ
トマト...大2〜3個(またはトマト缶1缶)
オリーブオイル(またはオリーブオイルとバター半々)...適量
砂糖...小さじ1
ホールスパイス(シナモン、オールスパイス、クローブ、ベイリーフ。全部入れてもあるものだけでも)...1/2本、5粒、2〜3粒、1枚
ワイン(あれば好みで。赤でも白でも)...1/3カップ
塩、胡椒...適量

牛肉は余分な脂は除き、2.5cm角ぐらいに切る。玉ねぎ、にんにくはみじん切り、トマトはチーズおろしの大きな穴ですりおろすか皮をむいて刻む。


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フライパンを熱し、オリーブオイル(またはオイルとバター)をひく。重ねず入るだけの肉を加え、焼き付ける。肉汁を焦がしすぎないよう火加減に注意し、全体に色づいたら鍋に取り出す。残りの肉も同様に焼く。


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肉を焼いたフライパンに玉ねぎとにんにくを加え、しんなりするまで弱火で炒める。トマトと砂糖を加え、トマトが崩れるまで潰しながら煮る。スパイス類とワイン、塩小さじ2/3程度を加え中火でアルコールを飛ばす。


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トマトソースを肉の入った鍋に加え、水分が足りないようなら水を少量足す。蓋をして、肉が柔らかくなるまで弱火で(肉の質によるが2時間ぐらい)煮込む。途中、もし水分が足りないなら水を足すが、できあがりは汁っぽくなくとろみのあるソースになるよう仕上げる。塩胡椒で味をととのえる。

MEMO:牛肉で作る場合が多いですが、ラム肉を使ってもいいです。牛肉は肩肉としましたが、脂が少なく煮込みに適した部位なら何でもいいです。スパイスはお好み&あるもので。パウダーしかなければ最後の方で適量加えて下さい。


マケドニア風牛煮込みと野菜の重ね焼き(チョブレキ)

材料:(4人分)
タス・ケバブ...上記レシピの分量
米なす...大1個
じゃがいも...大きめ5〜6個
赤ピーマン(赤バナナピーマンかパプリカ)...大1個
塩、オリーブオイル...適量
フェタチーズ...10×3×1cmぐらいに切ったもの4切れ
丸型テラコッタ容器または他の耐熱容器...直径約14cmのもの4つ


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なすは1cmくらいの厚さにスライスし、塩をふってしばらく置く(灰汁抜き&油の吸収をおさえるため)。流水ですすいで水気を絞る。じゃがいもは皮をむいて5mm厚さにスライスする。
フライパンを熱し、オリーブオイル適量をひいてなすを重ならないように並べ焼く。柔らかくなり色づくまで両面焼き、キッチンペーパーに取る。残りのなすとじゃがいもも同様に焼く。

赤ピーマンは直火かグリルで皮が黒くなるまで焼く。粗熱が取れたら皮をむき、ヘタと種も除いて縦4つに切る。

オーブンは200℃に予熱する。


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耐熱容器の底にフェタチーズを1切れ置き、その上にクロスさせるように赤ピーマンを1切れ重ねる。次になすを1段、じゃがいもを1段並べて重ねていく。さらにその上にタス・ケバブ、最後にじゃがいもをもう1段重ねる。残りの容器にも同様に材料を重ねて入れる。

予熱したオーブンに入れ、グツグツするまで15〜20分焼く。5分ほど休ませ、耐熱容器の上に皿をかぶせひっくり返し取り出す。


MEMO:使用する容器はパイ皿のようなものでもいいですが、側面がなるべく斜めになってないものの方がうまくできます。赤ピーマンはグリルするのが面倒なら4つに切ったのを他の野菜同様フライパンで焼いてもいいです。もしくは、瓶詰めのフロリナペッパーを使っても。



野菜の下準備、別の方法:私の著書「ギリシャ料理に誘われてアテネへ」に掲載したムサカのレシピでも紹介した方法なのですが、野菜を焼くのもオーブンでやってしまうと一気に仕上げられるので、どちらでも楽に感じる方でどうぞ。薄くオイルを絡めた野菜を天板に並べて焼くとフライパンで焼くより手間が少なくオイルの量も控えめにできます。