ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:煮込み

セロリをたっぷり食べたくなったので、冬の定番煮込み、ヒリノ・メ・セリノを作りました。

2024.01.16 hirino me selino1a
豚肉とセロリの煮込みで、ポロねぎを入れることも多く、その場合はヒリノ・メ・プラソセリノといいます。ギリシャ語のセリノはセロリのことですが、中国野菜の芹菜に似た、茎が細いタイプです。地中海沿岸地域が原産地と言われるセロリは、古代ギリシャでは薬用や魔よけなどに使われていたそう。冠にしてかぶったという記述もあるようですが、原種は茎が細いものだったと知ると想像しやすいですね。現代のギリシャで見かけるセリノも、原種に近いものです。

日本でよく知られる茎を太く品種改良したセロリも売っていて、こちらはセレリと呼ばれ区別されます。豚肉とセロリの煮込みはセレリで作ることも多いのですが、その場合も料理名はヒリノ・メ・セリノ。太いセロリも日本で見かけるものより緑色が濃くワイルドな姿をしていて、葉っぱも付いたままなので全部使います。


2024.01.16 hirino me selino2
今回はセレリに、根セロリ(セリノリザ)も入れてトマト仕立てで作ってみました。この煮込みはアヴゴレモノ(卵レモンソース)で仕上げる場合も多いのですが、夫がアヴゴレモノを食べないのでシンプルな塩味にして、私と長女が食べる分は取り分けてアヴゴレモノにすることが多いです。今回のはトマト風味だけど、やっぱりアヴゴレモノに。


2024.01.16 hirino me selino3
トマト味で煮たのをアヴゴレモノで仕上げる料理は以前にも載せたことがありますが、そんなにメジャーではないものの“あり”な料理です。豚セロリではあまりやらない気はしますが……。


2024.01.16 hirino me selino4
アヴゴレモノにした分が少し余ったので翌日トラハナスープにリメイク。実際のところ、トラハナに入れたくて少し残したのですが。大抵の煮込みは翌日トラハナや米、パスタなど入れて食べたくなります。日本で鍋のあとに雑炊を作ったりしますが、その感覚でやりたくなるんですよね。翌日の煮込みは根セロリに味が染み染みでおいしかったです。


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先月、干し鱈がちょっと安くなってた時に買ったのですが、袋のまま冷蔵庫に放り込んだきりだったので、そろそろ何とかしないと。

2023.11.23 salt cod with beans & greens
たっぷり粗塩をまとった干し鱈は、袋のまま長いこと放置してると塩が滲出してきたりするんですよね。適当な大きさに切り分けて、使わない分はとりあえず保存容器へ。小さめの4切れは塩抜きして煮込みを作ることにしました。

最初は鱈だけでシンプルなおつまみっぽい煮込みを作るつもりだったのですが、うずら豆が食べたい気分だったので、あわせて煮ようか。魚と豆だけより、たっぷりの青菜とハーブも入れたのがいいなぁ……と、私が好きなタイプのギリシャ料理を形にしたのが今日ご紹介する料理です。青菜と煮込んだ料理は以前も載せましたが、そのバリエーションですね。普段あまりパンを食べない私でも、「この料理には絶対パン!」という場合があるのですが、これもそう。天然酵母の田舎パンをちぎって、汁に浸しながら食べると最高です。


2023.11.23 swiss chard
今回使った青菜は癖がなく柔らかなふだんそう。ほうれんそうでもいいし、あればノゲシ(ギリシャではゾホスという名前で青空市場で売っている)を少し混ぜるとほろ苦さも加わりおいしいです。春先なら、まだ花を咲かせてない若いヒナゲシの葉っぱで作りたいところ。ヒナゲシは苦くはないですが、少し野性味のある食感と味わいになります。


2023.11.23 chervil
ハーブはチャービルとフェンネルを使いました。チャービルはギリシャではパイや煮込み、スープなどに入れますが、フレッシュハーブの中ではそれほど登場回数は多くない気がします。もちろん、地方や人にもよるけど。カフカリスラというハーブとセットで使われることが多いですが、今回はフェンネルと組み合わせてみました。フェンネルは葉がディルと変わらないくらい柔らかなものと、野生種もしくはそれに近いのか少しごわごわしたのがあります。どちらに出会うかはその時の運次第ですが、今週の青空市場で売ってたのはとても柔らかい葉っぱ。これはサラダに入れてもおいしそうです。


2023.11.23 salt cod with beans & greens1
干し鱈に話は戻って。3月25日の独立記念日はギリシャ正教の生神女福音祭(聖母マリアの受胎告知の日)という祝日でもあり、この日の行事食と言っていいほどよく食べられるのが干し鱈のフライなのです。それでギリシャ国家の重要な行事に干し鱈のイメージがついてしまったのか、最近では10月のオヒ・デー(参戦記念日)にも干し鱈を食べる人が増えているよう。うちは別にその日に干し鱈は食べないけど、スーパーで特売になるので助かります。

ヨーロッパの干し鱈料理というとポルトガルの干し鱈コロッケなどが日本の人にはよく知られますが、前述の干し鱈フライなど、ギリシャにも干し鱈を使ったおいしい料理が沢山あります。日本ではちょっと入手が難しい食材かもしれませんが、ぜひお試しください。

【関連記事】
鱈と青菜煮込み別ヴァージョンと、その他おすすめのレシピです。今回の記事のレシピは続きをご覧ください。









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今週は半袖だと日陰は少し肌寒いくらいのアテネ。

2023.10.04 kotopoulo me hilopites
秋らしさを感じると、食べたくなるのが肉の煮込みやスープです。ごくありふれてて年中食べられるものではありますが、なんとなく、冬のバカンスの時に田舎のタベルナで頼むような料理を作りたくなるんですよね。

チキンのワイン煮またはレッドソース煮と呼ばれる料理はパスタを添えて出させることが多い万人受けする料理。子供にも人気のメニューなので、お店でも家でもよく食べます。雄鶏でも作られる料理ですが、普通のチキンで作っても十分おいしい。今回はオーブン焼きにしようかなと最初思ってたのだけど、簡単にお鍋で作る方法にしました。

その時の気分で作り方やスパイスを少し変えたりしてますが、参考までに、大体こんな感じです→

塩、こしょう(私はにんにくも。おろしたのをすり込むか、もしくはスライスを埋め込みます)で下味をつけておいた骨付きチキンのもも肉をフライパンで焼き、ワインをジャッと加え煮立てます。

鍋に刻んだ玉ねぎとオリーブオイルを入れて弱火で炒め、しんなりしたらにんにくも刻んで加え香りが立つまで炒め、トマトペーストも加えオイルとなじませるよう炒めます。ベイリーフ、シナモンスティック、ホールのオールスパイスを加え、チキンを汁ごと加えます。すりおろしトマト、塩と砂糖を加え(砂糖はトマトの酸味の角が取れる程度で、入れすぎない)ふたをして弱めの火加減で煮込みます。途中必要なら水を適宜足し、腱と皮が切れる程度(完成品写真参照)にほろっとやわらかく煮えたらできあがり。最後の方で味見をして味をととのえてください。

パスタはヒロピテスという卵&ミルク入りの平たい形状のを使います。もしくはスパゲッティで作るのも素朴な感じがして好きですが、卵入りパスタがいいならフェットチーネで代用しても。すこし硬めに茹で、軽く水気を切って鍋に戻し、ソースを加え煮て仕上げます。

器にたっぷりのパスタとチキンを盛ってソースをかけ、お好みでチーズをふりかけてどうぞ。チーズはギリシャではケファロティリや熟成ミジスラがよく使われますが、代用品としてはペコリーノやリコッタ・サラータが近いです。

【関連レシピ】

すごく昔に書いたレシピですが、ヒロピテスを自作したい方は参考にしてみてください。


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寒い日が続いています。

2023.01.30 xinochondros soup
今週はアテネにも雪が降るほどで、次女の学校は水曜までオンライン授業だったのもあり私はほぼ冬眠してました。セントラルヒーティングがあるのでそこまで室温は低くないんだけど、寒いと体が動かなくなるんですよね。

こんな時に食べたくなるのがトラハナのスープ(トラハナについては関連記事に詳しく書いています)。ドロッとしたテクスチャーがお粥やおじやを連想させるコンフォートフードですが、トラハナの仲間のようなクシノホンドロスを夏に作ったのがまだあったので、それを使ってスープを作りました。クシノホンドロスは小麦粉じゃなく麦の粒を粗く挽いたもので作るので、プチプチとした食感です。

覚え書き。
ポークチョップの骨部分と鶏を捌いた時に出た鶏ガラがあったので、血抜きをしてから圧力鍋で煮ます。適当なくず野菜と、半分に切った玉ねぎ、トマト一切れ、ベイリーフも入れて。骨にはスープ用に肉をある程度残していたので、ほろっとやわらかく煮えたら骨から肉をはずしておきます。玉ねぎは一旦取り出し、スープを漉して玉ねぎと一緒に鍋に戻します。
好みで小さく切ったズッキーニや一口大に切ったじゃがいもも入れ、クシノホンドロスを適量加えこれらがやわらかくなるまで煮込みます(玉ねぎは混ぜているうちに勝手に崩れます)。取っておいた肉を最後に戻して軽く煮、塩こしょうで味をととのえたらできあがり。


2023.01.19 cauliflower & potato stew with xinochondros
見た目があまり変わらないけど、別の日に作ったカリフラワーとじゃがいもの煮込みもクシノホンドロス入りで作ったのでついでに載せておきます。
こちらは肉系のものは入ってないのですが、うまみが足りないなんてことは全然なくて、変わらずおいしい。肉やブイヨンを入れたスープよりも、我が家ではこちらの系統で作る方が多いです。


【関連記事】


唐揚げ用に鶏もも肉を捌いてたら、ちょっと多すぎたので煮込みに。ひとつだけ残ってたマルメロをあわせました。

2022.12.01 chicken with quince


作り方は豚肉ヴァージョンのこちらとほぼ同じです。



その時の気分で甘味や酸味の調味料を変えたりしていて、今回は結晶化してしまった蜂蜜をお醤油に溶かしてあったものとギリシャのバルサミコビネガーを少し入れました。


マルメロはギリシャではおなじみの秋冬の果物。市場でもスーパーでもよく見かけます。木に生っている状態では細かい毛に覆われてくすんだ色に見えるのですが、こすり落とすとぴかぴかの黄色い皮が現れるので、お店に並んでいる姿は大体こちら。

置いておくと辺りに芳香を漂わせていかにもおいしそうだけど、果肉がパサパサしているので基本的に生では食べられません(私は切りながら結構つまみ食いしてしまいますが)。生食に適さないせいか日本では普及してなくて、カリンと混同されることもあるマルメロ。加熱すると梨のようなざらざら感もありつつ、ねっとりとした食感になります。

シロップ煮、焼きマルメロ、マルメロペーストといったお菓子系のほか、料理では肉とあわせて煮込みやローストによく使われます。スパイスで香りを添えたマルメロの料理は、もうすぐやってくるクリスマスやお正月にもぴったり。もし売ってるのを見かけたら、ぜひお試しください。


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