ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:豆

いよいよアポクリエス(カーニバル)のクライマックス。

2024.03.02 volvoi me koukia
ギリシャで最も重要視される行事がパスハ(復活祭、イースター)なのですが、その準備期間である40日以上のサラコスティ(断食・節制期間)の、さらに準備期間となるのが3週間に渡るアポクリエスです。

この期間中は段階的に動物性食品の摂取を制限していくのですが、先週の肉週間、今週のチーズ週間と、長いようであっという間に過ぎてしまいます。料理的には私は断食期間に食べるようなものの方が作るのが好きなので、いそいそと準備しています。そのうちのひとつ、ハネムスカリ球根のピクルスも早めに仕込んだのだけど、長女の好物なのですでに残りわずか。もう一度買いに行くことになりそうです。

2024.03.02 volvoi
近所の青空市場では一軒ぐらいしかハネムスカリ球根を売ってるお店がなかったのだけど、国産のを買えてよかった。暖冬にもかかわらず、今年はいろいろ出るのが遅いような気がします。葉にんにくや若いそら豆もうちの辺りではまだ見ないので、大きい市場へ探しに行ってみよう。


球根はピクルスにすると長期保存できるけど、漬ける前のも味わいたいので、そのうち作ろうとずっと思っていた乾燥そら豆とシンプルに煮た料理をようやく試してみました。
かなり昔に買った野草の本に載っていたレシピで、クレタ島出身の著者の曽祖父がイラクリオンで営んでいた食堂で出していた料理だそう。ギリシャでは多くの地方でハネムスカリの球根を食用としますが、特に好んで食べられる地方のひとつがクレタ島です。ちなみに乾燥そら豆もクレタではよく食べるらしく、煮込んだりペーストにした料理があります。


2024.03.04
作り方はごくシンプルで、下処理して茹でた球根と柔らかく煮た乾燥そら豆を最後にあわせて味がなじむようじわじわ加熱するように煮るだけ。球根とそら豆はそれぞれ苦味とアクがあるので、どちらも茹でこぼしてから煮ます。
ふたつをあわせてから加える味つけは塩こしょうとオレガノ。たっぷりオリーブオイルをかけて食べます。


2024.03.02 volvoi me koukia1
野趣あふれるその味わいは、素材のままと言ってしまえばそれまでだけど、決して単調なものではありません。大地が造り出した香りや食感が複雑に絡み合うのを辿るようにフォークを進め、プロジミ(サワードウ)のほのかな酸味のあるパンで皿のオリーブオイルをぬぐい、さっぱりとしたワインで口を潤して……というのを延々くり返していると、ギリシャでこの味に出会うことができてよかったなぁと、しみじみ思うのです。


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ハネムスカリ球根についてnoteにも記事を書いたので、あわせてご覧ください。


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小正月の小豆粥を見てたら食べたくなって、とりあえず“豆+米欲”を満たそうと戸棚にあったレンズ豆でファコリゾ(レンズ豆ごはん)を作りました。

2024.01.15 fakorizo
あまりにも地味すぎるビジュアルと、パッとしない写真に載せるのを躊躇したのですが(写真は若干ましなのに差し替えました)、これすごく好きなんですよ。レンズ豆スープのリメイク料理として、翌日に米を加え作ることが多いんですが、お粥かおじやのように作るのがここ何年かは気に入っています。

昨日作ったのは小豆粥を意識して、ほぼ豆と米だけぐらいのシンプルさ。
刻んだ玉ねぎをオリーブオイルで炒め、レンズ豆とベイリーフと水を加えやわらかくなるまで煮ます。
洗った米も加えて、全体がお好みのやわらかさに煮えたらできあがり。適度に汁気のある仕上がりになるよう水加減し、塩と控えめな量の胡椒で味をととのえます。

※オイル抜きニスティシマ(節食ヴァージョン)は、玉ねぎをオリーブオイルで炒める手順を省き、玉ねぎとレンズ豆を最初から鍋に入れて煮ます。

ギリシャ料理はチーズと一緒に食べることも多く、よくフェタチーズを添えたりもしますが、おじや風のファコリゾはチーズなしのメニューにするのが好きです。お気に入り且つおすすめのサイドディッシュは、ただ切っただけのトマト(好みで塩を少し振って)とオリーブ。この3つが最高の相性なので、ぜひお試しください。


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先月の半ばからクリスマス前の断食期間に入っているので、決まりごとに従って動物性食品を断つまではしていないものの、なんとなくそれっぽい気分の料理をよく作っています。

2023.11.30 squid with beans & kafkalithra1
今日ご紹介するひと皿は、11月終わりに作った「いかと豆とカフカリスラの煮込み」です。丁度その一週間前に作っていた「干し鱈と豆と青菜の煮込み」に似ていますが、あの時チャービルとフェンネルを使ったら、やっぱりカフカリスラも欲しくなって翌週市場へ買いに行ったのでした。
カフカリスラはパイに入れたりしたほか、たっぷり野菜感覚で煮込みにしようと思い立ち、ニスティシマ(ギリシャの断食料理)でよくやる野菜とシーフードとの組み合わせにしてみました。


2023.11.30 kafkalithra1
ところでカフカリスラについては以前も何度か書いていますが、ギリシャ以外ではあまり馴染みのないハーブかと思いますので、ちょっと説明しておきます。

ギリシャ語ではΚαυκαλήθρα、英語ではMediterranean hartwort。
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する、セリ科(ニンジン科)トルディリウム属のトルディリウム・アプルム(Tordylium apulum)という植物です。

独特の香りがあるカフカリスラはギリシャでは料理に使われ、特に青菜のパイにはよく入れるハーブのひとつです。


2023.11.30 kafkalithra2
野山に生えているのも見かけますが、目につきやすいのは春に花を咲かせる時期で、花弁が白いハートの形をした可憐な姿がとても印象的です。ちなみにこういう見た目の花はセリ科によくあるようで、日本で知られるものだと、葉っぱや香りは違うのですがコリアンダーやオルラヤ(オルレア)の花が似ています。

うちの近所の丘でもよく見るので散歩のときに探したりしているのですが、私がカフカリスラに惹かれるのは料理に活躍することや花が可愛いだけでなく、花のあとの変化の様子が面白いというのも大きな理由です。


2023.11.30 kafkalithra3
なんと、こんな形の種ができるのですよ。どうしてこうなった!?って感じですが、あの花が散ってからギザギザの歯みたいに成長するのが不思議。


2023.11.30 kafkalithra4
種は熟すと、歯の部分と分解されて散っていきます。妖精の入れ歯みたいで面白いなと思うのですが、見ててちょっとぞわっとする人も多いのではないでしょうか?
ギリシャを旅する機会があれば、ぜひ探してみてくださいね。

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2023.11.30 squid with beans & kafkalithra2

いかとうずら豆とカフカリスラの煮込み

作り方:

うずら豆は前もって戻し、一度茹でこぼしてからやわらかくなるまで茹でておきます。

いかは下処理し、食べやすく切っておく。玉ねぎは短い薄切り、にんにくは入れても入れなくてもいいけど、粗みじんくらいに刻む。トマトは控えめな量をすりおろすか皮をむいて刻む(もしくは生トマトじゃなくトマトペーストでも)。カフカリスラは根っこも使用。きれいに洗って、根元は縦半分に切り、あとはざく切りにしておきます。あればチャービルも適量刻んでおきます。

鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて色づかせないよう弱火で炒め、香りが立ったら玉ねぎも加えやわらかくなるまで炒めます。いかを加え炒め、プリッと仕上げたい場合は(玉ねぎとにんにくをできるだけ鍋に残して)一旦取り出します。

鍋にトマトまたはトマトペーストも加え、オイルとなじませるように炒めたら、豆とカフカリスラとチャービルを加え、豆の茹で汁をひたひたぐらいに加え軽く塩こしょうして煮込みます。

いかを一緒に煮ている場合は、全体がやわらかくなるまで。いかを取り分けてる場合は豆とハーブがくたっとやわらかくなるまで煮たら、いかを戻して軽く煮て味をなじませます。塩こしょうでもう一度味をととのえてできあがり。
お好みで、赤唐辛子フレークをちょっと入れるか仕上げにふりかけてピリッとさせてもおいしいです。

※うずら豆の代わりにひよこ豆か白いんげん豆などでもいいです。カフカリスラはギリシャ以外だと入手がちょっと難しそうなので(イタリア辺りでも料理に使うことはあるようですが)、味は変わりますがフェンネルでも。その場合は丸ごとのオリーブを何個か入れて煮るのも好きです。

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【追記】
カフカリスラのイタリアでの名前は他にも複数あるのかもしれませんが、“プーリアの傘”(ombrellino pugliese)と呼ばれるそうです。ローマ風の生野草ミックスサラダについての記事を見つけました。野に生えるさまざまな野草やハーブを集めてオリーブオイルと塩とワインビネガーで食べるサラダはギリシャにも同じものがあり(茹でて食べるホルタとはまた別物)、とても興味深いです。


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先月、干し鱈がちょっと安くなってた時に買ったのですが、袋のまま冷蔵庫に放り込んだきりだったので、そろそろ何とかしないと。

2023.11.23 salt cod with beans & greens
たっぷり粗塩をまとった干し鱈は、袋のまま長いこと放置してると塩が滲出してきたりするんですよね。適当な大きさに切り分けて、使わない分はとりあえず保存容器へ。小さめの4切れは塩抜きして煮込みを作ることにしました。

最初は鱈だけでシンプルなおつまみっぽい煮込みを作るつもりだったのですが、うずら豆が食べたい気分だったので、あわせて煮ようか。魚と豆だけより、たっぷりの青菜とハーブも入れたのがいいなぁ……と、私が好きなタイプのギリシャ料理を形にしたのが今日ご紹介する料理です。青菜と煮込んだ料理は以前も載せましたが、そのバリエーションですね。普段あまりパンを食べない私でも、「この料理には絶対パン!」という場合があるのですが、これもそう。天然酵母の田舎パンをちぎって、汁に浸しながら食べると最高です。


2023.11.23 swiss chard
今回使った青菜は癖がなく柔らかなふだんそう。ほうれんそうでもいいし、あればノゲシ(ギリシャではゾホスという名前で青空市場で売っている)を少し混ぜるとほろ苦さも加わりおいしいです。春先なら、まだ花を咲かせてない若いヒナゲシの葉っぱで作りたいところ。ヒナゲシは苦くはないですが、少し野性味のある食感と味わいになります。


2023.11.23 chervil
ハーブはチャービルとフェンネルを使いました。チャービルはギリシャではパイや煮込み、スープなどに入れますが、フレッシュハーブの中ではそれほど登場回数は多くない気がします。もちろん、地方や人にもよるけど。カフカリスラというハーブとセットで使われることが多いですが、今回はフェンネルと組み合わせてみました。フェンネルは葉がディルと変わらないくらい柔らかなものと、野生種もしくはそれに近いのか少しごわごわしたのがあります。どちらに出会うかはその時の運次第ですが、今週の青空市場で売ってたのはとても柔らかい葉っぱ。これはサラダに入れてもおいしそうです。


2023.11.23 salt cod with beans & greens1
干し鱈に話は戻って。3月25日の独立記念日はギリシャ正教の生神女福音祭(聖母マリアの受胎告知の日)という祝日でもあり、この日の行事食と言っていいほどよく食べられるのが干し鱈のフライなのです。それでギリシャ国家の重要な行事に干し鱈のイメージがついてしまったのか、最近では10月のオヒ・デー(参戦記念日)にも干し鱈を食べる人が増えているよう。うちは別にその日に干し鱈は食べないけど、スーパーで特売になるので助かります。

ヨーロッパの干し鱈料理というとポルトガルの干し鱈コロッケなどが日本の人にはよく知られますが、前述の干し鱈フライなど、ギリシャにも干し鱈を使ったおいしい料理が沢山あります。日本ではちょっと入手が難しい食材かもしれませんが、ぜひお試しください。

【関連記事】
鱈と青菜煮込み別ヴァージョンと、その他おすすめのレシピです。今回の記事のレシピは続きをご覧ください。









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秋ってかぼちゃが食べたくなりますね。
前の記事に続いて、またかぼちゃを使った料理です。

2023.11.07
豆も続いてますが、夫が食べられる肉系のものがあまりないので、今週はいつもに増して豆料理が多くなってます。昨日は直前まで何も考えてなかったので、早く煮える黒目豆の煮込みにしました。


作り方。
黒目豆は一度茹でこぼし、やわらかくなるまで茹でておきます。
粗みじん切りか薄切りにした玉ねぎを別の鍋に入れ、オリーブオイルを加えしんなりするまで炒めます。刻んだにんにくも加え香りが立つまで炒め、すりおろすか刻んだトマト(トマト煮というほどにはならない量)を加え崩れるまで煮ます。
黒目豆とベイリーフを加え、茹で汁(色があまり黒っぽくない場合)もしくは水を加えなじむまで煮、塩こしょうで味つけします。一口大に切ったかぼちゃとじゃがいもを加え、ひたひたぐらいに水加減して弱〜中火で煮ます。野菜がほっくりやわらかくなり、汁が程よく煮詰まったらできあがり。もう一度味をととのえて、火からおろしてしばらく置いて味をなじませます。


黒目豆はささげの仲間なので、味もちょっと近い感じがします。どちらかというと煮込みにするよりもサラダなどで食べる方が好きな豆だけど、ざっと過去記事を見たら何パターンか出てきたので、興味のある方は下記リンクからご覧下さい。あまり日本ではなじみがない豆ですが、なかなかおいしいですよ。豆ごはんにするのもおすすめです。


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