ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

唐辛子の時期なので、いろいろ仕込んでいます。

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バナナ南蛮のような黄緑色の唐辛子は年中ほぼ安定して売ってるのですが、発酵唐辛子やレモン胡椒を作るのにいい細長くて小さめの赤や緑の唐辛子が市場にいっぱい出回るのは秋の初めごろ。

ついでに見かけたら買いたいのが、ハラペーニョもしくはそれに似た唐辛子です。今年は近所で大量に売っているところがあったので、毎回作るピクルス以外にも楽しめました。
そういえばあれ、食べたいなぁと思い出したのが、ハラペーニョポッパーでした。チーズやベーコンなど詰めて揚げるか焼くかしたものですが、シンプルに(ただ単に材料がなかっただけなのだけど)チーズだけ詰めてみました。


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今回使ったのはケファロニア島の白チーズ。フェタチーズのようなタイプの樽熟成チーズで、その時によって味わいやテクスチャーにばらつきがあるものの、フェタチーズをとてもクリーミーにしたような感じです。


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試しに生のハラペーニョをそのままで齧った激辛好きの夫がギブアップするほどだったので、恐る恐る4個だけ作ってみました。ハラペーニョは他の唐辛子と比べて辛さが一定ではなく、ロシアンルーレット状態でびっくりするくらい辛いのが混ざっていることがよくあるとか。
結局、夫と私で分けたこの4個はそこまで激辛というほどでもなくおいしく食べられました。


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唐辛子の保存食はまずいつもの赤い発酵唐辛子と、青唐辛子&青レモンのレモン胡椒。ハラペーニョはホットソースも作りました。




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ハラペーニョピクルスは大きめの瓶ひとつ分できたけど、自作するとたっぷり食べられるのが嬉しいんですよね。料理に添えたりしばらく楽しめそうです。


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8月はうだるような暑さにすっかりバテつつも、この夏作ってみたいと思っていた保存食をなんとか完成させていました。

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Ξινόχοντρος από καλαμπόκι

作ったのは、とうもろこしのクシノホンドロス。
まずクシノホンドロスとは何?というのは以前書いたのを関連記事のリンクから見ていただくことにして……本来は粗く砕いた麦で作られるクレタ島の伝統食品なのですが、ある時にとうもろこしを原料としたグルテンフリーのクシノホンドロスというのを見かけて、こんなものまでグルテンフリーヴァージョンが出るとは時代だな〜と感じるとともに、自作したい気持ちがムクムクと湧いてきたのです。

それでとうもろこしの季節を楽しみに待ってたのだけど、私がよく行くいくつかの市場で売られてたのはなんだかいまいち。甘味に欠けていたのは、この用途には丁度よかったのですが。最近になって実入りのよいとうもろこしをあちこちで見かけるようになったので、猛暑のせいだったのかもしれませんね。


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めげずにとうもろこしを買い集め、まずは粗びき乾燥とうもろこしを作りました。小麦で作った時と同じような感じだけど、やはりうちのフードプロセッサーやミルでは上手く挽くことができず、粒そのままみたいなのと細かすぎるのが混ざっています。市販品は確か原材料に「とうもろこし粉」という表記があった気がしますが、コーングリッツぐらいの粗さに挽いたとうもろこしで作っているようです。もしコーングリッツが手に入るなら、それでもっと簡単に作れそう。


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とろりとして酸っぱくなるまで発酵させた山羊乳と塩適量、とうもろこしのホンドロスをあわせて煮ていきます。山羊乳を発酵させるのは、初めて作った時の自然に任せる方法ではなく、山羊乳ヨーグルトをスターターとして使いました。


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汁気がなくなるまで煮たホンドロスを手で握ってまとめ、乾燥させます。一緒に干されてるのは小麦で作った普通のクシノホンドロスと、夏のはじめに仕込んであった杏の梅干し風(今回はサワーチェリーも少し)。


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この形のまま完全に乾燥させてもいいのだけど、中まで乾くのに時間がかかるのと、料理に加えて煮る時に崩しにくいのもあり2日目は粗くほぐして乾かしました。


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防虫のため、最後は低温のオーブンで仕上げています。


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その後バカンスに出かけたりいろいろあって先日やっと一品作ったのがこちら。なんとなく、オクラの煮込みに合いそうだなと最初に思い浮かんだのですが、丁度冷蔵庫にあった使いかけのバターナッツかぼちゃも入れたらちょっと秋っぽい雰囲気の煮込みになりました。

【関連記事】



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この夏のバカンスではいつものシミ島のあと、サモス島にも立ち寄りました。そこの郷土料理のひとつが、細長い形をした玉ねぎに米などの詰め物をしたクレミドドルマデスです。

2024.09.05
Κρεμμυδοντολμάδες Σάμου

玉ねぎのドルマデスまたはイェミスタ(地方によってはそれ以外の名前で呼ばれることも)はギリシャの島々で結構よく見かける料理なのですが、サモス島のそれは特産品である細長い形をした玉ねぎを使うのが特徴です。


郷土野菜にはザキントス島のネロクレミド(水たまねぎ)のように全国のスーパーで見かけるようになったものもありますが、生産量が少なく地元でしか消費されないものもあり、サモス島の長い玉ねぎは現地でも売っているところが限られるよう。

samos onions
いくつか見て回ったスーパーや八百屋には普通の玉ねぎしか置いてなかったけど、夫の仕事関連でたまたま行ったカルロヴァシで、道を訊くために車を停めた場所にたまたま特産品マーケットがありそこで発見。早々に目的を果たすことができ、玉ねぎを旅の供にうきうきで島を巡ったのでした。

ちなみに特産品屋外市場という大きな看板が出ていたものの、駐車場の端に屋台がぽつんとひとつだけ。たまに来る客の相手をしつつ、店番の女性がのんびりといんげんのヘタ取りをしていました。

この玉ねぎは島の南東のクメイカという村やマラソカンボスの辺りで栽培されているそう。何曜日にやってるのかは知りませんが、青空市場でよく売っているようです。

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今回の旅ではレストランで食べる機会はなかったので、市場の女性に聞いた話など参考に、アテネに戻ってから自作しました。「別に、ロールキャベツと同じだよ」とのことでしたが、風味付けにオールスパイスを使うのが特徴でしょうか。彼女はディルとパセリを入れると言っていましたが、ハーブはフェンネルを入れる人も多いみたいです。


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まあまあな量の玉ねぎを買ってきたので、半量を炒めた挽き肉入り、半量を肉なしで。肉入りの方のハーブはフェンネルとパセリ、肉なしはディルとパセリにしてみました。どちらもちょっと多めのオールスパイスと、控えめな量のトマトペーストを使った味つけ。包むのに使えない玉ねぎの中の層(少なければ普通の玉ねぎも足し、玉ねぎ多めにして甘味を出します)は刻んで炒め、フィリングに加えます。

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こちらは肉なし。トマトペーストを入れたつもりだったけど、やけに白く見えるから忘れたのかも?


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お味の方は、特にひき肉入りのが親しみやすい甘辛味といった感じでよかったです。


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サラダはトマトときゅうりにスベリヒユ。暑いのにうんざりしながらも、食べものに関しては、秋の実りよりも夏をもうしばらく感じていたい気持ちが優勢です。


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8月27日は聖ファヌリオスの祝日だったので、聖人にちなんだファヌロピタというケーキをその前日に焼きました。

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聖人の日はあまり覚えていることがないのですが、丁度去年の今頃に一時帰国し、その時に市販のファヌロピタを買って持って行ったなぁと思い出していたのです。

ほとんどのレシピがそうであるように、ファヌロピタも作り手や地方によってさまざま。でもいくつかの決まりがあって、そのうちのひとつは動物性の材料を使わないニスティシマ(節制のルールに従った)のケーキであること。また、材料の数は7、9、11のいずれかと決まっているそうです。



……と、そんな話とレシピを10年ちょっと前に出した「ギリシャごはんに誘われてアテネへ」という本のお菓子の章に書いたのも懐かしい。もう絶版になっている本ですが、そのレシピで作ったというご報告をいただいたり、未だにちらほらとご購入くださる方もいるようでありがたいです。

私はクリスチャンでもないし教会へは行かないのでただファヌロピタを作っただけですが、聖ファヌリオスの日に教会へ持って行き、祝福を受けたそれを切り分けて振る舞うのが習わしです。また、聖ファヌリオスは失せ物を見つけてくれる聖人なので、何か大事なものを無くしたときにも、ファヌロピタを教会へ持って行き願掛をします。

ファヌロピタは風味付けにシナモンやクローブが使われ、オレンジなども入れるレシピが多いです。そのためギリシャのお菓子によくある風味に仕上がります。

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濃いギリシャコーヒーとの相性が抜群なので朝食やおやつにもいいですが、チーズやワインと一緒に楽しんでも。ずっと前に買ったヴァトペディ修道院伝統レシピの甘口ワインがあるのを思い出し、あわせてみました。

ちなみにヴァトペディ修道院は聖山アトス(アトス自治修道士共和国)の中でも最も規模の大きい修道院のひとつです。女人禁制で俗世とは切り離された祈りの生活をする聖地という認識ですが、かなり現代的になっている部分もあって、ヴァトペディのような大きな修道院にそれが顕著です。



アトスのことを紹介した書籍では村上春樹の「雨天炎天」が一番有名でしょうか。
そこに描かれているのは何十年も前のアトスなのでそれなりの変化も当然と言えば当然なのだけど、ヴァトペディ修道院の今風なウェブサイト(オンラインショップは洗練されたパッケージデザインの食品やコスメが多数あり、SNS展開も!)を眺めていると、時代は変わったものだなぁとつくづく感じます。


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桃がモサモサになってきたら、夏も終わりだなぁと感じます。いまいちな桃はジャムに加工するといいので(おいしい桃だともったいないし)、それも悪くないのですが。

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写真は夏の盛りに作ったパスタですが、桃はとてもおいしかったですよ。ギリシャの桃やネクタリンって、甘味も酸味もしっかりしていて好きです。

この夏はとにかく暑かったのであまり料理をする気になれず、パスタやサラダばかり食べていました。特に、比較的茹で時間が短いスパゲッティーニの登場回数が夏場は多くなりがちです。

冷蔵庫や戸棚を覗いてありあわせの材料で作るのが常ですが、日よけでも防ぎきれない西日の時間は冷たいパスタでちょっとでも涼みたい。パックのビーツがあったので、桃と組み合わせた冷製パスタにしました。


ビーツと桃の冷製パスタ

材料:(2人分)
桃...小ぶりのもの1個
レモン汁...スライス2〜4枚分
ビーツ(調理済のもの)...中1個(約160g)
ディル...約5本
玉ねぎ薄切り...少々(約15g)
にんにくすりおろし...少々(好みで隠し味程度に)
ワインビネガーまたはりんご酢...大さじ1/2
塩、こしょう...適量
オリーブオイル...大さじ4
スパゲッティーニ...約160g

桃は湯剥きして皮を除いてから薄切りにする。レモンスライス1〜2枚を絞り、塩少々とオリーブオイル大さじ1、ちぎったディル1本分を加え和える。冷蔵庫でしばらく冷やしておく。

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ビーツはグレーターの大きい方の丸穴ですりおろし、大きめのボウルに入れる。残りのディルみじん切りと、玉ねぎ、にんにく、ビネガー、残りのレモン汁、オリーブオイルを加え混ぜ、塩小さじ1/4程度とこしょう適量で味つけする。冷蔵庫でしばらく冷やしておく。

パスタをやっと芯がなくなる程度に茹で、ざるにあけて流水と氷水で手早く冷やす。よく水気を切ってビーツの入ったボウルに加え和える。味見して、塩、こしょうと、必要ならレモン汁やオリーブオイルも足して味をととのえる。器に盛り、桃をのせる。

MEMO:桃なしで作って、スモークにしん(または他のスモークフィッシュ)やケイパーをトッピングしてもいいです。その場合、好みでビーツと一緒にりんごも適量すりおろして加えます。

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