ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

6月に入り、今週はいよいよ本格的な暑さがやってくるようです。

2025.05.29 fricasse
もうこんな料理も季節はずれなのだけど、5月の終わりに作ったのは、春の名残のフリカッセでした。

タイトルに「ギリシャ風」と入れたのは、そういえば世間一般で知られるフリカッセというのは白いクリーム煮のようなものだったなと思い出したから。
ギリシャのフリカッセは、ざっくり説明すると肉などをロメインレタスや青菜類と煮てアヴゴレモノ(卵レモン)ソース仕立てにした料理。と言ってもいろんなバリエーションがあり、肉以外に魚やシーフードだったり野菜だけのもありだし、ソースも卵なしのレモンソースや、夫の叔母さんのようにトマト仕立てのフリカッセ(これは多分少数派)を作る人もいます。


2025.05.29 fricasse 1
実は復活祭のときに買ったラムがまだあったのですが、アーティーチョークとあわせたフリカッセにするつもりが、作る機会を逃してたら時期が終わってしまいました。それでチコリーを使ったのだけど、こちらももうそろそろ終わりですね。市場では葉アマランサスやおかひじきといった、夏の青菜が幅を利かせはじめています。

さて、フリカッセの作り方。例によって分量なしの説明だけなので、作ってみたい方は関連記事もあわせてどうぞ。


2025.05.29 fricasse 2
ラムや仔山羊肉を使うと特にギリシャらしくなりますが、豚、牛、鶏でも。塩こしょうして、オリーブオイルをひいたフライパンで焼き色をつけます。玉ねぎを加え軽く炒め(玉ねぎじゃなくねぎを加える場合はあとで)、お好みで白ワインを加え煮立てます。圧力鍋か普通の鍋に移し適当に水加減し、ふたをして肉が柔らかくなるまで煮ます。

チコリーなど苦い葉っぱやアクの気になる葉野菜を使う場合は、下茹でしておきます。ロメインレタスなどはそのままでOK。ざくざく大きめに切っておきます。ねぎを加える場合、これも1cm幅くらいに切ります。ハーブはディルがよく使われますが、葉セロリ、フェンネルなどお好みで。


2025.05.29 fricasse 3
肉が煮えたところに葉野菜やハーブを加え、適度にくったりするまで煮て、味をととのえます。仕上げのアヴゴレモノは、2〜4人分なら私は卵1個でレモンの量だけ加減します。卵とレモン汁をよく溶いて鍋に加えるわけですが、長女が遅く帰ってくる日だったので、あとで温め直せるようコーンスターチも加える方法にしました。コーンスターチを入れるのは好き好きですが、確実にとろみをつけたかったり、モロモロに固まって分離する失敗を避けたい方にはおすすめです。

MEMO:塩こしょうにレモンだけの味つけが物足りなく感じる方は、ブイヨンかガラスープを少し加えてもいいです。

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ハーブライスのに続き、ひき肉入りのドルマダキァも作りました。

2025.05.21 dolmadakia
植物性のものからスタートしたくていつもこの順番なのですが、ちょっと独特な「うちの味」と言えるのは肉入りの方です。
過去に載せたレシピの記事にも書いているように、夫の叔母さんが作るドルマダキァをお手本に、頑張って再現してみたもの。ぶどうの葉の味を邪魔しないぐらいのトマト味に仕上げ、フィリングには隠し味程度のチーズを加えます。

そして、一番の特徴は「とても小さく包むこと」。
小さなドルマダキァというと円錐形に包むのが特徴的なカソス島風ドルマダキァがよく知られます。フィリングにトマトを加えるという点でもうちのドルマダキァに似ているのですが、カソス島では煮汁にはトマトはなしで、バターを加えるのが一般的だそう。ちなみに近年アテネでもカソス島風ドルマダキァを出すお店が増えたので、もし見かけたらぜひお試しを。

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すべての工程を一度にやろうと思うと大変なので、葉を買ってきたら洗って茹でて切るところまでを当日にやり、翌日に仕上げるというのがいつものパターンです。フィリングは生の材料を混ぜあわせるだけなのですぐできるし、包むのは葉っぱをいっぱい並べてちょんちょんとフィリングをのせて巻いていく流れ作業。こうすると、結構楽に作れますよ。

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小さめの葉っぱなら半分に切るくらいでもいいかなぁという感じで作り始めるのだけど、調子が出てくるとさらに葉をちぎって、もっともっと小さく……とエスカレートしていきます。それでも、叔母さんが作る極小サイズほどにはなかなか包めないのですが。


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煮汁はトマトペーストかパッサータを水で薄めたものに、レモン汁とオリーブオイル。
ある程度重さのある落しぶた(耐熱の皿など)、さらにふたをして、全体がやわらかくなり汁気がほぼなくなるまで煮たらできあがりです。肉入りのドルマダキァは基本的に温かい状態で食べられますが、このトマト味のは冷たくてもおいしく、冷蔵庫に入れておいたのをそのまま食べるのが私や娘達は好きだったりします。


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叔母さん式のドルマダキァは小指の関節2つ分くらいのから豆粒みたいなのまで、大きさに幅があるのも味のうち。ポテトチップスをつい食べすぎてしまうのは形状や揚がり具合の不揃いさのせいでもあるよなぁといつも思ってるのだけど、叔母さんのドルマダキァにもそれに似たものを感じます。


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うちのドルマダキァのレシピ。いつもは倍量かもう少し多いぐらいの量で作っています。
タイトルを「おばあちゃんのドルマダキァ」としていますが、何年も後に夫から聞いたところ、おばあちゃんはそこまで小さく作ってなかったそう。

先週買ったぶどうの葉は全部ドルマダキァ(ドルマデス)にせず少し取っておいて、お寿司も作りました。

2025.05.18 sushi dolmadakia
ぶどうの葉寿司は毎年作るわけではないのですが、今までにさまざまなタイプを作ってきました。生の葉をそのまま使う柿の葉寿司風や朴葉寿司風、茹でた葉を使って葉ごと食べられる押し寿司など……生の葉はよほど若くて柔らかいものなら食べてもよさそうですが、ある程度の大きさに育つとやはり口に入れたときの一体感に欠けるのですよね。だからちょっともったいないなというのが気になるので、今回は茹でた葉で。小さくて特に柔らかい葉をドルマデスに使うよりも少し長めに茹でて、数日後に作る予定だったので塩とクエン酸を茹で汁に少量加えて浸けておきました。

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今回は見た目をドルマデスのようにしてみようと思い、酢飯もギリシャの材料で統一しました。と言っても普段からお寿司を作るときはワインビネガーを使っているのですが、レモン汁とはちみつも加え、刻んだディルを混ぜ込みます。

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魚はカタクチイワシをマリネにしたものを使ったので、酢飯の味つけは酸味を控えめに。一口か二口で食べられる大きさに巻いて、しばらく置いてなじませてできあがり。仕上げにオリーブオイルを少し垂らしてレモンの皮をおろしかけました。

2025.05.18 sushi dolmadakia1
切ってみて思ったのだけど、カタクチイワシは白いので存在感がかなり薄いです。このお寿司は燻製のニシンやサバなどでもおいしいですが、ビジュアル的には色鮮やかなサーモンがやはり映えますね。


2025.05.18 cheese saganaki wrapped in vine leaf
そして、2枚だけ残った葉っぱ。こちらはクレタ島のグラヴィエラチーズを包んで焼いて、葉っぱ巻きチーズサガナキにしました。もちろんラキのお供です。


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ぶどうの若葉の季節です。4月後半ぐらいから出ていて、買わなきゃ……とそわそわしてたのだけど、先週の市場でようやく購入。

2025.05.13 dolmadakia
シーズン最初に作ったのは、やっぱり肉の入らないハーブライスのドルマダキァ(ドルマデスという葉っぱ包み料理の、小さいものをそう呼びます)でした。

家族は肉入りトマト味のドルマダキァの方が好きなのだけど、それは次回にでも作ることにして、初夏を感じさせる薫り高いハーブライス詰めのをまずは味わっておきたいのです。


2025.05.13 vine leaves
ぶどうの葉は仄かな酸味と芳香があり、これで米を包んだドルマデスは、風味は違えど桜餅や柏餅、柿の葉寿司など季節を感じる日本の食べものを思い出させます。日本のことを懐かしく思いつつもギリシャの暮らしが私にとって心地いいのは、この国の「旬の味」によるところが大きいのでしょう。

ハーブライスのフィリングは、玉ねぎとハーブとオリーブオイル、どれもたっぷり加えます。その時の気分で、玉ねぎは生のまま混ぜたり炒めたりですが、今回は炒める方法で。玉ねぎが入ってますが、ねぎも必ず加えます。ハーブはパセリ、ディル、フェンネル、スペアミント。


2025.05.13 dolmadakia1
若葉と言っても結構大きかったりするので、うちは小さめのドルマダキァが好みだから半分に切った葉っぱで包んでいきます。手のひら大くらいの葉っぱは、そのままでOK。カランツ入りのも食べたかったので(松の実もあればよかったですが)、一部包んでいるときにパラパラと加えました。普通は葉っぱのツルツルの面が外にくるよう巻きますが、カランツ入りは区別できるよう裏面が表にくるよう巻きました。

伝統料理の多くがそうであるように、このドルマダキァも手間と時間が結構かかるのだけど、食べるのはあっという間。しかも、肉なしのものはメゼ(おつまみ)扱いでメインにはなりにくいのです。献立のルール的なものにこだわりのない我が家でも、さすがにこれだけではなぁ……と思い、ドルマダキァを煮てる間に急遽もう一品足すことにしました。

ちょうど豚肩肉の大きな塊をロースト用にと買ったところだったので、これを少し取り分け、ズッキーニとあわせて煮込みにしました。フライパンで焼き色をつけ、玉ねぎとにんにくを加え軽く炒めてから圧力鍋に移し、作り置きのトマトソース、ベイリーフ、割ったシナモンスティックをひとかけら。適当に水加減して圧力をかけて15分ほど煮たら肉が柔らかくなっているので、ズッキーニを加え再び圧力をかけてさっと煮ます。野菜は圧力鍋だと柔らかくなりすぎたりするので注意。また、最後汁気が多くなったりもするので、控えめに煮て、仕上げに汁気を飛ばしながら煮るなど調整します。

早い時間に夕食を食べる夫にこれらを急いで出し、自分用にはまたチプロ(グラッパのようなぶどうの蒸留酒)とメゼ。
豚肉とズッキーニの煮込みは、肉は脂があるところを少しと、ズッキーニのヘタの部分を選って盛りつけました。こう書くと主婦の自己犠牲みたいだけど、自分が好きな部分なのです。ズッキーニのヘタ、柔らかく煮るとおいしいのでぜひお試しを。


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春らしいパスタをもうひとつ。

2025.05.10 pasta with artichoke,peas and vine leaves
くたっと煮た野菜はそれだけでいくらでも食べられますが、パスタのソースにするのも好きです。アーティチョークとソーセージミートのパスタを作っていて、そういえばグリーンピースとの組み合わせも食べたいのだったと思い出したのでした。


2025.05.10 pasta with artichoke,peas and vine leaves1
みずみずしい新玉ねぎか、ねぎの淡い色の部分を控えめな量、刻んでフライパンに入れます。にんにくはなくてもいいのだけど、入れたかったら小さいのをひとかけ、叩いてこれも放りこみ、オリーブオイルを多めに加え弱火で色づかせないようやさしく炒めます。

しんなりしたら、硬い部分や毛羽を除いて薄切りにしたアーティチョーク、グリーンピース、塩ひとつまみと水適量を加えふたをして煮込みます。

アクセントになるハーブも何か入れたいですが、この時期ならではのギリシャらしい食材、ぶどうの葉をハーブ的に使いました。旬素材と言いつつ、実は去年の残りなのですが……ほんの数枚余ったのを冷凍しておいて、結局使わないうちに次のシーズンが巡ってきてしまったパターンです。


2025.05.10 pasta with artichoke,peas and vine leaves2
ぶどうの葉というと、ドルマデス(ドルマダキァ)をはじめ「包む」イメージが強いけど、こんな風に使うのも結構おすすめですよ。パッと見、何かわからないので意外性があり、独特な風味も効果的です。


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パスタはパッケリをあわせてみましたが、ギリシャ風にこだわってヒロピテスでも、他の合いそうなものなんでもいいです。
茹であがったパスタを野菜のソースに加え軽く煮てなじませ、すりおろしたチーズを加え和えてできあがり。丁度うちにあったクレタ島のグラヴィエラチーズ(羊乳ハードチーズ)が風味の面でも主張しすぎず、淡雪のように溶けて理想的な仕上がりになってくれました。

バリエーション:野菜だけでおいしいパスタだけど、シーフード入りで作るのも好きです。やわらかい小さなえびか、もしくはいかでも。シーフード入りの場合は仕上げのチーズは不要です。


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