ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

春にハネムスカリ球根の料理に使いたくて買った乾燥そら豆がまだ残っていたのを、ようやく使い切りました。

2024.07.10a
乾燥そら豆の煮込みって私はたまに食べたくなるのでサラコスティの初めにミント風味のも作りましたが、よく煮てもちょっと皮の食感が気になるんですよね。家族はあまり好きじゃないようなので、皮を剥いてターメイヤにでもしようかなと思いつつ、なかなかそのタイミングがやってきませんでした。

それで今週は、えいっと全部戻して3つの食べ方で。前にもらったクレタ島の自家製ラキが少し残っているのを思い出したので、クレタ料理のメゼにしてみました。


2024.07.10b
そら豆は生でもおつまみとして食べられますが、クレタ島では乾燥そら豆をただ戻しただけで生で食べる「ヴレフトクキア」というのがあります。日本語にすると、濡れそら豆でしょうか。塩水に浸けて一晩戻しただけのもので、皮を剥いて中身を食べます。

ヴレフトクキアは現代ではあまりやらなくなっているようだけど、復活祭前などの斎(ものいみ)の期間、特に油なども摂らない厳しい節食をする日には定番とされるものだったそう。他にはラキまたはチクディアと呼ばれるポマースブランデーのおつまみとしても食べられます。


2024.07.10c
クレタ島料理のもう一品は、「クコファヴァ」。ファヴァと呼ばれる豆のペーストのそら豆版なのですが、そら豆のことをファヴァと呼ぶ国もあるのでちょっと紛らわしいですね。ギリシャ語ではそら豆はクキァ。オトメレンリソウの種子を割り豆にしたものと、それを煮てペースト状にした料理をファヴァと呼びます(関連記事参照)。

クコファヴァを作るには、まず乾燥そら豆を水で戻して皮を剥きます。これを鍋に入れ、水と好みで玉ねぎも適量加え、とても柔らかくなるまでひたすら煮ます。簡単に潰れるぐらいに柔らかくなったら、フォークなどで好みの状態にマッシュします。器に盛って、生の玉ねぎや乾燥オレガノをトッピングしてオリーブオイルをたっぷりかけます。好みでレモンを絞ってどうぞ。


2024.07.10d
家族にはターメイヤをメインにしました。エジプト版のひよこ豆コロッケ/ファラフェルです。夫の母方の家族は元々がクレタ島の出身で、長いことエジプトにも住んでいたので、なんとなくルーツを辿るみたいな組み合わせのメニューになりました。エジプトではギリシャ人コミュニティの中で暮らしていた義母や叔母さんですが、ターメイヤやモロヘイヤなどエジプトの味も懐かしいようです。

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毎年バカンスシーズンに入ると人が減り、いろんなお店が閉まったりするアテネ。

2024.07.02
街のあちこちに立つ青空市場も7月終わりごろから8月にかけては出店数が減るのですが、ただでさえ規模が小さめなうちの近所の市場は、今年はやけに早い時期から閑散としてきています。

暑い中ちょっと遠い市場へ重い野菜や果物を買いに行くのもしんどいので、特別なものが欲しい場合でない限りなるべく近所で調達していると、いい野菜が常にあるわけではないバカンス先の島で料理をしてる時みたいな気分になります。曲がってたり皮が綺麗じゃなかったりで不恰好なきゅうりや、とても不揃いなモロッコいんげん。日本だったら絶対出回らないだろうなぁ……という野菜たちだけど、味は抜群です。

走りのとうもろこしやオクラはまだちょっと高いので見送って、最低限の夏野菜でこの季節定番の2品にしました。ギリシャではホリアティキ・サラタ(村のサラダ、田舎サラダ)と呼ばれるおなじみギリシャサラダ(グリークサラダ)と、いんげんの煮込み。前回の記事のイェミスタもですが、こういった夏野菜の料理がしみじみおいしいです。

その時々によって材料や作り方を少し変えたりするけれど、夏の間ほぼ毎週食卓に上る料理です。

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明日7月5日金曜早朝放送の、J-WAVE JK RADIO TOKYO UNITEDという番組内のTOKYO CROSSINGというコーナー(06:40から)で、ギリシャのサラダ事情について少しお話しします。
こういう場で話すのがすごく苦手なのでいつもラジオはひっそりと出てるのですが、今回は食べ物の話題ということで、ちょっとお知らせしてみました。

話した内容は番組サイトのアーカイブで読めるそうです。



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「ギリシャのごはん」レシピ本でもギリシャのいろんなサラダや野菜料理をご紹介しています。こちらもあわせて読んで&活用していただけると、とても嬉しいです。

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夏の料理の代表格と言えるものが、イェミスタ。

2024.06.18 gemista
野菜をくりぬいて米などのフィリングを詰めたスタッフドベジタブルのことで、ひき肉詰めズッキーニの卵レモンソースなど鍋で作るものもありますが、特にポピュラーなトマトやピーマンのイェミスタはオーブンでじっくり焼き上げることにより野菜のうまみが引き立てられます。

猛暑の中でオーブン料理は厳しいものがあるけれど、ギリシャの家庭ではいっぱい作って数日かけて食べます。冷蔵庫から出したそのままのイェミスタは、ギリシャ人が夏の味として思い浮かべるもののひとつでしょう。

イェミスタにはさまざまなバリエーションがあり、大きく分けると肉入りと肉なし。肉なしの方が多く見かけると思います。うちのも肉を入れず米に野菜やハーブをあわせたフィリングを詰めますが、夫の叔母さんが昔よく作っていたひき肉入りのもたまに懐かしくなって作ります。ちなみにいつだったかの狂牛病騒動以降は彼女も肉を入れずに作るようになったのですが、ナッツをたっぷり入れたりという工夫もしていました。

2024.06.18 gemista1
今回のは久しぶりにひき肉入りが食べたくなったのと、使い切ってしまいたいクシノホンドロス(粗びき小麦と発酵乳の保存食)があったので両方入れてみました。クシノホンドロスだけよりも米も入った方が好きなので、叔母さんのを参考に作ったひき肉入りイェミスタにクシノホンドロスも少し足した感じです。


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トマトとピーマンにズッキーニ、やる気があればなすなんかも足したいところだけど、簡単にトマトとピーマンだけ。これなら結構すぐに準備できます。

さて、お味は……クシノホンドロスが入っているのに家族は気付かなかったかも?
言われないとわからないかもしれませんが、よく味わって食べると、少しプチプチした食感と発酵山羊乳のうまみが感じられます。


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私がスブラキを買いに行きたいと言ったばかりに、夫がピタを食べたくなったようなので……(ピタは常に食べたいでしょうけど)。

2024.06.20
うちの夫の場合、スブラキ屋に行ってもメインは肉じゃなくピタパン。夫的に大丈夫な肉を出す店以外では、青唐辛子のグリルやオニオンスライスをお供にひたすらピタを食べているのです。今回私が行きたい店はメニューに唐辛子がないので、それなら家で食べた方がいいかなと、昨日は自家製ピタパンと野菜料理の献立にしました。

メインは使ってしまいたいマッシュルームがあったので、カリフラワーとあわせてギロス風にしました。菜食の縛りはないので普通のジャジキを添えましたが、夜に出かける日だったのでにんにく控えめ。夫の好物だけど臭いそうなオニオンスライスもなしで、もう一品は青唐辛子のグリルにワインビネガーをかけたものです。

ギリシャ風の空洞なしのピタパンはブログでも書籍でもレシピを紹介しているものですが、ネットでも作り方を全く見かけなかった、かなり昔にレシピを考えたものです。その頃にスーパーで売ってた商品を参考に作ってますが、ピタパンも年月を経て結構変わってきているような気がします。もちろんメーカーによっての違いもあり、昔と変わらないタイプもあるのですが、スーパーで常温で売られてるのは今では大手のパンメーカーが幅を利かせています。正直言って、これはいまいち。スーパーでも冷凍なら昔ながらのがあったと思いますが。食べ方に関しても、油で焼いたピタを出す店が減ったような?

ギリシャ料理のレシピを長年書いていて、いわゆる「創作料理」と定義される「私が考えたギリシャ料理」も多く生み出しているのですが、そもそも現地で食べられている料理だって定番を除けば誰かの創作料理なのですよね。
日本の方にギリシャ料理を伝える身としては現地の味を軸にしているつもりで、流行や時代によって変わっていくものも注意深く見ていきたいなと思っています。

最後ちょっと話が飛躍した感がありますが、そろそろお腹がすいてきたので早くスブラキを食べに行きたい金曜の午後。皆さまも、よい週末をお過ごしください。


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ベジギロスのレシピです


ギリシャ風ピタパンのレシピです


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まだ6月だと言うのに、先週はアテネでも40℃超えという熱波に見舞われ完全に夏になってしまいました。

2024.03.24 mastiha soda
暑さ寒さどちらにも弱い私はすでにバテ気味ですが、今週は暑さが若干ましになりひと息ついているところです。料理をする気力も少し戻ってきたので、今日は果敢にもオーブンフル稼働でイェミスタ(スタッフドベジタブル)を作ったり、余熱を利用して保存用にサワーチェリーを干したり。

それはまた次回にでも載せるとして、写真は春に作っていたマスティハソーダです。確か、日本のテレビ番組でマスティハソーダが紹介されていたとかで、妹が飲んでみたいと言っていたのでした。

「前に持って行ったマスティハ、どうせ使わないなら砕いて炭酸水に浸けてみたら?」

……と思いつきで提案した手前、自分でもちゃんと試してみました(妹はやらないだろうけど)。

作り方は簡単で、細かく砕いたマスティハをお茶パックに入れて炭酸水に丸一日ほど浸けておいただけ。量は、1リットルの炭酸水に小さじ1/2ぐらいの粒を入れたでしょうか?一応、ちゃんとマスティハ風味の炭酸水になりました。

マスティハ風味の炭酸水はギリシャだとスーパーで普通に売ってるのでわざわざ作る必要はなく、そして日本ではマスティハ自体入手が少し難しそうなので、特に誰かの役に立つ情報ではないですけど。持て余しているマスティハがあれば、こういう使い方もいいかもしれません。


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マスティハの飲み物と言えば、以前リキュールも作っていました


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