食材的に、一番わくわくするのが春。
伝統食への関心の高まりとともに需要も増えたのか、昔と比べて野草の類が手に入りやすくなったのは嬉しいことです。

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中でも毎年楽しみにしているのが、野生のアスパラ(ギリシャ語でスパラギァσπαράγγια)やオヴリェス(οβριές。アヴロニェスαβρωνιέςとも呼ばれる)です。
この2つは全く違う植物なのでまとめてしまうのはいかがなものかと思うのですが、よく一緒に売られているし、ギリシャ人でも混同している人が結構多いそう。
上の写真はオヴリェスなのですが、アスパラが2本ほど紛れているのが見えますか?生えてる場所は違うはずだけど、束にしている時に紛れ込んだのでしょう。よく見ると形が少し違っていて、オヴリェスは穂先が粒々でハート型の葉っぱがついています。

また、日本の山菜であるシオデ(Smilax riparia)と間違えられることもあるようですが、オヴリェスはTamus communis(現在はDioscorea communisとなった模様)。ヤマノイモ科のつる性植物ブラック・ブライオニーで、新芽を食用とします。なお、アスパラと違いオヴリェスは毒があるので必ず加熱調理して食べます。ギリシャの市場ではどちらも「ファルマコ(薬)だよ〜」という謳い文句とともに売ってたりしますが、確かにこのようなほろ苦い野草はデトックス効果があるように感じます。

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ギリシャ風には、シンプルに茹でて(煮て)オリーブオイルとレモンまたはビネガーで食べたり、オムレツなど卵料理や煮込みにもされます。
茹でる場合は茹で汁も捨てずに飲むのがポイント。
旬であるというのも理由ですが、オヴリェスは復活祭前のメガリ・サラコスティ(四旬節、断食期間)に好んで食べられるホルタ(野草)のひとつです。動物性の食品などを断つこの時期の食事には穢れを落とす意味もあるようなので、オヴリェスのようなホルタを取り入れた粗食を取り入れていると、なんとなく清らかな気分になります。


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野草料理といえば、和食アレンジも私的には外せないものです。
オヴリェスの炊き込みご飯は、ほろ苦さが春らしくて好き♪オヴリェスの量がそれほどなかったのでニンジンや油揚げも入れましたが、たっぷりのオヴリェスと塩だけで炊くのもいいですね。


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ある日の昼ご飯に作った、オヴリェスと油揚げの卵とじうどん。
オヴリェスは「苦い!」と言うほどでもないのですが、ほんのりとした苦味には少し甘めの油揚げと卵がよく合います。


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たたきも作ってみました。
どぶろくの肴にちびちびつまみ、ほんの少し残したのは〆のご飯にのっけて……。なかなか春の日本へ山菜を食べに行けないのが残念ですが、ギリシャ和食もこれはこれでいいものです^^


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