少し前にギリシャ風のチキンスープを載せましたが、牛肉を使ったこちらも「おふくろの味」のひとつです。

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Κρεατόσουπα

ギリシャ語ではクレアトスパ(肉スープ)またはヴラスト(別の表記でブラスト。「茹でた」という意味)と呼ばれるもので、ざっくり説明すると「ギリシャ風ポトフ」といった感じ。ほろっと柔らかくなるまで煮込まれた肉のスープなのですが、ポトフのように肉や野菜とスープを別盛りにしたり、ギリシャ独特のアヴゴレモノ(卵レモン)仕立てにしたり、いろんなバリエーションがあります。

また、肉は牛肉に限らず、たとえば山羊肉を使ったギダ・ヴラスティは田舎の方へ行くとタベルナのメニューでもよく見かける料理で、冬のスキー旅行の時はこれが食べたくなります。スープはそのままでもとってもおいしいのですが、トラハナを入れてお粥状にしたものは食べごたえもあり、冷えた体を温めるのにぴったり。意外と癖はないので、ギリシャに来る機会があればぜひ食べてみてください。

牛肉のスープは気軽に作れ、万人受けする味。
近所に住む夫の叔母も昔はたまに作って差し入れてくれていましたが、肉や野菜の具は入ってなくて、クリサラキ(麦粒型パスタ)を入れたスープだけでした。いい出汁が出るためスープによく使われるのはすね肉などですが、潔癖症なところがある叔母が料理する肉は基本的に脂や筋のない赤味の牛肉だけだったので、スープをとったあとの肉は義父母宅の犬のエサになっていたようです。叔母さんのクレアトスパは、フレッシュトマトのほのかな酸味でさっぱりとしていて、シンプルながらもおいしかったです。


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私が自分でよく作るのは、マギリオ(大衆食堂)の大鍋で煮込まれていそうな、肉も野菜もごろごろ入ったスープです。
調味料は塩胡椒だけですが、素材のうまみがたっぷり。特別な材料は全く必要ないので、この冬ぜひお試しください。


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ギリシャ風ビーフスープ(クレアトスパ)

材料:
牛すね肉
塩、黒胡椒(あれば黒粒胡椒も)
ベイリーフ(好みで)
玉ねぎ(好みでポロネギも)
にんじん
ズッキーニ(好みで)
セロリ(あれば葉セロリ)
じゃがいも
オリーブオイル

牛肉は洗って鍋に入れる。かぶるくらいの水を加え中火にかける。沸いてきたら火を弱め、肉の色が変わるまで少し煮る。

火から下ろし、茹で汁は捨てて肉は灰汁をよく洗い流す。鍋も綺麗に洗い、肉を戻してたっぷりかぶるくらいの水を入れる。
※肉を茹でこぼさず作りたい場合、灰汁を丁寧にすくい取る。

再び鍋を中火にかけ、沸いてきたら弱火にする。ベイリーフ、塩、粒胡椒とあればくず野菜(玉ねぎの外側の少し硬い部分やヘタに近い部分、にんじんの皮やヘタなど)も加え、肉が柔らかくなるまで静かに2〜3時間くらい煮る。最初の方で灰汁が浮いてきたらすくって除く。

肉は一旦取り出し、余分な脂などを除く。1人分ずつ大きな塊でも、食べやすく小さく切ってもお好みで。ストックは漉して、粒胡椒やくず野菜は捨てる。

玉ねぎはくし切り、にんじんとズッキーニは輪切り、セロリは粗く刻む。鍋にストックを入れて煮立て、玉ねぎとにんじん、オリーブオイルをひとまわし加え蓋をして弱めの中火でグツグツ煮る。にんじんが柔らかくなってきたら、ズッキーニも加えしばらく煮、厚めの輪切りか半月切りにしたじゃがいも、セロリも加える。

肉も加え、弱火にして静かに煮る。肉も野菜も柔らかく煮えたらできあがり。塩胡椒で味を調える。

MEMO:セロリが苦手な方は、パセリを使ってもいいです。塩が足りてないと、ぼやけた味になります。好みで食べる時にレモンを絞ってもおいしい。ギリシャでは鍋にレモン汁を加え味つけする人もいますが、私は基本的にレモンなしの方が好きなので入れずに作っています。アヴゴレモノ仕立てにしたい場合はこちらのレシピを参照。

バリエーション:具とスープを別盛りにしてもいいです。その場合野菜は丸ごとまたは大きめに切り、スープは小さいパスタか米を汁の実として入れるといいです。