載せるのがすっかり遅くなってしまいましたが、夏休みのプロジェクトのひとつが「クシノホンドロス」を作ることでした。
Ξινόχοντρος
クシノホンドロスとは、クレタ島の伝統的な保存食。粗く挽き割りにした小麦と発酵乳から作られます。ギリシャ各地で作られる「トラハナ」(※)の一種であるとカテゴライズされることも多いですが、クレタ島独特のもので、さまざまな料理に使われます。
これを手作りしたいなとずっと思っていたのですが、なんとなくタイミングを逃していたり、乳を自然に発酵させるプロセスに若干不安があったりで早○年……恐ろしく長い月日が流れていました。で、たまに巡ってくるやる気の波に乗ってようやく着手できたというわけ。
材料はシンプルで、小麦と乳、塩だけ(プラス、オリーブオイルを加える人も)。使うのは牛乳よりも羊乳や山羊乳の方が独特な風味があり適しています。理想としては生乳を使うのがいいんでしょうが、入手が難しいのでスーパーで売ってる山羊乳で作りました。生乳だと一回沸かして殺菌するわけですが、市販のは高温殺菌されているのでパックのまま、発酵するまで置いてみました。カビたりしないよう一日何度かパックを振って混ぜ、匂いを嗅いで様子をチェックします。気温などによりますが、大体数日〜1週間ぐらいで発酵乳になります。匂いを嗅いでみて、不快感のないヨーグルトみたいな発酵臭がすればオッケー(なはず)。
……と、こんな感じで作ってみましたが、この記事を読んで食べてみたいと思った方は、菌が生きてるタイプのヨーグルトを種菌として加え発酵させる方法をお試しください。
発酵食品を作っていて心配になるのは、やはり安全面ですよね。発酵乳に関しては、ヨーグルトを種菌として使うならともかく、ただ置いといて発酵させるのは腐ってるのとどう違うのかというのが一番気になります。これについてはかなりいろいろ調べてみたんですが、結果、よくわかりませんでした。安全と言い切れないものなので、やめといた方がいいですよ〜としか言いようがないみたいな。私も責任は取れませんので、この記事を読んで真似してみたい方は自己責任でお願いします。伝統的な作り方と聞いたものとは微妙に違いますが、上記のようにヨーグルトを作る要領でやってみたり、ヨーグルトと乳を混ぜる方法でもよさそうです。
(ずいぶん前に買った、この麦を使ってしまいたかった)
さて、無事に発酵した山羊乳を2つに分け、ひとつは市販のプリグリ(挽き割り小麦、バルガー小麦、ブルグル)、もうひとつは戻してフードプロセッサーでごく粗く砕いた小麦粒を使い作ってみました。クレタ島の伝統的な作り方ではホンドロスと呼ばれる粗挽きの小麦を使うのですが、プリグリだと粗挽きのものでもまだ細かい&粒が揃いすぎてる気がするのです。ごく粗く挽けるグレインミルがあればよかったのだけど、持ってないので苦肉の策で、そのままだと刃が傷みそうなので戻してからフードプロセッサーにかけるという方法に。結果、あまり上手く砕けなかったのですが、無理やり続行します。
挽き割り小麦を3〜4倍量の発酵乳と合わせ、汁気を吸ってドロドロになるまで、焦げつかないようかき混ぜながら煮ます。
プリグリの方と、
フードプロセッサーで砕いた丸麦の方。
汁気がなくなるまで煮えたら、出来たての状態で食べる場合もあるらしいのですが、大体は保存食として乾燥させます。火から下ろしたら、手でまとめられるぐらいに冷まし、適当な量をとって乾燥させます。
この時、細長く握ったような形だったり、真ん中を凹ませた平丸型だったり好きな形にまとめて乾かすのが一般的ですが、乾いていくのと同時に細かく割ってもいいです。今回はほとんどを握った形で乾かしたのですが、やっぱり煮る時になかなか崩れず少し使いにくかったです。細かい方が使用量の調節もしやすくおすすめ。
プリグリで作ったものの完成品。比較的細かく割ってみました。
丸麦を砕いた方の完成品。
食べてみた感想は、市販のプリグリ(挽き割り小麦)で作ったものよりも自分で丸麦を砕いて作った方が断然おいしかったです。
しっかり乾燥させたクシノホンドロスは長期保存できます。空気が乾燥しているなら布袋で保存もできるけど、虫がつく心配もあるので、一番いいのは密閉して冷蔵庫か冷凍庫に入れることでしょう。うちは場所がないので密閉容器に入れて常温で置いてますが、低温のオーブンで仕上げ乾燥と熱処理することにより防虫対策をしています。
クシノホンドロスは煮込みに入れたりさまざまな料理に使えるわけですが、長くなってしまったので調理例はまた次回にご紹介します。
【関連記事】
※トラハナについてはこちらに詳しく書いています。興味のある方はご覧ください
※2022年の夏に、山羊乳ヨーグルトを種菌にしてクシノホンドロスを作った時の記事です。
※クシノホンドロスの調理例に関しては、いっぱい載せてますのでブログ内検索をご利用ください。
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クシノホンドロスとは、クレタ島の伝統的な保存食。粗く挽き割りにした小麦と発酵乳から作られます。ギリシャ各地で作られる「トラハナ」(※)の一種であるとカテゴライズされることも多いですが、クレタ島独特のもので、さまざまな料理に使われます。
これを手作りしたいなとずっと思っていたのですが、なんとなくタイミングを逃していたり、乳を自然に発酵させるプロセスに若干不安があったりで早○年……恐ろしく長い月日が流れていました。で、たまに巡ってくるやる気の波に乗ってようやく着手できたというわけ。
材料はシンプルで、小麦と乳、塩だけ(プラス、オリーブオイルを加える人も)。使うのは牛乳よりも羊乳や山羊乳の方が独特な風味があり適しています。理想としては生乳を使うのがいいんでしょうが、入手が難しいのでスーパーで売ってる山羊乳で作りました。生乳だと一回沸かして殺菌するわけですが、市販のは高温殺菌されているのでパックのまま、発酵するまで置いてみました。カビたりしないよう一日何度かパックを振って混ぜ、匂いを嗅いで様子をチェックします。気温などによりますが、大体数日〜1週間ぐらいで発酵乳になります。匂いを嗅いでみて、不快感のないヨーグルトみたいな発酵臭がすればオッケー(なはず)。
……と、こんな感じで作ってみましたが、この記事を読んで食べてみたいと思った方は、菌が生きてるタイプのヨーグルトを種菌として加え発酵させる方法をお試しください。
発酵食品を作っていて心配になるのは、やはり安全面ですよね。発酵乳に関しては、ヨーグルトを種菌として使うならともかく、ただ置いといて発酵させるのは腐ってるのとどう違うのかというのが一番気になります。これについてはかなりいろいろ調べてみたんですが、結果、よくわかりませんでした。安全と言い切れないものなので、やめといた方がいいですよ〜としか言いようがないみたいな。私も責任は取れませんので、この記事を読んで真似してみたい方は自己責任でお願いします。伝統的な作り方と聞いたものとは微妙に違いますが、上記のようにヨーグルトを作る要領でやってみたり、ヨーグルトと乳を混ぜる方法でもよさそうです。
(ずいぶん前に買った、この麦を使ってしまいたかった)
さて、無事に発酵した山羊乳を2つに分け、ひとつは市販のプリグリ(挽き割り小麦、バルガー小麦、ブルグル)、もうひとつは戻してフードプロセッサーでごく粗く砕いた小麦粒を使い作ってみました。クレタ島の伝統的な作り方ではホンドロスと呼ばれる粗挽きの小麦を使うのですが、プリグリだと粗挽きのものでもまだ細かい&粒が揃いすぎてる気がするのです。ごく粗く挽けるグレインミルがあればよかったのだけど、持ってないので苦肉の策で、そのままだと刃が傷みそうなので戻してからフードプロセッサーにかけるという方法に。結果、あまり上手く砕けなかったのですが、無理やり続行します。
挽き割り小麦を3〜4倍量の発酵乳と合わせ、汁気を吸ってドロドロになるまで、焦げつかないようかき混ぜながら煮ます。
プリグリの方と、
フードプロセッサーで砕いた丸麦の方。
汁気がなくなるまで煮えたら、出来たての状態で食べる場合もあるらしいのですが、大体は保存食として乾燥させます。火から下ろしたら、手でまとめられるぐらいに冷まし、適当な量をとって乾燥させます。
この時、細長く握ったような形だったり、真ん中を凹ませた平丸型だったり好きな形にまとめて乾かすのが一般的ですが、乾いていくのと同時に細かく割ってもいいです。今回はほとんどを握った形で乾かしたのですが、やっぱり煮る時になかなか崩れず少し使いにくかったです。細かい方が使用量の調節もしやすくおすすめ。
プリグリで作ったものの完成品。比較的細かく割ってみました。
丸麦を砕いた方の完成品。
食べてみた感想は、市販のプリグリ(挽き割り小麦)で作ったものよりも自分で丸麦を砕いて作った方が断然おいしかったです。
しっかり乾燥させたクシノホンドロスは長期保存できます。空気が乾燥しているなら布袋で保存もできるけど、虫がつく心配もあるので、一番いいのは密閉して冷蔵庫か冷凍庫に入れることでしょう。うちは場所がないので密閉容器に入れて常温で置いてますが、低温のオーブンで仕上げ乾燥と熱処理することにより防虫対策をしています。
クシノホンドロスは煮込みに入れたりさまざまな料理に使えるわけですが、長くなってしまったので調理例はまた次回にご紹介します。
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※トラハナについてはこちらに詳しく書いています。興味のある方はご覧ください
※2022年の夏に、山羊乳ヨーグルトを種菌にしてクシノホンドロスを作った時の記事です。
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