今日からサマータイム。このシステムは好きなんですが、冬時間から夏時間に切り替わるときは時計が1時間進むので、ちょっと慌しい日曜日です。

2023.03.25 salt cod with spaghetti
Μπακαλιάρος με μακαρόνια

さて、昨日3月25日はギリシャの独立記念日と生神女福音祭(受胎告知の日)のダブル祝日でした。ギリシャ正教では復活祭を前にした断食期間中ですが、この日は魚食が許されるので魚料理を食べるのが伝統(※1)。特に干し鱈のフライにガーリックをたっぷり効かせたディップを添えた「バカリァロス・スコルダリァ」という料理が定番です。

我が家ではバカリァロス・スコルダリァを作る年もあり、違う料理を作る年もあり……と、その時の私の気分やスケジュール次第なんですが、昨日は家族が出かけたりバタバタしていたので、魚料理は長女と私だけ。昼ごはんに干し鱈のスパゲッティ(マカローニャ)を作りました。

ギリシャのパスタ料理は茹でてないパスタを直接ソースに加えて煮たりオーブン焼きにする調理法で作られるものも多く、これもそのひとつです。今回は、ギリシャ人はあまりやらないかもしれないけどスパゲッティを水戻しする方法(※2)で作ってレシピ化してみました。

茹でたパスタの食感の方が好きな方はもちろんそうやって作ってもいいですが、その場合アルデンテより少し硬めに茹で、ソースに加えてから少し煮るのがおすすめです。



※1:ギリシャ正教の断食にはいくつかの段階があり、動物性の食品を節食するというのが基本。乳製品や卵も禁じられますが、血が通っておらず骨が無いとされる軟体動物(タコ、イカ、貝、エビ、カタツムリなど)と魚卵は禁止食品に含まれません。復活祭前の長い断食期間中、例外的に魚食が許可されるのは2回あり、そのひとつが3月25日の生神女福音祭。どんな魚を食べてもいいけれど干し鱈が定番となっているのは、塩漬け処理され血の気がないこと、海から離れた土地でも手に入る魚だったという2つの理由があるようです。

※2:パスタを水に浸けて調理時間を短縮する方法は日本ではよく取り上げられおなじみになっています。ギリシャの料理の本でそのような方法を見たという話を前にどこかで見かけたのですが、私自身はレシピの記述や実際にやっている人を見たことはないです。ギリシャ人がよくやる方法だとスパゲッティの場合は鍋におさまるよう半分またはもっと短く折って加えますが、今回は水戻しの方法でレシピを書いてみました。お好みの方法で(水加減は適宜調整して)お試しください。


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干し鱈のスパゲッティ(バカリァロス・メ・マカローニャ)

材料:(2人分)
干し鱈...手のひら大の切り身2切れ(約230g)
スパゲッティ...180〜200g
にんにく...大きめ2片
玉ねぎ...小1/2個(約40g)
トマト...中1個(約180g)
オリーブオイル...大さじ4
トマトペースト...大さじ2
塩、こしょう、赤唐辛子フレーク...各適量
ベイリーフ...1枚

干し鱈は水に浸けて冷蔵庫で1日半〜2日くらいかけて塩抜きする。途中何度か水を換え、程よい塩気が残るぐらいになったら水気を切っておく。

スパゲッティは1時間〜それ以上水に浸けて、芯がなくなるまで戻しておく。その間にソースの準備をする。

にんにくはガーリックプレスでつぶすかグレーターの小さい方の丸穴ですりおろしてフライパンに入れ、オリーブオイルを加える。玉ねぎ、トマトはそれぞれグレーターの大きい丸穴で粗くすりおろしておく。

2023.03.25 salt cod with spaghetti1
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にんにくとオイルの入ったフライパンを弱火にかけて熱し、少し炒めて香りが立ったら玉ねぎを加える。火が通り黄金色に色づいてきたら赤唐辛子フレークとこしょうをひとつまみずつぐらい加えさっと炒め、トマトペーストを加えオイルとなじませるように炒める。

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すりおろしトマトも加えなじむまで炒め、水1/2カップとベイリーフを加え、鱈の身を下にして加える。ふたをして2分ほど弱火で煮、皮が下になるようひっくり返してさらに10分ほど煮る。トマトの酸味をやわらげたい場合は砂糖ひとつまみを加える。

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塩(鱈の塩気があるので味見して必要なら加える)こしょうで味をととのえ、鱈を端に寄せて水気を切ったスパゲッティを加える。ソースを絡めてからひたひたに水加減をし、ふたをして中火で約3分ぐつぐつ煮る。スパゲッティに火が通り、ソースが煮詰まったらできあがり。もし汁気が足りない場合は適宜水を足す。

最後にもう一度味をととのえ、器に盛る。

MEMO:ギリシャで普通にやる方法だとスパゲッティは水戻しせず加えます。その場合は水を多めに加え、煮る時間も長くなるので最初に鱈を煮る時間は半分くらいでいいです。

バリエーション:丸ごとのブラックオリーブを10粒程度入れて作ってもおいしいです。

材料について:ギリシャの干し鱈は棒鱈のようにカチカチではなく、たっぷりの粗塩をまとった柔らかいタイプです。味や食感は少し変わりますが、棒鱈や甘塩鱈で作ってもOK。甘塩鱈は身がやわらかいので煮る時間を短めにし、パスタを加えて煮る時は崩れそうなら一旦取り出してください。