先月の半ばからクリスマス前の断食期間に入っているので、決まりごとに従って動物性食品を断つまではしていないものの、なんとなくそれっぽい気分の料理をよく作っています。
今日ご紹介するひと皿は、11月終わりに作った「いかと豆とカフカリスラの煮込み」です。丁度その一週間前に作っていた「干し鱈と豆と青菜の煮込み」に似ていますが、あの時チャービルとフェンネルを使ったら、やっぱりカフカリスラも欲しくなって翌週市場へ買いに行ったのでした。
カフカリスラはパイに入れたりしたほか、たっぷり野菜感覚で煮込みにしようと思い立ち、ニスティシマ(ギリシャの断食料理)でよくやる野菜とシーフードとの組み合わせにしてみました。
ところでカフカリスラについては以前も何度か書いていますが、ギリシャ以外ではあまり馴染みのないハーブかと思いますので、ちょっと説明しておきます。
ギリシャ語ではΚαυκαλήθρα、英語ではMediterranean hartwort。
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する、セリ科(ニンジン科)トルディリウム属のトルディリウム・アプルム(Tordylium apulum)という植物です。
独特の香りがあるカフカリスラはギリシャでは料理に使われ、特に青菜のパイにはよく入れるハーブのひとつです。
野山に生えているのも見かけますが、目につきやすいのは春に花を咲かせる時期で、花弁が白いハートの形をした可憐な姿がとても印象的です。ちなみにこういう見た目の花はセリ科によくあるようで、日本で知られるものだと、葉っぱや香りは違うのですがコリアンダーやオルラヤ(オルレア)の花が似ています。
うちの近所の丘でもよく見るので散歩のときに探したりしているのですが、私がカフカリスラに惹かれるのは料理に活躍することや花が可愛いだけでなく、花のあとの変化の様子が面白いというのも大きな理由です。
なんと、こんな形の種ができるのですよ。どうしてこうなった!?って感じですが、あの花が散ってからギザギザの歯みたいに成長するのが不思議。
種は熟すと、歯の部分と分解されて散っていきます。妖精の入れ歯みたいで面白いなと思うのですが、見ててちょっとぞわっとする人も多いのではないでしょうか?
ギリシャを旅する機会があれば、ぜひ探してみてくださいね。
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いかとうずら豆とカフカリスラの煮込み
作り方:
うずら豆は前もって戻し、一度茹でこぼしてからやわらかくなるまで茹でておきます。
いかは下処理し、食べやすく切っておく。玉ねぎは短い薄切り、にんにくは入れても入れなくてもいいけど、粗みじんくらいに刻む。トマトは控えめな量をすりおろすか皮をむいて刻む(もしくは生トマトじゃなくトマトペーストでも)。カフカリスラは根っこも使用。きれいに洗って、根元は縦半分に切り、あとはざく切りにしておきます。あればチャービルも適量刻んでおきます。
鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて色づかせないよう弱火で炒め、香りが立ったら玉ねぎも加えやわらかくなるまで炒めます。いかを加え炒め、プリッと仕上げたい場合は(玉ねぎとにんにくをできるだけ鍋に残して)一旦取り出します。
鍋にトマトまたはトマトペーストも加え、オイルとなじませるように炒めたら、豆とカフカリスラとチャービルを加え、豆の茹で汁をひたひたぐらいに加え軽く塩こしょうして煮込みます。
いかを一緒に煮ている場合は、全体がやわらかくなるまで。いかを取り分けてる場合は豆とハーブがくたっとやわらかくなるまで煮たら、いかを戻して軽く煮て味をなじませます。塩こしょうでもう一度味をととのえてできあがり。
お好みで、赤唐辛子フレークをちょっと入れるか仕上げにふりかけてピリッとさせてもおいしいです。
※うずら豆の代わりにひよこ豆か白いんげん豆などでもいいです。カフカリスラはギリシャ以外だと入手がちょっと難しそうなので(イタリア辺りでも料理に使うことはあるようですが)、味は変わりますがフェンネルでも。その場合は丸ごとのオリーブを何個か入れて煮るのも好きです。
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【追記】
カフカリスラのイタリアでの名前は他にも複数あるのかもしれませんが、“プーリアの傘”(ombrellino pugliese)と呼ばれるそうです。ローマ風の生野草ミックスサラダについての記事を見つけました。野に生えるさまざまな野草やハーブを集めてオリーブオイルと塩とワインビネガーで食べるサラダはギリシャにも同じものがあり(茹でて食べるホルタとはまた別物)、とても興味深いです。
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今日ご紹介するひと皿は、11月終わりに作った「いかと豆とカフカリスラの煮込み」です。丁度その一週間前に作っていた「干し鱈と豆と青菜の煮込み」に似ていますが、あの時チャービルとフェンネルを使ったら、やっぱりカフカリスラも欲しくなって翌週市場へ買いに行ったのでした。
カフカリスラはパイに入れたりしたほか、たっぷり野菜感覚で煮込みにしようと思い立ち、ニスティシマ(ギリシャの断食料理)でよくやる野菜とシーフードとの組み合わせにしてみました。
ところでカフカリスラについては以前も何度か書いていますが、ギリシャ以外ではあまり馴染みのないハーブかと思いますので、ちょっと説明しておきます。
ギリシャ語ではΚαυκαλήθρα、英語ではMediterranean hartwort。
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する、セリ科(ニンジン科)トルディリウム属のトルディリウム・アプルム(Tordylium apulum)という植物です。
独特の香りがあるカフカリスラはギリシャでは料理に使われ、特に青菜のパイにはよく入れるハーブのひとつです。
野山に生えているのも見かけますが、目につきやすいのは春に花を咲かせる時期で、花弁が白いハートの形をした可憐な姿がとても印象的です。ちなみにこういう見た目の花はセリ科によくあるようで、日本で知られるものだと、葉っぱや香りは違うのですがコリアンダーやオルラヤ(オルレア)の花が似ています。
うちの近所の丘でもよく見るので散歩のときに探したりしているのですが、私がカフカリスラに惹かれるのは料理に活躍することや花が可愛いだけでなく、花のあとの変化の様子が面白いというのも大きな理由です。
なんと、こんな形の種ができるのですよ。どうしてこうなった!?って感じですが、あの花が散ってからギザギザの歯みたいに成長するのが不思議。
種は熟すと、歯の部分と分解されて散っていきます。妖精の入れ歯みたいで面白いなと思うのですが、見ててちょっとぞわっとする人も多いのではないでしょうか?
ギリシャを旅する機会があれば、ぜひ探してみてくださいね。
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いかとうずら豆とカフカリスラの煮込み
作り方:
うずら豆は前もって戻し、一度茹でこぼしてからやわらかくなるまで茹でておきます。
いかは下処理し、食べやすく切っておく。玉ねぎは短い薄切り、にんにくは入れても入れなくてもいいけど、粗みじんくらいに刻む。トマトは控えめな量をすりおろすか皮をむいて刻む(もしくは生トマトじゃなくトマトペーストでも)。カフカリスラは根っこも使用。きれいに洗って、根元は縦半分に切り、あとはざく切りにしておきます。あればチャービルも適量刻んでおきます。
鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて色づかせないよう弱火で炒め、香りが立ったら玉ねぎも加えやわらかくなるまで炒めます。いかを加え炒め、プリッと仕上げたい場合は(玉ねぎとにんにくをできるだけ鍋に残して)一旦取り出します。
鍋にトマトまたはトマトペーストも加え、オイルとなじませるように炒めたら、豆とカフカリスラとチャービルを加え、豆の茹で汁をひたひたぐらいに加え軽く塩こしょうして煮込みます。
いかを一緒に煮ている場合は、全体がやわらかくなるまで。いかを取り分けてる場合は豆とハーブがくたっとやわらかくなるまで煮たら、いかを戻して軽く煮て味をなじませます。塩こしょうでもう一度味をととのえてできあがり。
お好みで、赤唐辛子フレークをちょっと入れるか仕上げにふりかけてピリッとさせてもおいしいです。
※うずら豆の代わりにひよこ豆か白いんげん豆などでもいいです。カフカリスラはギリシャ以外だと入手がちょっと難しそうなので(イタリア辺りでも料理に使うことはあるようですが)、味は変わりますがフェンネルでも。その場合は丸ごとのオリーブを何個か入れて煮るのも好きです。
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【追記】
カフカリスラのイタリアでの名前は他にも複数あるのかもしれませんが、“プーリアの傘”(ombrellino pugliese)と呼ばれるそうです。ローマ風の生野草ミックスサラダについての記事を見つけました。野に生えるさまざまな野草やハーブを集めてオリーブオイルと塩とワインビネガーで食べるサラダはギリシャにも同じものがあり(茹でて食べるホルタとはまた別物)、とても興味深いです。
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