昨日はカサリ・デフテラといって、復活祭に向けての長い断食期間であるメガリ・テサラコスティ(サラコスティ)のはじまりの日でした。

2024.03.18
ギリシャでは祝日なので、みんなで集まって食事をしたり、凧揚げやピクニックに出かけたり楽しく過ごします。ギリシャ正教の断食メニューは動物性のものや血の出る魚は食べないけれど、その他のシーフードは食べて大丈夫なので、特に初日かつ祝日であるこの日は奮発してテーブルがご馳走で埋め尽くされるというのも珍しくありません。

うちは私以外みんなシーフードが苦手なので、毎年自分が食べたいものでやらせてもらってます。去年は油抜き断食メニューで節制を心がけたテーマにしたけど、今回は久々にタコを食べたくなって先週のうちに買ってあったのでした。手元にあった食材たちとあわせて形になったメニューはこちら。

・タコとハネムスカリ球根の土鍋焼き
・乾燥そら豆のミント風味煮込み
・ハネムスカリ球根のホイル焼き
・タラモサラタ
・ルピーニ、オリーブ、トマト、ルッコラ
・きゅうりのビネガーがけとケイパー
・ラガナ(本来は発酵させてない平焼きパン)
・りんごとヘーゼルナッツ入りセモリナ粉のハルヴァ

ギリシャにキリスト教が入ってくるずっと前から食べられていた食材がほとんどとなっています。たとえば先日も載せたハネムスカリ球根やルピーニ。これらは地方によっては断食期間によく食べられるものだったりもします。

シーフードはイカかタコかちょっと迷って、甲イカの墨煮かそれを使った真っ黒なピラフにかなり心が傾いていたのだけど、昔作ったタコとハネムスカリ球根の煮込みをトマトに頼らずもう一度作りたくなったのです。結局そこからまた少し違うことを思いつき、土鍋焼きになりましたが。長くなるので球根を使った2品についての詳細はまた後日。


2024.03.18 broad bean stew
乾燥そら豆は、先日の料理に使った残り。同じくクレタ島の料理で、ミントを加えた煮込みを昔作った記憶が蘇ってきました。元の料理をどこで見たのか思い出せないのでうろ覚えですが、玉ねぎやトマトを炒めたところに一度茹でこぼしたそら豆を加え煮、最後の方で刻んだミントを加えます。

ラガナという平たくて大きなパンと並んで、カサリ・デフテラには欠かせないタラモサラタ。去年考えたノンオイルのもよかったなぁと思いつつ、ベーシックにパンをつなぎにしたタイプのを作りました。

オリーブ、トマト、ルッコラと一緒のお皿に盛り付けた黄色い豆はルピナスの種子であるルピーニ(ルピナ)。ルピーニは現代のギリシャではそれほど食べられるものではなく、アテネでは品揃えのいい乾物屋さんなどで売っています。ペロポニソス半島のラコニアやクレタ島では断食期間によく食べるそう。特に厳しく節制をする日には乾パンやナッツ、ほとんど手を加えない野菜といったものだけ口にするのですが、ルピーニもそんな質素な食べもののひとつです。

お菓子はセモリナ粉のハルヴァにしました。ハルヴァと呼ばれるお菓子はいろんな種類があり、いずれも断食期間中によく食べられるもの。カサリ・デフテラにはごまペースト(タヒニ)で作ったサクサク・ほろほろ食感で口どけのいいヌガーの仲間のようなタイプが特にポピュラーな気がしますが、最近ごまやタヒニを食べ過ぎだったので。ごまペーストのハルヴァとは全然違う感じのお菓子ですが、セモリナ粉の粒感とほろっとした食感で日本のお菓子にも似たものがあったような、なんとなく懐かしい味わいです。


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