受難週の半ば。復活祭前の断食期間も残すところあとわずかですが、去年から載せそびれていた油抜きニスティシマのパスタを慌ててご紹介します。

2024.04.30 pasta
Αλάδωτα νηστίσιμα μακαρόνια με γαρίδες, ταχίνι και πελτέ

ニスティシマというのは、ギリシャ正教の断食(食事節制)のルールに従った食べ物のこと。基本は植物性で、一部シーフード(血が出ないとされるもの)を含みます。敬虔なクリスチャンは年間通してかなりの日数をこのような食事で過ごすわけですが、日によっては油さえ使わない場合も。その辺のことは関連記事に書いていますので興味のある方はご一読ください。

本来の目的からすると、特に油抜きの日にはおいしさを追及したりせず、ほぼ手をかけない質素な食事をするのが正しいのだと思います。しかしながら、聖山アトスの修道僧の作る料理など見ていると、ハーブやスパイスを一般的なギリシャ料理より多めに使ったりという工夫も見られます。
近年関心の高まっているヴィーガンやプラントベースの食材や料理との融合もあり、時代とともに変わっていくニスティシマ料理は、ギリシャ料理を長年研究している私にとってはかなり興味深いカテゴリです。


2023.12.23 pasta
大層なことを言いましたが、おいしいニスティシマ料理を考えるのが楽しいだけなんですけどね。ニスティシマは日本で買うと高価なチーズを使わないし、ものによってはオリーブオイル(こちらもかなり高騰中!)も不使用なので、コストを抑えるという利点もあります。もちろんニスティシマでない料理も知ってもらいたいですが、より多くの方にギリシャ料理を味わっていただけるのではないかなという可能性を感じています。


2024.04.30 pasta1
今回ご紹介するパスタは、少ない材料と手間で作れるアラドタ(油抜き)のニスティシマ料理。油抜きの料理やお菓子でよく使われるタヒニ(ごまペースト)でソースを作ります。トマト味とレモン味の2種類のレシピを書いたので、ぜひお試しくださいね。具材としてえびを使いましたが、野菜を使えばヴィーガンレシピになりますし、シンプルにソースだけでもおいしいです。


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オイルなしの日のトマト味タヒニソースパスタ

材料:(1人分)
くるみまたは他のナッツ...好みで約10g
好みの具材(えび、きのこなど)...ひとつかみ程度
タヒニまたは練りごま...大さじ11/2
にんにく...小さめ1かけ
赤唐辛子フレーク...ひとつまみ
トマトペースト...大さじ1
パセリまたは他のハーブ...粗く刻んで大さじ1
乾燥パスタ...約100g
塩、こしょう

くるみ(使う場合)はあとでソースを作るのに使うフライパンで香ばしくなる程度に軽く炒って取り出し、粗く刻んでおく。パスタを茹でるお湯を沸かし始める。具材を入れる場合、適宜下処理しておく。

2024.04.30 pasta2
フライパンにタヒニを入れ、みじん切りまたはガーリックプレスでつぶしたにんにくを加える。弱火にかけて焦げないようゆっくり加熱し、にんにくの生っぽさがなくなってきたら赤唐辛子と好みの具材を加える。


2024.04.30 pasta3
火が通ってきたらトマトペーストも加え香りが立つまで炒める。焦げ付きそうならパスタの鍋からお湯を少し加えて炒め煮にし、塩こしょうで少し薄めの味にととのえておく(あとでパスタの茹で汁も加えるため)。具材に火が通ったら火からおろす。

お湯が沸いたら塩を加えパスタを茹でる。

パスタがアルデンテに茹であがったら、鍋からすくってフライパンに移す(ショートパスタの場合はざるにあけるが、茹で汁を少し取り分けておく)。ハーブと茹で汁適量を加え手早く和える。
器に盛り、刻んだくるみを散らす。

MEMO:具材はえびを使いましたが、貝(私は冷凍ムール貝の剥き身をよく使います)、いか、きのこ、カリフラワーなどもおすすめです。オイルなしパスタでくっつきやすいので、ソースを気持ちゆるめにすると食べる時に丁度よくなります。ハーブはパセリのほかにバジル、フェンネル、ディル、オレガノなど合いそうなものなら何でも。香りが強いハーブは控えめに加えます。
ナッツはくるみを使いましたが、他のものでもいいです。炒ってもそのままでもそれぞれにおいしさがあるので、使うナッツの種類や気分によってお好みで。


オイルなしの日のレモン味タヒニソースパスタ

材料:(1人分)
タヒニまたは練りごま...大さじ2弱
にんにく...小さめ1かけ
赤唐辛子フレーク...ひとつまみ
ディルまたはパセリ...約5本
乾燥パスタ...約100g

レモン汁...約大さじ1
ナッツやいりごま...好みで適量

フライパンにタヒニを入れ、みじん切りまたはガーリックプレスでつぶしたにんにくを加える。弱火にかけて焦げつかせないようゆっくり加熱し、にんにくの生っぽさがなくなってきたら赤唐辛子も加え香りが立つまで炒める。ディルまたはパセリは刻んでおく。

塩を加えた湯でパスタを茹でる。途中、茹で汁をお玉に軽く一杯ぐらい取ってタヒニに加えのばしておく。

パスタがアルデンテに茹であがったら、鍋からすくってフライパンに移す(ショートパスタの場合はざるにあけるが、茹で汁を少し取り分けておく)。ハーブとレモン汁も加え手早く和え、必要なら茹で汁を足して水分調整する。

MEMO:こちらもトマト味のと同様、具材を入れて作れます。オイルなしパスタで少しくっつきやすいので、できあがりは若干ゆるめにすると食べる時に丁度よくなります。レモン汁は好みで。酸味が苦手な人はレモンなしで作ったり、レモンを別添えにして食べる時にかけても。