10月半ばにクレタ島のハニアへ行ってましたが、その後から調整を繰り返していたのがブレキのレシピです。

2024.12.04 boureki
Χανιώτικο μπουρέκι

ギリシャの郷土料理の中でも人気が高くよく知られるジャンルの筆頭がクレタ料理。クレタ島出身者のコミュニティもあちこちにあることから、全国的にクレタ料理店や食材店の数は多く、特にアテネなど大きな都市ではよく見かけます。
そのためアテネに住んでいてもクレタ料理はいろいろ食べられるのですが、そういえば見かけないかも?と思ってた料理のひとつがハニア風ブレキ(ハニオティコ・ブレキ、コロキソブレコ)でした。ミニパイやフライパンで焼いたり揚げたりするパイはどこのクレタ料理レストランでもあるけど、どっしりしたタイプのはあまり無いような気がします。

ハニア風のブレキはズッキーニとじゃがいもとフレッシュチーズを何層にも重ねて素朴な生地で包みじっくり焼き上げた一品。パイの一種ですが、食事のメインとして食べられるボリュームのあるものです。これを現地で食べてみたくてレストランで注文したら、運ばれてきたのはパイ生地で包まれてないタイプだったのでちょっとがっかり……ということがあったのでした。

ブレキは他では入手困難な地元産のチーズを使うことが味のポイントだと思ってるのでレシピ化するつもりはなかったんですが、レストランで食べたものが味の点でもまあまあで少々残念だったがために、これはやるしかないのでは?と自分の中でプロジェクトが立ち上がったのでした。


2024.11.12 boureki
プロトタイプは四角い耐熱容器でどーんと大きめに焼いたもの。ギリシャの家庭だと、うちで使ってるのよりもっと巨大な容器で作るでしょうけど。この時は野菜の下ごしらえとして軽くフライパン焼きにする方法で作りました。

2024.11.20 boureki
2度目からは、日本でも作りやすそうなサイズにスケールダウンし、野菜は生のまま入れる方法に。
分量的にはいい感じでレシピが書けたんですが、ここで「チーズの入手問題」が気になり、いっそ自家製チーズの方がいいのでは?と思い試作第3弾に踏み切りました。

ギリシャのフレッシュチーズの代用品はリコッタかカッテージチーズ辺りですが、売ってる店が限られそうだし値段もかなりするんですね。ギリシャでも普通はハニアのフレッシュチーズじゃなく他のもの(アンソティロにフェタ少し加えるのがよさそう)で代用することになります。

それで牛乳とレモン汁で簡単に作るフレッシュチーズを使ってみたところ、味も食感も一番私の好みに仕上がり、日本の方にも作れるレシピとしてはいい落としどころではないかなぁと密かに自信を持って書いたのが今回ご紹介するレシピです。


2024.12.04 boureki1
牛乳1リットルで切りのいい分量にしたかったので最初に作ったのよりチーズの量は控えめなのですが、味的には申し分なく、バランスよく仕上がったと思います。トマトは酸味がいいアクセントになるけれど(3回目のだけトマトなしで作りました)なくても美味しいのでお好みで。
少し手間と時間はかかりますが、作業自体は簡単なのでぜひお試しください。


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ハニア風ズッキーニのブレキ(ハニオティコ・ブレキ)

材料:(直径18cmのパイ皿1台分)
生地:
中力粉...200g
塩...小さじ1/3
オリーブオイル...大さじ2
水...80〜100ml
ラキ(あれば、グラッパやウォッカ、焼酎でも)...大さじ1
またはワインビネガー...小さじ1/2
フィリング:
ズッキーニ...中11/2〜2本(350g)
じゃがいも...中1個(150g)
トマト(好みで)...小1/2個(60g)
フレッシュチーズ...下記レシピ分
またはアンソティロかリコッタチーズ...200g
スペアミント...3〜4本
塩、こしょう...適量
仕上げ用:
コーンスターチまたは小麦粉...打ち粉用に適量
オリーブオイル...適量
ごま...好みで適量

2024.11.20 boureki1
ズッキーニは5mm厚さに切って塩小さじ1/4をまぶし、ざるに入れて汁気をよく切っておく。

生地を作る。ボウルに中力粉を入れて真ん中をくぼませ、残りの生地材料を加えまとまるまで捏ねる。覆いをして30分〜それ以上休ませておく。

フレッシュチーズは塩小さじ1/4を加えフォークでつぶすように混ぜ、刻んだミントを合わせておく。

じゃがいもは5mm厚さに切り、塩ひとつまみを加え混ぜる。トマトを入れる場合、これも5mm厚さに切っておく。

オーブンは190℃に予熱する。

2024.12.04 boureki2
休ませた生地の2/3量にコーンスターチか小麦粉で打ち粉をしてパイ皿から少しはみ出るくらいの大きさにのばし、オリーブオイルを塗ったパイ皿に敷く。水気を切ったじゃがいもを半量並べ、こしょう少々をふってその上にズッキーニの半量を重ね、チーズ半量をのせる。残りのじゃがいも、こしょう、残りのズッキーニ、トマトを入れる場合はトマト全量、残りのチーズを重ねる。

2024.11.20 boureki2
残りの生地をのばしてかぶせ、端をねじってとめる。オリーブオイルを塗り、好みでごまを散らす。あとで切り分けたいところに、上の生地だけに切り目を入れる。

2024.11.20 boureki3
予熱したオーブンに入れ、きつね色になるまで1時間焼く。

MEMO:チーズ多めで作りたい場合、フレッシュチーズの分量を1.5倍(牛乳1.5リットル分)にしてください。

自家製フレッシュチーズの作り方:牛乳1リットルを沸騰させ、レモン汁大さじ3を加えさっと混ぜて火からおろす。しばらく置いてモロモロと凝固したらガーゼを敷いたざるにそっとあけ、ある程度水気が切れたらガーゼを寄せてかぶせ重石をして余分な水分を切る。約160gできる。