ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: 料理・食べ物について

買出しの日って、歩き回って重い荷物抱えて帰るだけで疲れるので、最低限の手間でできる料理しか作りたくないのだけど、めずらしく勢いがついてイェミスタをこしらえました。

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花ズッキーニの米詰めを食べたいなぁと春から思っていて、ドルマダキァ(ぶどうの葉の米詰め)と盛り合わせにするつもりでぶどうの葉を冷凍してあったのですが、久々にズッキーニの雄花を探してみたら、なかなか出会えず。
近年はレストランのメニューで花ズッキーニをよく見かけるようになって、喜ばしいことなんだけど、そのせいでもしかしたら青空市場にはあまり出回らなくなっているのかもしれません。

仕方ないので花付きのズッキーニ(日本で花ズッキーニとして売られてるものよりはズッキーニ部分が大きく育っている)で我慢することにし、一抹の寂しさを埋めたくて夏野菜のイェミスタをあわせてみました。


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焼く前の状態。全部おさまらないので、花ズッキーニとドルマダキァは別容器に分けました。こちらは夏野菜組より先にオーブンから出します。じゃがいもは、頑張って隙間に詰め込むもこれぐらいが限界……おいしいからもっと入れたいのだけど。


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イェミスタって時間はかかるものの、作業自体そんなに手間ではないんですが、「作ろう!」って気持ちに持っていくのがなかなか。簡単にトマトとピーマンだけにしようかなと迷ったのだけど、ズッキーニも3本くり抜きました。中身は同じでも、それを包み込む野菜によって味わいが変わるんですよね。やっぱりバラエティがあるとうれしいです。


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フィリングは肉なしで作る時の方が多いけど、長女がいたので聞いてみたら、肉入りがいいとのこと。私のレシピのお手本となっている叔母さんのイェミスタは、狂牛病騒ぎ以降は肉なしになったんですが、それまではいつもひき肉入りでした。ミントを多めに入れて、隠し味にすりおろしチーズ。パセリを買いそびれたので、刻んで冷凍してあったディルとフェンネルを入れました。


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今回雌花だけで作って気づいたのは、満足度がかなり下がるということ。雄花も雌花も味は変わらないと言う人もいるけど、ああ、そういえば私は雄花の土台の丸っこくて厚みのある部分を楽しみに食べていたのでした。
よく売ってる時期は春から初夏ぐらいのようなので、また今度出会えたらためらわずに買おうと思います。


【関連レシピ】

今週は天気予報に最高気温40度の数字が出てきて、ついに来たか〜とうんざりしつつも、今のところは長く熱波が続く感じではなくホッとしています。去年は暑さに途切れがなくしんどかったので、夏中これぐらいだといいのですが。

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暑くても関係なく我が家では夫の希望で毎週日曜がピッツァと決まってるので、オーブンをつけるついでに他の料理やお菓子も焼いたりしています。数日困らないくらいの量を作れたらいいけど、そこまでやる気力はないので大抵は野菜を放り込んでおく程度。先日はバナナピーマンと唐辛子のマリネや、焼きなすサラダを作りました。

ポピュラーなギリシャ料理のメゼのひとつ「メリジャノサラタ」は和訳すると「焼きなすサラダ」ですが、焼きなすディップと認識する人も多い料理。「貧乏人のキャビア」と呼ばれるものと似ています。
メリジャノサラタはギリシャの中でも副材料や味つけにいろいろバリエーションがあって、どれぐらいのテクスチャーに仕上げるかもお好みですが、フードプロセッサーを使うよりも、フォークでざっくり潰して粗く仕上げるのが好きです。

春頃に友人たちと行ったメゼレストランでメリジャノサラタを頼んだら、あまり他では見ない、パプリカをきかせたタイプのが出てきました。野菜のパプリカが入ってるのはよくあるのだけど、その店のはスパイスのパプリカが結構たっぷりと使われていたのが印象的で、夏野菜の時期になったらあのイメージで作ってレシピ化したかったのです。

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ワインビネガーでさっぱりした味の焼きなすは、夏のおつまみに最高。
レシピ本「ギリシャのごはん」「おうちでギリシャ居酒屋」でもメリジャノサラタをいくつかご紹介していますが、こちらもぜひお試しください。

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先日とうもろこしクシノホンドロス入りの夏野菜のごった煮を作った時に、イカリア島の郷土料理のことを思い出しました。

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その料理については何年も前に載せたつもりが、こちらに記事が無いようなので、簡単にご紹介しておきます。

健康的な食生活やライフスタイルで知られる“長寿の島”イカリア島。ギリシャの他の島々や田舎とさほど変わらないのでは?とも思うのですが、世界の中で最も長寿者が集中している地域「ブルーゾーン」のひとつとして知名度が上がったおかげで、訪れる人がかなり増えたようですね。去年のバカンス帰りのフェリーで、経由地のひとつだったイカリア島から乗り込んでくる乗客がとても多くてびっくりしました。

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「イカロスの島へようこそ」と書かれている、イカリア島の港。
日本人ならきっとよく知っているであろうギリシャ神話に、蝋で固めた翼を持って飛び立ったイカロスの話があります。太陽に近付きすぎて蝋が溶けてしまい墜落死したのがこの島のそばの海、そして父親のダイダロスが彼を海から引き揚げ、島へ運んで埋葬したとされています。

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イカリア島の郷土料理に「スフィコ」と「マギリオ」と呼ばれる野菜のごった煮があります。スフィコは全国的にはトゥルルやブリアムと呼ばれるギリシャ版ラタトゥイユと同じような感じで、作り方やこだわりポイントが人によってかなり違うのですが、うちでは大きなフライパンか鍋に材料を全部入れて煮るタイプをよく作っています。味つけはオレガノとパセリやバジルなどハーブをアクセントに。

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マギリオもそう変わらないと言えば変わらないのですが、とうもろこしを入れるのがちょっと独特なのです。レシピはオンラインレッスン用に書いたのでブログには載せてませんが、こちらはなすよりも、いんげん、ズッキーニ、じゃがいもがレギュラーメンバーで、かぼちゃもあれば入れるといいです。

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この間の夏野菜のごった煮に話を戻すと、クシノホンドロスはクレタ島のものだけど、とうもろこしの(※)を入れるとイカリア島のマギリオを連想させるなぁ……ということを考えていたのでした。


※クシノホンドロスは、本来は粗く挽いた小麦と発酵乳で作られるクレタ島の伝統的な保存食。近年はグルテンフリー食品の需要が高まりとうもろこしで作ったクシノホンドロスを見かけるようになったので、真似して自作してみました。

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ラタトゥイユに入れるような夏野菜を使った料理で、お気に入りのひとつがレンズ豆とあわせたフライパン煮込みです。

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2年前の今頃にご紹介したレシピですが、夏野菜の値段が下がってくるこの時期に、繰り返しおすすめしたくなる一品。
レンズ豆は乾燥豆の中では調理時間が短く済み、長時間火を使いたくない季節の料理にぴったりです。とても栄養価が高く、夏バテ予防にもよさそうですよね。
とにかく簡単に作れて常備菜としても重宝するので、私にとって「とりあえずこれがあれば安心」という料理なのです。

お皿にこの煮込みを盛りつけて、皮をパリッと焼いたチキンだとかシーフードのグリルなんかをのせるとお店っぽいひと皿になりますよ。

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なんて言いつつ、暑い日は生ものとか極力触りたくないしやる気も出ないので、煮込みだけで一品勝負が常の我が家です。あとは適当にチーズやオリーブでもあれば上等。冷たいワインと一緒に、夏のメゼにもおすすめです。

【レシピリンク】


野菜の煮込みは年中作っているけれど、夏場は特に登場回数が増えます。

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単品野菜だったり、いろんな野菜のごった煮だったり、一応変化はつけているつもり。
ごった煮はラタトゥイユのようなものですが、ギリシャではじゃがいもを入れる場合が多いです。
それから、野菜は比較的大ぶりに切るのがギリシャらしくするポイントでしょうか。お隣の国トルコの料理ととても似ていると言われるギリシャ料理ですが、トルコでは素材を小さく切ったり形作ったりする印象ですが、ギリシャは大きくラフな感じにする傾向があります。

うちの場合、野菜のごった煮は、玉ねぎ、にんにく、なす、ズッキーニ、ピーマン、いんげん、じゃがいも、トマトが基本材料。赤いフロリナペッパーやパプリカを入れることもあるけど、私は子供の頃から緑のピーマンの味が好き。甘酸っぱいパプリカが昔はちょっと苦手だったので、今でも緑のほうをよく使います。

なすとピーマンをところどころ色づくぐらいに炒め、一旦取り出しておきます。同じ鍋に玉ねぎとにんにくを入れしんなりするまで炒め、いんげん、ズッキーニ、トマト(熟し方がいまいちならトマトペーストも少し)と加え炒め、水と塩を加えふたをして少しやわらかくなるまで煮ます。じゃがいも、なすとピーマンを上にのせて、じゃがいもの表面のかたさが失われる程度に煮たら、ざっくりと混ぜて野菜が全部やわらかくなるまで煮ます。
味つけはごくシンプルに塩こしょうで、ブイヨンの類は不要。煮込む時に好みで入れるハーブは、うちの場合乾燥オレガノか生のパセリです。

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そういえば……と去年の夏に作ったクシノホンドロス(粗びきの麦を発酵乳と煮て乾燥させた保存食)をそろそろ使い切りたいのを思い出し、私と長女が食べる分だけに入れました。

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多めに作った煮汁を別の鍋にとってクシノホンドロスを煮て、やわらかくなったら野菜の煮込みとあわせて数分煮たらできあがり。全量をクシノホンドロス入りで作る場合は、最初から加えて一緒に煮るといいです。

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2種類の自家製クシノホンドロス。握った形で乾燥させたのもよく見かけますが、ほぐして乾かしています。この方法だと乾燥不足で傷んだりという心配がなく、調理するときも使いやすいです。詳しくは、関連記事をご覧くださいね。


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