ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: 料理・食べ物について

neranji glykoギリシャではよく街路樹として植えられているネランジ(νεράντζι)。これは市場で普通見かける甘いオレンジではなく、ビガラードであることが多いようです。ビガラードという名前は耳慣れないですが、英語ではビターオレンジ(サワーオレンジ)、日本ではダイダイと呼ばれるもののようです。これは主に香料に使われ、花も果皮からエッセンシャルオイルやオレンジフラワーウォーターが抽出されます。初夏にこの花が満開になっている時期は、辺り一帯がまさにオレンジフラワーウォーターの香りです(当たり前ですが)。

ちなみにダイダイは、実が落ちずに翌年も木に残っている=代々から来た名前だそうです。確かにこちらの街路樹のものも去年の実がまだ結構残ってます。新しい実は現在ミカン大くらいに育っています。

bigarade

実がもう少し小さい時期に、グリコを作ってみました。以前にも書きましたが、グリカ・クタリウーと呼ばれる、主に果物を濃いシロップに漬けたものです。ネランジはグリコになったのは市販品をよく見かけますが、生のものが市場に売ってるのは見たことがないので、街路樹のを収穫しました。


続きを読む

tourlou Manis暑い日が続いています。
食欲も落ちてしまいがちな夏ですが、野菜料理をたっぷり食べて乗り切りましょう。


ギリシャ料理では野菜をクタクタになるまで調理したものが多いですが、柔らかい食感は疲れている時にも食べやすく、また量もこなせるのでおすすめです。今回は「ラデラ (λαδερά)」について、以前書いたものを少し編集してお届けします。

「ラデラ」は、オイル(λάδι,ラディ)を使った野菜の料理のことをいいます。トマト味のラデラも多いですが、新大陸から来た新しい野菜であるトマトが普及するまではレモンや未熟葡萄の汁(※)、酢などで味付けされていました。主にズッキーニ、なす、いんげん、オクラなどがトマトで味付け、そら豆、アーティチョーク、にんじんなどがレモンで味付けされることが多いようです。また、アーティチョークのコンスタンティノープル風のように、レモンと卵のソースで仕上げるのもラデラの一種です。

続きを読む

hilopites2前回は詰め物をしたパスタのことについてちょっと書いたので、シンプルな手打ちパスタについても少し触れておこうかと思います。

ギリシャ語でパスタはマカローニャ(μακαρόνια)。ジマリカ(ζυμαρικά)とも呼ばれますが、こちらはもっと広い意味で使われる言葉です。ギリシャ全土で手打ちのパスタは作られ、その中でも最もよく知られているのはヒロピテス(χυροπίτες)という、タリアテッレを短くしたようなものです。

生地は卵を多く使用することが多いイタリアの手打ちパスタに対し、ギリシャのは卵の含有率が低く、全国的に見ると卵不使用のものの方が多いような気がします。リッチタイプのヒロピテスの材料は中〜強力粉、卵、水、牛乳、塩、あとオリーブオイルも好みで少し加えます。市販の乾燥ヒロピテスには小麦粉1kg(セモリナ粉使用の場合も多いです)に対し卵が2.5〜3個使われています。

生地を捏ね、休ませたあと、箒の柄のような細い麺棒で延ばします。これを1cmx4〜5cmぐらいの長方形に切ったのが一般的なヒロピテス。もっと細かいサイズもあります。普通のパスタのように茹でる他、ギリシャでは肉のオーブン焼きなどの料理に直接加えたりします。また、ヒロピテスを茹でながらバター、牛乳、フェタチーズを加えていき、そのままソースにしてしまう料理もあります。日本でも麺を茹でた汁をそのままスープにしてしまう料理がありますが、こちらは汁気が少ないので、もっとドロドロした感じです。

他にはヒロピテスをもっと細長くしたような「ラザナキァ」、卵なしの生地を小さい正方形に切ったクレタ島の「マギリ」、その外にもイタリアのオレッキエッテのような小さな耳型のパスタやチューブ型のパスタなど数え切れないほど種類があります。また麦粒の形の「クリサラキ」も手作りされます。北ギリシャの「クスクシ」はモロッコのクスクスとは製法も形も全く違い、パスタ生地を小さく丸めたものです。これはイスラエルやレバノンのクスクスに少し似ています。


今回はレシピ作成のために作ったヒロピテスにナスのソテーを添えて、トマトソースとヨーグルトをかけてみました。パスタにヨーグルト、日本人からすると変な組み合わせのようですが、ギリシャ〜中東、中央アジア辺りではよく見られます。私達がほとんど毎年訪れるドデカニサの島々では、手打ちパスタにバター、チーズ(好みでヨーグルトも)、そして焦がし玉ねぎをたっぷりのせて食べます。これもシンプルで美味しいですよ。

mantiトルコ料理のマントゥは、薄いパスタ生地に挽き肉のフィリングを詰め、茹でたり焼いたりしたものです。これはギリシャでも主にコンスタンティノープル料理のレストランなどでよく見られますが、面白いと思ったのは、クレタ島でも同じような料理があること。こちらは「マカローニャ・イェミスタ」(μακαρόνια γεμιστά:詰め物をしたパスタという意味)と呼ばれるようです。

私が見つけたクレタ島のレシピはオーブンで焼き、スープを注いで生地をふやかすもの。これは焼きマントゥ(μαντί)と同じ方法です。違いといえば、クレタ島のものは食べる時にトマトソース、ヨーグルトに加え、好みでチーズもかけること。トルコ系のレシピではトマトソースはかける場合があるものの、チーズは使わないようです。その代わり、唐辛子・パプリカ・トマトペーストのコンビネーションや胡椒で風味を付けた溶かしバターをかけます。このトッピングは他のトルコ料理にもよく見られ、料理の風味が増すのはもちろんのこと、目にも楽しいです。ちなみにテッサロニキのレストランで見かけたのはヨーグルトのソースのみでした。店によっては揚げバージョンを出しているところもあって、こちらも美味しかったです。

こういった料理は中国から伝わったと言われますが、トルコのものもそうなのでしょうか?中国〜ギリシャの間にも、同じようなものが多く見られます。名前も中国の「饅頭」から来てるようで、国によってマンドゥ、マントゥ、マンティなど似通っています。中央アジアの国々ではフィリングに羊肉を使い、ヨーグルトのソースを添えるものが多いようです。

私はシンプルな味付けのフィリングで作ってますが、デリケートな皮やニンニクの効いたヨーグルトソースとのバランスが絶妙で、とても美味しいです。包み方はいろいろあって、焼きバージョンの場合は完全に閉じてしまわずに、少し隙間を開けます。レシピで紹介した包み方の他には、四角く切った生地にフィリングをのせ、半分に折った両端だけを留めたり、丸く延ばした生地を真ん中で絞るような感じで包む方法もあります。

sun-dried okra暑〜い夏。せっかくの太陽、利用しない手はない!とばかりに日干しに凝ってます。毎日ベランダの物干しにいろんなものをぶら下げてるので、何だか怪しい光景になってます。

これはオクラのネックレス。こちらではオクラと肉の煮込みなんかを作る時、こんな風にネックレス状にしたり、串に刺したりして使う人が結構います。これは最初にソテーする時に全部まとめてひっくり返すのに便利だとか、煮込み中に鍋の中身をかき混ぜる時、オクラが煮崩れてしまわないようにまとめて一旦取り出す為だったりします。

私が今回やってるのはそれではなく、完全に乾燥させた保存食です。ギリシャではこういう使い方をするのか知らないけど、トルコではよくやります。イギリスに住んでた時、よく行ったトルコ食材店でも乾燥オクラや、中身をくり貫いた筒状ナスのネックレスがいっぱいぶら下がってました。オクラはスープや煮込み料理に、ナスは米などを詰めた料理にします。

そう言えば今思い出した葡萄の保存法、ギリシャの島では葡萄の葉を乾燥させて保存する所があります。今まではフリージングや瓶詰めしか試したことがなかったから、これもやってみようかな?まだ葡萄の葉が売ってるといいんだけど...。市場へ行ってきます。

↑このページのトップヘ