ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: 私の本棚から

今日はチクノペンプティなので肉のメニューにしました。

2025.02.20 tsiknopempti
ギリシャはカーニバルシーズンの真っ只中。
カーニバルはギリシャ語でカルナヴァリですが、この期間はアポクリエスとも呼ばれます。アポクリエスは“肉から離れる”みたいな意味で、復活祭前の長い節制生活に向けての準備期間のようなもの。今週は思いっきり肉を食べておく肉週間、来週は肉断ちに入っているけど卵や乳製品を使った料理やお菓子を食べるチーズ週間と続きます。

カーニバルの間は仮装してパーティーやパレードにも繰り出すのだけど、インドア派な私は子供たちが大きくなって、「今年のコスチュームはどうしよう?」というような悩みからも解放されほっとしているところ。行事食だけは気になるので、無理なくできる範囲で楽しんでいます。

“肉を焼く煙の匂いの木曜日”というような意味のチクノペンプティは、煙をモクモクあげて焼いた肉類を食べるのが伝統。庭やバルコニーでバーベキューをしたり、レストランに食べに行ったりする人が多いです。

うちはベルコニーでバーベキューをしないし、お店もこういう日は混雑のあまり質がいまいちだったりするので、グリルやフライパンで簡単に肉料理を作ることが多いです。炭火じゃないけど、煙は出てるのでまあいいでしょう(笑)




今年は、来月発売の新刊「おうちでギリシャ居酒屋」掲載レシピでチキンのミニコンドスブリを作りました。コンドスブリというのは本来はげんこつ大の肉を大きな串に刺して焼き上げたもの。かなりボリュームがあるけど復活祭の時なんかは丸焼きラムが焼けるまでのメゼ(おつまみ)として出されたりします。
最近はミニコンドスブリというのを居酒屋で見かけるので、なんだか矛盾するのでは?と思いつつも採用してみました。

コンドスブリは普通のスブラキ(串焼き肉。竹串に刺してあるのがスタンダード)よりも味つけに凝っていたりするのでそのままで十分おいしいのだけど、ディップやソースを添えて味変しても。定番かつ人気のジャジキ(きゅうりとヨーグルトのディップ)のほか、トマトとパプリカの赤いソースもご紹介してますので、ぜひお試しを。

トップの写真の一番奥に写ってるのは本に掲載している料理ではないのですが、焼肉料理の時にいつも夫が食べる刻みサラダです。その時によって若干材料が変わるのだけど、基本は玉ねぎ、青唐辛子、トマト、ロメインレタス、レモン、オリーブオイル、ビネガー、塩。今日はコリアンダーの葉とホットソース(唐辛子が少ししかなかったので)、スマックも入れました。

ちなみに、あまり知られてないかもしれませんが、スブラキなどのピタサンドも赤いソースで提供する店が結構あるんですよ。店によって普通のトマトソースのようだったり、パプリカがメインだったり。日本ではラーメンの食べ比べを楽しんだり推しラーメン屋があったりする人が多いけど、ギリシャ人はスブラキに対しそれに似たこだわりを持っている気がします。


2024.07.09
こちらは以前撮った写真なのですが、食べやすく切った肉(こちらは豚肉で作ったもの)にレッドソースをかけて、新刊掲載レシピのイーストを使わない簡単ピタパン、オニオンスライス、トマト。
おつまみとしては、こんな風に小さな皿盛りにするのもおすすめです。


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いよいよアポクリエス(カーニバル)のクライマックス。

2024.03.02 volvoi me koukia
ギリシャで最も重要視される行事がパスハ(復活祭、イースター)なのですが、その準備期間である40日以上のサラコスティ(断食・節制期間)の、さらに準備期間となるのが3週間に渡るアポクリエスです。

この期間中は段階的に動物性食品の摂取を制限していくのですが、先週の肉週間、今週のチーズ週間と、長いようであっという間に過ぎてしまいます。料理的には私は断食期間に食べるようなものの方が作るのが好きなので、いそいそと準備しています。そのうちのひとつ、ハネムスカリ球根のピクルスも早めに仕込んだのだけど、長女の好物なのですでに残りわずか。もう一度買いに行くことになりそうです。

2024.03.02 volvoi
近所の青空市場では一軒ぐらいしかハネムスカリ球根を売ってるお店がなかったのだけど、国産のを買えてよかった。暖冬にもかかわらず、今年はいろいろ出るのが遅いような気がします。葉にんにくや若いそら豆もうちの辺りではまだ見ないので、大きい市場へ探しに行ってみよう。


球根はピクルスにすると長期保存できるけど、漬ける前のも味わいたいので、そのうち作ろうとずっと思っていた乾燥そら豆とシンプルに煮た料理をようやく試してみました。
かなり昔に買った野草の本に載っていたレシピで、クレタ島出身の著者の曽祖父がイラクリオンで営んでいた食堂で出していた料理だそう。ギリシャでは多くの地方でハネムスカリの球根を食用としますが、特に好んで食べられる地方のひとつがクレタ島です。ちなみに乾燥そら豆もクレタではよく食べるらしく、煮込んだりペーストにした料理があります。


2024.03.04
作り方はごくシンプルで、下処理して茹でた球根と柔らかく煮た乾燥そら豆を最後にあわせて味がなじむようじわじわ加熱するように煮るだけ。球根とそら豆はそれぞれ苦味とアクがあるので、どちらも茹でこぼしてから煮ます。
ふたつをあわせてから加える味つけは塩こしょうとオレガノ。たっぷりオリーブオイルをかけて食べます。


2024.03.02 volvoi me koukia1
野趣あふれるその味わいは、素材のままと言ってしまえばそれまでだけど、決して単調なものではありません。大地が造り出した香りや食感が複雑に絡み合うのを辿るようにフォークを進め、プロジミ(サワードウ)のほのかな酸味のあるパンで皿のオリーブオイルをぬぐい、さっぱりとしたワインで口を潤して……というのを延々くり返していると、ギリシャでこの味に出会うことができてよかったなぁと、しみじみ思うのです。


【関連記事】

ハネムスカリ球根についてnoteにも記事を書いたので、あわせてご覧ください。


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毎年、今ぐらいの時期って夏野菜がかなり高騰しますね。旬のものを食べればいいと言えば、それまでですが…...。

2023.02.01 pastitsio1
いつだったか、スーパーでなすが1個ずつ袋に入って売られてるのを見てびっくりしたことがありました。この冬は寒い時期が短かったからか、そこまでではないけど。

なすと言えば、少し前にこちらの本(↓画像はAmazonのリンクです)で読んで気になっていた野菜のパスティチオを作ってみました。



ギリシャ北部にあるアトス自治修道士共和国で、日本人として初めて司祭となったパウエル中西裕一氏のご著書。
ギリシャ正教について柔らかい文体で書かれていて、とても読みやすい本です。女人禁制の聖地アトスの修道院での暮らし、そしてそこで出される料理についての記述もあり、やはり私にはその部分が一番楽しめました。


パスティチオ(パスティッチョ)は本来ロングマカロニとミートソースとベシャメルソースを重ねてオーブンで焼き上げた料理で、ムサカの野菜部分をパスタに置き換えたものと言うとイメージしやすいかもしれません。ミートソースの代わりに野菜を使ったレシピ(記事最後のリンク)を以前ご紹介しましたが、とある修道院のパスティチオはなすやじゃがいもと重ねてあったそうで、ムサカと合わさったみたいで面白いなと興味を掻き立てられました。

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こんな感じかな?と作ってみたもの。

下から、じゃがいも、トマトソースをからめた太めのマカロニ(ギリシャで売られているパスティチオ用のロングマカロニを使いました)、なすのスライス、ベシャメルソースを重ね、パン粉とパルメザンチーズをトッピングしてオリーブオイルを薄くかけてオーブンで焼きます。


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ナスで分離された状態のトマトソースの酸味と上のベシャメルソースのコクが、口のなかで混じり響き合う食感と味わいが特徴的です。


どうでしょう、ちょっと食べてみたくなりませんか?
この修道院ヴァージョンも気に入ったので、なすが安くなったらまた作ろうと思います。


【関連記事】

こちらは我が家風のベジタブル・パスティチオです。家族の好みにあわせてベシャメルソースの層が薄めになってますので、たっぷりが好きな方は量を少し増やしてください。

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昨日は久しぶりに嵐が来襲。

2023.01.26 pasta1
ちょっと体調もいまいちだったので、激しい雨風と時折鳴り響く雷の音を聞きながら「これはキッチンだけでなくバスルームの窓も雨漏りするレベルだな......」とか考えつつ(実際してた)、冬眠するようにほぼ一日中寝て過ごしました。写真は、昼にごそごそと起き出して作ったパスタ。

あとでニュースを見たら、アッティカ県では午前中の一番雨が激しかった1〜2時間のあいだに1か月分の降雨量があったとか。アテネの街もあちこちが川や滝のような状態になってました。
ちなみにこれは特にめずらしいことではなく、うちの近所含めちょっと激しい雨が降ると道路が川のようになるのですが、昨日は観光エリアのモナスティラキやプラカも結構酷かったらしいです。


2023.01.26 pasta2
ギリシャというと夏のイメージが強すぎて、悪天候は想像しにくいかもしれません。村上春樹の旅行記「遠い太鼓」に秋のスペッツェス島で嵐に見舞われたときの様子が詳細に描かれているのですが、これが秀逸なので未読の方はぜひ。80年代後半に主にギリシャとイタリアに長期滞在した日々のことを綴るエッセイです。


※本の画像はAmazonアフィリエイトのリンクです。


昔買ったのは実家に置いてあるので去年買い直したんですが、ギリシャで長く暮らした今読み返してみるとまた味わい深いです。なかなか本を読む時間が取れずまだ途中だけど、ギリシャあるあるに溢れてて(テクノロジーの進化とか街並みが変わったとかは抜きにして)今でも当時と全然変わってないのがある意味すごい。
大雨でダメージを受けたところは特に改善もされずに修復されてるようだし、「家が水浸しになって大変だったんだよ!」って両手を振り回しながらまくし立てるように説明するおばあさんもニュース番組でよく見かけます。村上さんご夫妻がスペッツェスで滞在してたサマーハウスはバルコニーへの扉から床に雨水が入ってきて大変だったそうですが、私たちのアテネの自宅もベッドルームの扉や窓を新しいのに付け替えるまでは結構浸水したり強風で半開きになったりしてました。

さて、今回の嵐はそこまで長引かず今朝はドデカニサ諸島などへ移動してる模様。シミ島の家、大丈夫かな......。この冬は全体的にかなりの暖冬だったけど、また寒波が来るようなので、2月は雪が降るかもしれませんね。



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写真のパスタの作り方を一応記しておきます。
ギリシャでにしんというとスモークされたのがよく売っているのですが、丸ごとだと運がよければ数の子入りです。ただし下処理がちょっと面倒なので、フィレにしてあるのはさっと使えて便利。最近はヴォロスのメーカーのパックのスモークにしんフィレが近所のスーパーで売ってて、なんと丸ごとのより安いくらいの値段なのでお気に入りになっています(キロあたりの価格が大体同じなので、フィレとしての値段で考えると多分安い)。


スモークにしんとトマトとアーモンドのパスタ

材料:(2人分)
スモークにしん...フィレ1枚
にんにく...1かけ
トマト...小ぶりの1個
アーモンド...10粒ぐらい(好みで)
オリーブオイル
こしょう、オレガノ
リングイネかスパゲッティ...200gぐらい

スモークにしんは裂くかスライスします。見た目は裂いた方がいいけど、骨が気になるのでその点では切った方がおすすめ。にんにく、トマト(皮は気分でむいてもどちらでも)、アーモンドはそれぞれ適した大きさに刻んでおく。

2023.01.26 pasta3
フライパンにオリーブオイルを入れ、アーモンドを加え炒めます。オリーブオイルはドッと入れるけど、あまり調子に乗らなくてもいいです。にんにくは焦げやすいので、アーモンドがいい感じになってきた時点で加え、香りが立つまで焦がさないよう炒めます。これらを端に寄せてこしょうとオレガノを加え、空いたスペースにトマトを加え一旦火から下ろします。

パスタを茹でます。もちろん上記手順はこの間にやっておいていいです。パスタのお湯を沸かすぐらいから下準備スタートしてできるはず。

アルデンテに茹であがったらパスタを鍋からすくってフライパンに加え、にしんも加えます。茹で汁も必要に応じて加え、火にかけてソースを乳化させるように混ぜます。この時、にしんやトマトに火が通り過ぎない方がいいです。味を見て、必要なら塩やその他加えできあがり。

MEMO:某ウゼリのメニューにあるアーモンドがごろごろ入ったにしんパスタを真似てよく作るのですが、それにトマトを入れたりもうちょっとアレンジしてみたヴァージョンです。
にしんが塩辛いのとパスタの茹で汁が入るので味つけはそれを考慮してください。パスタを茹でる時に加える塩は少し少なめがいいかも。ハーブは生のパセリなどでもいいです。

まだ結構暑い日が続いていたアテネですが、そろそろ涼しくなりそう。秋らしい料理も食べたくなり、夏に買ってキッチンの飾りのようになっていたかぼちゃをようやく料理しました。

2020.10.11 steamed pork & pumpkin
何にしようか迷って、かなり久しぶりに中華の蒸し物。
これは実家にあった中華料理の本に載っていたもので、気に入ってノートにレシピを書き写してギリシャへ持ってきたのです。



陳健民さんの著書と思っていたのだけど、調べてみたら息子の健一さんとの共著でした。80年代に出版されたもので、もう中古品しかないのですが、とてもよい本ですよ。高校時代、うちでお泊り会をした時に麻婆豆腐を作って出したな〜とか、この蒸しものを晩ごはんに作ったこともあったな〜とか、いろいろ思い出して懐かしいです。


2020.10.11 winter squash
使ったかぼちゃはこれ。8月のバカンス前に買った時はもうちょっと緑がかっていました。洗ったらやけに輝いて絵みたいな写りになってますが(笑)
これは青空市場のアジア野菜を売ってる店で買ったんですが、ギリシャで普通に見かけるかぼちゃはカット売りされてる巨大で水っぽいのか、バターナッツかぼちゃです。


2020.10.11 steamed pork & pumpkin1
この料理はしっかりした味つけで、蒸しものだけどこってり系。甜麺醤や豆板醤の入った合わせ調味料と米粉を絡めた豚肉とかぼちゃを重ねてじっくり蒸し上げます。実際のビジュアルはどんなものだったかと検索してみたら、前にタロイモで作った時の自分の記事が出てきました。中国語で検索したらいろんなバリエーションが見つかりましたが、豚バラのはお皿にかぼちゃスライスを並べて真ん中に肉を盛ってあるタイプが陳さんのレシピに近い感じでした。

ちなみに今回使った肉は、最近ずっと週末の恒例となっているポークチョップの端部分。端と言っても、ギリシャで売られているポークチョップってバラ肉もたっぷり付いていて大きかったりするんですよ。前の記事に書いたように家族は真ん中しか食べないので、残った部分は私がおいしくいただいています。


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