ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: レシピ

ギリシャのぶどう、特に黄緑色の種なしのはとても甘いんですが......少し前に買ったうちのひと房が、衝撃的な酸っぱさでした。長年ギリシャに住んでるけど、こんなの初めて。

2025.10.12 chicken with sour grapes
実を食べたり加工するだけでなく、葉っぱや蔓までぶどうを活用するこの国では、初夏の酸っぱい未熟ぶどうをレモンのように使います。かなり前に書いた「アグリーダ」の記事は多くの方が参考にしてくださっているようで、作られたり言及されてるのをネットでもよく見かけます。

今回のこのぶどうは未熟でなくちゃんと熟れてるのにレモン並の酸味だったので、甘いぶどうと混ぜて食べるのも結構厳しい。どうせなら料理に使った方がよさそうなので、冷凍庫にあった鶏肉とあわせてオーブン焼きにしてみました。ちなみにアグリーデスと呼ばれる未熟ぶどうや緑の酸っぱいすももをラムなどの肉と一緒に調理するのは、いくつかの地方で見られる郷土料理です。

覚え書きとして、作り方を簡単に記しておきます。

2025.10.12 chicken with sour grapes1
鶏肉は塩こしょうし、フライパンで皮に焼き色をつけて耐熱容器に移します。鶏肉の周りにぶどうを並べておきます。
同じフライパンに刻んだ玉ねぎを入れ弱火でやわらかくなるまで炒め、トマトのすりおろしを適量加えソースっぽくなるまで煮ます。この時、ベイリーフとシナモンスティックひとかけらを好みで入れ、塩こしょうとはちみつ適量で味つけします。

2025.10.12 chicken with sour grapes2
ソースを回しかけ、鶏肉がやわらかくなり焼き色がついたらできあがり。


2025.10.12 chicken with sour grapes3
ぶどうはソースのようになりますが、はちみつを加えたせいか(そんなに多くは入れてないけど)程よい酸味に仕上がりました。


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今週は、ギリシャ各地で久々の雨。気温的には秋らしくなってきたなぁと感じてたのだけど、そういえば長いこと(場所によっては数か月も!?)降っていませんでした。

2025.09.30
もうスベリヒユも終わりかなと思いきや、まだ立派なのが近所の市場で売っていたので、最後に煮込みでも作っておこうかと。大きな1束も煮ると小さくなってしまうから、ふだんそうも1束。まだ夏の青菜アマランサスも売っているけど、気候のせいか、ワイルドな食感とほろ苦さのアマランスよりも、やわらかなふだんそうを選びたい気分です。

刻んだ玉ねぎとにんにくをオリーブオイルで炒め、好みで唐辛子フレークも少々。やわらかくなったらトマトを加え炒め煮にします。完熟トマトならそれだけでもいいけど、そうでなければトマトペーストも適量炒め、砂糖少々を甘味ブーストの隠し味に。トマトが崩れソースっぽくなったら、刻んだ青菜を加えくたっとするまで煮込みます。味つけは塩と好みで胡椒も適量。自分用には卵を落として仕上げました。


2025.09.30a
青菜は先述のとおり今回スベリヒユとふだんそうを使ったわけですが、シュウ酸が含まれるのでさっと下茹でしておくといいです。面倒なときはそのままで加えてしまうのだけど、やはり食べたあと口の中がキシキシします。


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もう1品は、オレガノレモンガーリック風味のオーブン焼きポテト。この味つけのポテトはギリシャの定番で、肉と一緒に焼いたりもするのですが、最近次女がオーブンポテト気分らしくしょっちゅうリクエストされます。酸味が苦手な方にはおすすめできないけど、じっくり焼いてよく味が染みたポテトはとてもおいしいです。

今年の夏休みは予定が合わずシミ島のサマーハウスへは行けなかったのだけど、近場の島へ日帰り旅行に出かけたりしました。

2025.09.24 tzolia
Τζόλια Μάνδρας

先週は、マンドラという街で夫の仕事の用事があったので、ついでにサラミナ島へも寄ろうということに。マンドラは西アッティカのエレウシスの近くにある小さな街です。広大な松林に囲まれていて、かつてこの街の住人の多くは樹脂採集・加工業に携わっていたそう。観光で訪れるような場所ではないので日本人にはなじみがないですが、ギリシャに長く住んでる人は、2017年11月に起きた大規模な洪水被害のニュースを思い出すかもしれません。


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取引先の人が別れ際に、「そこの道を曲がったとこにある教会に寄っていきなさいね」と言っていたのだけど、夫の仕事中にちょっと散歩をしてたとき、確かに街の中心の広場に立派な教会を見かけました。
後で調べてみたら、アギオス・コンスタンティノスとアギア・エレニの教会で、19世紀後半から20世紀初頭にかけてギリシャで活躍したドイツ人建築家、エルンスト・ツィラーが手がけたものだそうです。


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それ以外は取り立てて何もない街という印象ですが、マンドラにはハサポタベルナ(肉屋のレストラン)や肉料理専門店がいくつかあり、おいしい焼き肉料理が食べられることで知られています。

でも肉料理よりも私が気になっていたのは、ジョリアという手打ちパスタ。イタリアのカヴァテッリに似ていて、小さく切った生地を指先で押しながら転がしてカールさせた形が特徴です。自分でも作れるシンプルなものだけど、マンドラのどのレストランのメニューにも載っているので、ぜひ現地で食べてみたかったのです。


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ジョリアは別名をゴグリエスやクルクビネスといい、地方によっていろんな名前で呼ばれるのですが、いずれもアルヴァニテスと呼ばれる人々の料理だそう。アルヴァニテスとは現在のアルバニアの領土となっているイピロス北部のアルヴァニ地方からギリシャ中部および南部に移住した人々の子孫で、中世、そして18世紀と、情勢の変化に伴う何度かの移住の波によりやって来ました。マンドラも、彼らが定住した土地のひとつ。ちなみにジョリアと似たイタリアパスタのカヴァテッリは、イタリア南部のモリーゼ州発祥とのこと。モリーゼにもトルコの迫害から逃れてきたアルバニア系の人々が暮らしているらしいので、ルーツは同じなのでしょう。




拙著「ギリシャのごはん うちで楽しむ、とっておきレシピ74」(イカロス出版)の郷土料理の章に、「南エヴィア風手打ちパスタ(Κουρκουμπίνεςクルクビネス)」のレシピを載せています。前述の通りジョリアのバリエーションですが、こちらはエヴィア島のカリストスへ行ったときに教えてもらった郷土料理で、鶏のレッドソース煮とあわせてよく食べられます。


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このように、同じアルヴァニテスのパスタでも、地方によって生地の配合、大きさ、食べ方が少し違っていたりします。マンドラでは、レストランで出されているものや市販品の写真を見た感じ、小さめに成形するよう。食べ方はシンプルにバターとすりおろしチーズですが、焦がしチーズをあわせたりもするようで、このテクニックはペロポネソス半島南のマニのチュフティというパスタ料理を思い出したりもしました。


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マンドラでの用事を終えたらサラミナ島へ向かう予定だったので、もしレストランが開く時間までかかったら、ジョリアをテイクアウトしよう……とか考えていたのですが、昼前に用事が済んでしまったので、残念ながらまたの機会に。食べたい気持ちを鎮めるため、後日自作しました。


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マンドラのジョリアはシンプルに小麦粉と水、少しの塩とオリーブオイルで生地を作って寝かせ、ひも状にのばしたのを短く切って成形します。成形は、グレーターの一番細かい目の面を使う人が多いよう。結構簡単にできて、なかなか楽しいですよ。羊バターで炒めた焦がしミジスラ(※)と、そのままのミジスラのダブル使いで仕上げてみました。小さなお団子のようなもっちりしたパスタに、バターやチーズの豊かな乳製品の風味が絡む、シンプルだけど味わい深い一品です。


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私は肉料理レストランに行きたい気分になることがあまりないため、マンドラのお店紹介記事など見てもあまり気に留めたことはなかったのだけど、こうやっていろいろ繋がると俄然興味が沸いてきますね。もうひとつ気になったのは、エヴィア島カリストスの辺りの名物料理にティロピタリと呼ばれる大きめの揚げチーズパイがあるのですが、マンドラのレストランにもジョリアと並んでティロピタリが定番なのです。同じようなチーズパイはギリシャ料理にあるものの、ただ単に呼び名の地方バリエーションというだけでなく、アルヴァニテスの料理なのだろうなぁとわかって、ふむふむとひとり頷いたのでした。

※ミジスラチーズはリコッタチーズのようなフレッシュタイプと塩をして熟成乾燥させたタイプがあり、今回の記事に出てくるのは後者。すりおろしてパスタにかけたりする使い方が一般的です。リコッタ・サラータや、低脂肪のハードチーズで代用できるかと思います。

8月、9月は、アジア野菜の屋台も出てる青空市場へ通う頻度が上がります。

2025.08.26 vegetable stew
夏の終わりが近付くと、赤唐辛子がそろそろ出てこないかな……と、そわそわして見に行くのですが、ゴーヤーやモロヘイヤなども今のうちに食べておかなければ。どちらもギリシャ料理では使わない野菜だけど、エジプトに多くギリシャ人が住んでいたという歴史的背景から(夫の母方の家族もそうで、義母や叔母はエジプト生まれ)、モロヘイヤは一部のギリシャ人に結構なじみがあるようです。

ゴーヤーに関しては、アジア料理に詳しい人以外には未知の野菜でしょうけど、そのビジュアルに興味を惹かれるのか、お店の人やアジア人買い物客に調理法や味を訊いてる人もたまに見かけます。そんなエピソードを先日noteに書きました。



そういえばギリシャ料理にゴーヤーってまだ試してなかったなと思い、作ってみたのが今回の料理です。


2025.08.26 vegetable stew1
まずは、noteの記事に書いたトゥルル。地方によっていろんな名前で呼ばれますが、ラタトゥイユのような〜という説明がイメージしやすいであろう野菜のごった煮です。

苦いもの耐性の低い夫に出したお皿には、ゴーヤーを入れないようにしたのだけど、ひと切れぐらい紛れ込ませておいてもよかったかも?写真は自分用に、クシノホンドロス(粗びき小麦と発酵乳の保存食)も加えて煮たもの。ちなみにクレタ島ではトゥルルのような料理はソフェガダやシンベセリオと呼ばれます。


2025.08.28 stuffed bitter gourd avgolemono
もう一品なにか違う感じの料理も作りたくなり、ひき肉と米を詰めてアヴゴレモノ(卵レモン)仕立てにしてみました。ズッキーニの肉詰めのゴーヤー版ですが、アヴゴレモノソースで仕上げる料理には、苦い葉っぱと組み合わせたものもあるので、それを思い出して。
中身をくりぬいて作るズッキーニと比べ、種とわたを除いゴーヤーは果肉部分が厚めになるので、長いままより短めに切ってフィリングをはみ出し気味に詰めた方がバランスがよさそうな気がして、この形でやってみました。


2025.08.28 stuffed bitter gourd avgolemono2
肉詰めはオリジナルのズッキーニの方が独特の風味があり好きでしたが、今回作ってみたどちらの料理も普通においしかったです。健康によいとされる野菜なので、もしギリシャ人が食生活に取り入れてみたいと思ったら、ほかにも結構いろんなギリシャ料理に使えそうですね。


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早いもので、8月ももう終わり。

2025.08.21a
そういえばこの夏はスベリヒユをあまり食べていなかったなぁ……と思い出し、市場で買ってきました。


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好きじゃない人には、ちょっと酸味があって青臭いただの草なんだけど、私は洗ったり下ごしらえしてる途中でちょいちょいつまみ食いしてしまいます。子供の頃にその辺でイタドリだとか、食べられる草や実をとってよく食べてたので、当時から変わってないのかもしれません。


2025.08.21c
先日の昼ごはんに作ったのは、じゃがいもやズッキーニとあわせた煮込み。玉ねぎをオリーブオイルでしんなりするまで炒め、食べやすい大きさに切ったじゃがいもとズッキーニを加え、じゃがいもの表面のかたさがとれるまで、ふたをしてちょっと蒸します。すりおろしたトマト、ざく切りにしたスベリヒユを加え、塩と砂糖を軽くひとつまみ程度。水を適宜加え、野菜がすべてやわらかくなるまで煮てできあがり。にんにくや胡椒など入れない、シンプルでやさしい味に仕上げるのが好きなのですが、この辺はお好みで。


2025.08.21d
生でサラダに入れるときは、やはり夏のサラダといえばこれ!のホリアティキ(グリークサラダ)にすることが多いです。トマトやきゅうりといった夏野菜のシンプルかつ力強い味わいに、雑草でもあるスベリヒユがとてもよく合います。


2025.08.23
1束分は、一度作ってみたいなぁと思っていた山形県辺りの保存食「ひょう干し」にしてみました。煮物をお正月料理として食べるそう。軽く茹でてから天日干しにするんですが、太い茎がしっかり乾くまで結構しぶとい。

毎年作っているかんぴょうも同じ頃に干したのだけど、どちらもからからに乾くとほんの少しになりますね。あまり張り切って沢山作っても結局使い切れなかったりするので、「ちょっと足りないくらいが丁度いい」と、自分に言い聞かせています。


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