ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: レシピ

カロミナ(よい月を)。4月になりました。
先週半ばくらいからぐんと暖かくなり、昼間外を歩いていると暑いぐらいです。

2024.03.20 semolina halva with apple
Χαλβάς σιμιγδαλένιος με μήλο και φουντούκια

イースターの投稿は?と思われた方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、今年の正教会の復活祭は5月5日で、日本のゴールデンウィークとイースター休みがほぼ重なります。パンデミック前の同じ頃に一時帰国したのですが、ギリシャのイースターっぽいことをしたり地元のお祭りを見に行ったのがとても懐かしいです。残念ながら今年は日本へは行けそうにないし、特別なことをする予定もないけれど、家でささやかに美味しいものでも食べたいなぁと思っています。

そんなわけでまだ1か月は断食期間なので、いくつか断食メニューも載せていく予定。カサリ・デフテラ(断食期間初日の祝日)の時に作ったセモリナ粉のハルヴァというお菓子を別記事で紹介しようと思っていたら月をまたいでしまいましたが、こちらは昔載せたレシピの改訂版になります。


ハルヴァというと米原万理さんのエッセイに登場した、ものすごく美味しい謎のお菓子としてご存知の方もいるでしょう。



彼女がソ連時代に食べたという、“噛み砕くほどにいろいろなナッツや蜜や神秘的な香辛料の味がわき出てきて混じり合う”ようなハルヴァがギリシャにあるかはわからないけど、スーパーでもよく売っているハルヴァはごまペーストのタヒニを主原料としたヌガーの一種のようなお菓子で、無骨でどっしりとしたブロック状の見た目と、口の中でサクッ・ホロッと溶ける食感のギャップが面白いです。

「ハルヴァ・トゥ・バカリ(食料品店のハルヴァ)」とも呼ばれるごまペーストのハルヴァは一応手作りもできますが、基本的にお店で買うもので、細かい繊維状に練り上げるには熟練の技と力を要します。ハルヴァというお菓子はそれ以外にもいろんな種類があるのですが、特によく知られるのはセモリナ粉のハルヴァや、ファルサラのハルヴァ(ギリシャ中部ファルサラ辺りの郷土菓子。スターチで作られるぷるんとしたハルヴァで、キャラメル化させてある)など。全国的によく食べられ、簡単なので家庭でよく作られるのはセモリナ粉のハルヴァです。


2024.03.18 semolina halva with apple

セモリナ粉のハルヴァをざっくり説明すると、炒ったセモリナ粉を砂糖と水で煮た簡単お菓子です。セモリナ粉の粒感とホロッとした食感が特徴で、素朴な味わいは日本の郷土菓子と言って出されても(油気が結構ある以外は)あまり違和感はないかもしれません。

りんごを加えたバリエーションは昔思いついてレシピ化したものですが、今回は微妙に違うので改訂版としてレシピを書いてみました。動物性の食品を摂らないギリシャ正教の断食ルールに沿ったお菓子で、ベジタリアンやヴィーガンの方にも食べていただけます。

レシピは関連記事のあとに続きます。

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自分用に少しだけ作ったものですが、今年のカサリ・デフテラの食卓のメインはタコとハネムスカリ球根の土鍋焼きでした。

2024.03.18 octopus with bulbs
Χταπόδι με βολβοί στο πήλινο

球根は木曜に剥いて、水に浸けた状態で冷蔵庫に入れてありました。日曜にピッツァを焼いたついでに、下茹でせずそのままの球根を1個、試しにホイルに包んでオーブンに放り込んでみたのだけど、食べてみたら苦味もなく、ねっとり・ホクホクして美味しい!
少なくとも古代ギリシャ・ローマ時代から食べられていたハネムスカリの球根は、当時は催淫効果があると言われ珍重されたそう。調理法のひとつとして灰に埋めてじっくり焼いたというようなことをどこかで読んで、苦くはないのかなと気になっていたのでした。

同じ状態で何日も水に浸けてあった球根をピクルス用に茹でたものは、一度軽く茹でただけではまだ結構苦かったので、よく加熱することにより苦味がなくなるのかも?今期もしまた買うことがあれば、水にさらしてないものでも実験してみたいです。

2024.03.18 octopus with bulbs1
タコと球根をあわせた料理は10年前に作ったスティファドをトマトに頼らずもう一度試してみたいというのが当初の目的だったのですが、もっとシンプルにオーブン焼きにしたらどうだろうと思い、予定を少し変更しました。オリーブオイルを回しかけ、ローズマリーとオレガノの穂先を1本ずつのせて、蓋をしてオーブンへ。


2024.03.18 octopus with bulbs2
じっくりと蒸し焼きにされたタコは、「ルクミ……!」と思わず感嘆を漏らすほどの美味しさ。とろけるように柔らかく調理された肉に対しこのような表現をしますが、みっしりとした食感を残しつつも濃厚に舌にからまるような味わいのタコは、まさにルクミを思わせるものでした。ハネムスカリ球根、そして控えめに入れたハーブとの出会いも素晴らしく、特別な味つけにこだわらなくても深い味わいが生まれるのだなぁと再確認させてくれた一品となりました。

2024.03.18 bulbs1
球根だけのホイル焼きも。これは全く何も加えず焼いて、食べる時にオイルと粗塩を少しかけました。


2024.03.18 bulbs2
オーブンの底に置いたので少し焦げてますが、ちょっとぬめりも感じさせるホクホクの中身に、こんがりパリッとしたところがアクセントになりよかったです。

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白あんを作りたくて買ってきたギガンデス豆。
お菓子作りへ向けるやる気はどこかへ行ってしまったので、とりあえず料理に使うことにしました。

2024.02.21 gigantes me prasa
Γίγαντες με πράσα στο φούρνο

ミートボールとポロねぎを煮込みかオーブン焼きにした料理があるのですが、それの菜食版のようなものをギガンデスで作ってみてもおいしいだろうなぁと思ってたのです。

味つけはトマトペーストを控えめな量使い、スパイスが程よく香る程度に。いずれもトマト味やスパイシーというほどでもないくらいに抑えたのが好みです。


2024.02.21 gigantes me prasa3
この料理は鍋で煮込むだけでもできるけど、ぜひオーブンで仕上げてみてください。ふっくら柔らかく煮えつつも、表面のこんがりパリッと焼けた部分がいいアクセントになります。煮込みのやさしい味わいも捨てがたいですが、オーブン焼き独特の“味がぎゅっと詰まった感じ”がスパイス風味によく合います。

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オリーブのお菓子を11月に載せてましたが、実はあれからもうひとつ作っていました。

2023.12.03 olive cake
あの時少し残ったオリーブグラッセをシンプルなケーキに焼き込んでみたいなと思い、たまに作るオイルケーキに入れてみました。ベースとなるケーキは、以前マルメロ入りでレシピを載せたもののバリエーションです。粉を一部ナッツに置き換えて作るのが好きで、今回オリーブグラッセに合わせたかったのはヘーゼルナッツ。私は基本的にレモン入りのケーキはあまり好まないのだけど、オリーブグラッセ&ヘーゼルナッツの組み合わせにはレモンの香りをアクセントにしたくて、皮のすりおろしを少し加えました。


2023.12.03 olive cake1
パウンドケーキのような焼き上がりのケーキなのですが、ヨーグルトが入る分、油分は控えめな量になっています。普段のおやつに食べるには、こういう重すぎない焼き菓子がいいなぁという感じ。元々はバターの節約で作るようになったケーキなのですが、オリーブオイルの高騰も著しいので、ひまわり油など癖のない植物油とオリーブオイルをお好みの割合で混ぜてもいいです(オリーブオイルの香りが強すぎると感じる方にも、こちらがおすすめ)。


2023.12.03 olive cake process
オリーブグラッセ入りで作る人はあまりいなそうなので再現性が低いですが、ケーキのレシピは一応載せておくので、興味のある方は記事の最後までご覧ください。


2023.12.15 cake tin
我が家に伝わるケーキの型(おばあちゃんか誰かのだけど、ケーキを焼くイメージではないので謎は深まる……)。最近はテフロン加工など味気ない見た目のが多いですが、国産の古い調理器具っていいですよね。


今期のオリーブ仕事の記録は、これで最後です。
猛暑や自然災害の影響か、オリーブは不作だったようで2023年秋冬は市場でフレッシュオリーブをあまり見なかったのですが、今年は豊作となりますように。

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ほんの少しだけフレッシュチーズが余ったので、手っ取り早くパスタで消費。

2024.01.04 orzo
フレッシュチーズというとリコッタチーズやカッテージチーズがよく知られますが、ギリシャにもさまざまなフレッシュチーズが作られます。
料理やお菓子などに、一番幅広く使われるのはアンソティロスとミジスラ。見た目も味わいも似通ったこの2つのチーズはイタリアのリコッタのようにホエイを再利用して作られますが、微妙な違いがあります。

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・アンソティロス:羊乳または山羊乳チーズを作ったあとのホエイを使う。フレッシュな状態での水分量は最高70%、固形分に含まれる乳脂肪は最低65%。

・ミジスラ:ホエイの種類に指定はなく、牛乳の場合も。フレッシュな状態での水分量は最高70%、固形分に含まれる乳脂肪は最低50%。

厳密にはこのような決まりがあるようですが、ホエイを使わず乳に酸(家庭で小規模に作られる場合はレモンやビネガー、少し変わったものではイチジクの樹液など)を加えて作るフレッシュチーズもミジスラと呼ばれたりします。

いずれも乾燥させたタイプがあり、こちらはミジスラの方がよく見かける気がしますが、結構塩気が強いのですりおろしてパスタにふりかけたりする使い方が一般的です。
ちょっと面白い使い方をするのがペロポネソス半島マニの郷土料理のチュフティというパスタで、乾燥ミジスラを茶色くなるまで炒めて加えます。

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2024.01.04 orzo1
前置きが長くなりました。チーズとハーブだけを加えたシンプルパスタは今まで焦がしバターで作ったりもしてたのですが、チュフティみたいに焦がしチーズでやってもよさそうだなと思い試してみたのがこちらです。

チュフティに使うのは乾燥ミジスラだけど、今回手元にあったのはフレッシュなアンソティロ。うちでは多めに余った時は冷蔵庫で数週間乾燥させたりもするのですが、今回は2人分のパスタに使える程度の量だったので、フレッシュチーズでもできるか実験してみることに。塩をしてキッチンペーパーで押して水分を取っただけのを使いました。


2024.01.04 myzithra
フライパンにバター(できれば羊乳か山羊乳のバターがおいしい)を溶かし、チーズを加えます。脂肪分が低いチーズだからか溶けないので、水分が飛ぶにつれポロポロの細かいそぼろ状に。きつね色に香ばしくなるまで炒めたら火から下ろします。

パスタはクリサラキという大麦(クリサリ)の粒を模した形のものを使いました。日本ではイタリアのオルゾまたはリゾーニという名前で売られているはず。なければ他のパスタでもいいです。ギリシャではクリサラキはソースやスープに加え炊くような調理法で作ることがどちらかというと多いですが、今回は普通のパスタのように茹でます。

パスタを茹でている間にハーブを刻みます。このパスタを作る時は数種類のフレッシュハーブを混ぜるのが好きで、パセリ、ディル、スペアミント、バジル、フェンネル、チャービル、タイムなどなど……その時にあるもの何でも、あまりこだわりなく組み合わせて大丈夫です。お好みで葱を少し加えても。
大まかなルールとしては、よく火を通した方が好きなハーブ(ローズマリーやセージ)や、香りがきつく感じるフレッシュオレガノも、私の場合あまりこれには入れません。

パスタが茹であがったら水気を切ってチーズの入ったフライパンにあけ、フレッシュハーブを加え黒胡椒を挽いて和え、味をととのえできあがり。レモンの皮のすりおろしやレモン汁を加えても爽やかでおいしいです。

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この日はパスタのほか簡単なサラダと青菜パイ(ただ単に食べたかった)という献立でしたが、ロースト野菜やポーチドエッグを添えて食べたり、付けあわせとしてもおすすめです。

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