ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

カテゴリ: 自家製食品&海外和食

まだ夏のバカンス記事が少し残っていまして、今回はちょっと番外編。シミ島に滞在中は、こんなものも作っていました。

2018.08.28 cheese1
Συκομυζήθρα ξερή

イチジクの樹液を使って凝固させるチーズです。
一般的にチーズは哺乳中の牛や羊、山羊の胃から抽出される酵素であるレンネットを使いますが、植物性のレンネットもいろいろあり、メジャーではないもののイチジクの樹液もそのひとつです。イチジクで作るチーズは古代ギリシャでも食べられていたようで、ホメロスの「イリアス」にもイチジクのミルク(白い樹液)が乳を凝固させる様子が記述されています。

現代のギリシャの家庭でレンネットを使わず作るチーズはレモンやワインビネガーを使うのが主ですが、エヴィ・ヴチナさんの著書にキティラ島のシコミジスラについて書かれていました。ギリシャ語でイチジクはシコ、ミジスラとはリコッタに似たチーズのことです。


2005.09.19 cheese

実は、私がこのチーズを作ったのは今回が二度目。初めて作ったのもシミ島バカンス中で、写真を探してみたら2005年でした。


2018.08.25 cheese1

ずいぶん昔のことなので、もう味も覚えてなかったから新たな気持ちで再チャレンジ(笑)いろいろ調べてみると、熱した乳をイチジクの枝でかき混ぜるだけで固まるという情報もあったのですが、枝を折って樹液を集め、水で少し薄めたものを使いました。今回気付いたのは、イチジクの樹液には苦味があるので、様子を見てなるべく少なく使った方がよさそうです。味は若干の苦味が感じられるものの、レモンやビネガーで作ったフレッシュチーズよりはミルキーかつクリーミーさが際立っているように思いました。


2018.08.25 cheese2

作ったのは少量でしたが、前回とは違う食べ方をしてみたく、乾燥させてアテネに持ち帰ることに。水気を切ったフレッシュチーズに塩を加え風通しのいい日陰で乾かします。


2018.08.25 cheese3

小さかったので、数日で結構乾きました。


2018.08.28 cheese2b

とりあえず完成。
アテネに帰ってから断面写真も撮ったのだけど、PCを買い換えた時に間違って消してしまったのかも?乾燥させたのは少し黄色っぽくみっちりとした仕上がりになりました。


※イチジクの樹液は触るとかぶれることがあるので、もし試される場合、肌が弱い方はご注意下さい。また、ラテックスアレルギーの方は避けた方がいいようです。


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この冬は、ずーっと食べたかったものをようやく作ることができました。タイトルにある通りモツなんですが、家族に嫌がられること間違いなしの食材って、気を使ってしまってなかなか調理できないんですよね。ハードル低めのレバーや鶏の砂肝なんかはたまに買ってくるんですけど。

2018.12.16 pizza

ワンクッションとして、トップ画像は何の変哲もない(と思われる)ピッツァをとりあえず置いておきます。



2018.12.12 offal1

肉市場へ行くたびにチラチラ見てた豚モツ……小腸を買うつもりだったのが、これはひとかたまり全部(一頭分?)じゃないと売ってもらえないらしい。ソーセージも作れていいけど、いきなりこの量はいらないかな〜と、大腸を買ってきました。結局、これもそこそこの量だった(笑)

小麦粉でモミモミしたり洗ってみたわけですが、脂肪についてる細かい汚れが落ちきる気がしなくて、途中ちょっと心が折れそうに焼いて食べる分はせっかくなので生のままにしようと思ってたのはあっさりやめて、その日は時間がなかったのもあり、とりあえず全部下茹ですることにしました。


2018.12.13 offal2

茹でこぼして切ったのをさらに茹でる……。家にモツ臭が充満するのは避けたかったので、下ごしらえは慎重に進めます。そこまで臭くはなかったと思うけど、やっぱり外で煮炊きできるよう一口の電気コンロが欲しいなぁ。


2018.12.14 offal3

で、まずはすごく食べたかったこちら。甲子園の味!こてっちゃん風にみそだれに漬けて焼いたものです。あれは牛モツ使用のようですが、牛モツは見かけなかったので豚で。おいしくて満足


そしてそして、ここへきてトップ画像の説明なのですが、「こてっちゃんピザ」です。某チェーン店の真似(笑)うまーい。これは絶対に作らねばな〜と思ったのですが、正解でした!ちなみにニラはなかったのでねぎたっぷり目で。


2018.12.17

あとは、冬に食べたくなるモツ煮込み。作ったのも食べたのも初めてですが。


2018.12.17b

適当に作ったのだけどおいしくできました。モツ煮込みうどんにしてもよさそうだなと思ったけど、今回は普通に食べてしまいました。
モツといえば、ギリシャの料理でも10年以上(いや、20年…?)作りそびれているのがあるんですよ。この冬、やる気が持続したらようやく作れるかも?


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載せるのがすっかり遅くなってしまいましたが、夏休みのプロジェクトのひとつが「クシノホンドロス」を作ることでした。

2018.09.07 xinochondros
Ξινόχοντρος

クシノホンドロスとは、クレタ島の伝統的な保存食。粗く挽き割りにした小麦と発酵乳から作られます。ギリシャ各地で作られる「トラハナ」(※)の一種であるとカテゴライズされることも多いですが、クレタ島独特のもので、さまざまな料理に使われます。

これを手作りしたいなとずっと思っていたのですが、なんとなくタイミングを逃していたり、乳を自然に発酵させるプロセスに若干不安があったりで早○年……恐ろしく長い月日が流れていました。で、たまに巡ってくるやる気の波に乗ってようやく着手できたというわけ。

材料はシンプルで、小麦と乳、塩だけ(プラス、オリーブオイルを加える人も)。使うのは牛乳よりも羊乳や山羊乳の方が独特な風味があり適しています。理想としては生乳を使うのがいいんでしょうが、入手が難しいのでスーパーで売ってる山羊乳で作りました。生乳だと一回沸かして殺菌するわけですが、市販のは高温殺菌されているのでパックのまま、発酵するまで置いてみました。カビたりしないよう一日何度かパックを振って混ぜ、匂いを嗅いで様子をチェックします。気温などによりますが、大体数日〜1週間ぐらいで発酵乳になります。匂いを嗅いでみて、不快感のないヨーグルトみたいな発酵臭がすればオッケー(なはず)。

……と、こんな感じで作ってみましたが、この記事を読んで食べてみたいと思った方は、菌が生きてるタイプのヨーグルトを種菌として加え発酵させる方法をお試しください。

発酵食品を作っていて心配になるのは、やはり安全面ですよね。発酵乳に関しては、ヨーグルトを種菌として使うならともかく、ただ置いといて発酵させるのは腐ってるのとどう違うのかというのが一番気になります。これについてはかなりいろいろ調べてみたんですが、結果、よくわかりませんでした。安全と言い切れないものなので、やめといた方がいいですよ〜としか言いようがないみたいな。私も責任は取れませんので、この記事を読んで真似してみたい方は自己責任でお願いします。伝統的な作り方と聞いたものとは微妙に違いますが、上記のようにヨーグルトを作る要領でやってみたり、ヨーグルトと乳を混ぜる方法でもよさそうです。


2018.08.19 wheat berries
(ずいぶん前に買った、この麦を使ってしまいたかった)

さて、無事に発酵した山羊乳を2つに分け、ひとつは市販のプリグリ(挽き割り小麦、バルガー小麦、ブルグル)、もうひとつは戻してフードプロセッサーでごく粗く砕いた小麦粒を使い作ってみました。クレタ島の伝統的な作り方ではホンドロスと呼ばれる粗挽きの小麦を使うのですが、プリグリだと粗挽きのものでもまだ細かい&粒が揃いすぎてる気がするのです。ごく粗く挽けるグレインミルがあればよかったのだけど、持ってないので苦肉の策で、そのままだと刃が傷みそうなので戻してからフードプロセッサーにかけるという方法に。結果、あまり上手く砕けなかったのですが、無理やり続行します。

挽き割り小麦を3〜4倍量の発酵乳と合わせ、汁気を吸ってドロドロになるまで、焦げつかないようかき混ぜながら煮ます。

2018.08.19 xinochondros1

プリグリの方と、


2018.08.19 xinochondros2

フードプロセッサーで砕いた丸麦の方。

汁気がなくなるまで煮えたら、出来たての状態で食べる場合もあるらしいのですが、大体は保存食として乾燥させます。火から下ろしたら、手でまとめられるぐらいに冷まし、適当な量をとって乾燥させます。


2018.08.19 xinochondros

この時、細長く握ったような形だったり、真ん中を凹ませた平丸型だったり好きな形にまとめて乾かすのが一般的ですが、乾いていくのと同時に細かく割ってもいいです。今回はほとんどを握った形で乾かしたのですが、やっぱり煮る時になかなか崩れず少し使いにくかったです。細かい方が使用量の調節もしやすくおすすめ。


2018.09.07 xinochondros2

プリグリで作ったものの完成品。比較的細かく割ってみました。

2018.09.07 xinochondros1

丸麦を砕いた方の完成品。

食べてみた感想は、市販のプリグリ(挽き割り小麦)で作ったものよりも自分で丸麦を砕いて作った方が断然おいしかったです。


しっかり乾燥させたクシノホンドロスは長期保存できます。空気が乾燥しているなら布袋で保存もできるけど、虫がつく心配もあるので、一番いいのは密閉して冷蔵庫か冷凍庫に入れることでしょう。うちは場所がないので密閉容器に入れて常温で置いてますが、低温のオーブンで仕上げ乾燥と熱処理することにより防虫対策をしています。

クシノホンドロスは煮込みに入れたりさまざまな料理に使えるわけですが、長くなってしまったので調理例はまた次回にご紹介します。


【関連記事】

※トラハナについてはこちらに詳しく書いています。興味のある方はご覧ください


※2022年の夏に、山羊乳ヨーグルトを種菌にしてクシノホンドロスを作った時の記事です。


※クシノホンドロスの調理例に関しては、いっぱい載せてますのでブログ内検索をご利用ください。


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去年の秋に作った赤唐辛子ペースト。写真を撮ったつもりがなかったので、すでにかなり減ってますが……。

2018.05.21 fermented chili paste

これを作った一番の目的は、ルイジアナ風のホットソースを作ることでした。タバスコ的なホットソースって買うと高いので、自作したいなとずっと思ってたのです。秋のはじめ頃に出回る生の赤唐辛子を待ち、去年ようやく仕込んでみました。

洗ってヘタを取った赤唐辛子をフードプロセッサーでガーッと潰して、2%(追記:割と適当な量でやってしまうのですが、その後は大体3〜5%で仕込んでます)の塩を加えます。水も入れたかな?覚えてないのですが、水分がある程度含まれる唐辛子なら必要ないかと思います。この保存瓶にひとつ分できたのですが、発酵して膨らむので溢れて大変なことになりましたブクブクしてるうちは、大きな容器に入れておきましょう。

発酵が落ち着いてきてからは冷蔵庫に入れてさらに熟成させます(よく考えたら、常温でもいいはず)。タバスコは確か2年ぐらい熟成させるようですが、発酵唐辛子ペーストが便利すぎて、すでに半分以下に減ってしまいました。

ちょっと唐辛子を入れたいな〜って時に、これがあると本当に便利なんですよ。使い方の幅を狭めるほどの塩気や副材料が入ってないのがいいです。お手軽な使い方としては、パスタや炒め物などに。私の中では「にんにく&しょうがみじん切りの冷凍」と並ぶ便利食材かも。


2018.05.21 fermented chili paste with koji & lemon

この発酵唐辛子ペーストに麹とレモンをあわせて作った、簡易版かんずりのような調味料もヒットです。これは薬味として大活躍!


2018.05.16

かんずり風ので一品。先日、お友達から春菊を頂いたので、こんなおつまみを作ってみました。作ってあった砂肝のコンフィに、かんずり風唐辛子ペーストを加えよく混ぜあわせ、生の春菊を加えざっと和えるだけ。コンフィじゃなくて、炒めるか茹でるかした砂肝でも作れます。


2017.11.25 chili paste

もうひとつの目的は、自家製豆板醤でした。生唐辛子が出回っているタイミングですぐに仕込みたかったのですが、ちょっとやる気が出なかったりいろいろで。そら豆麹を用意できるまでの間、とりあえず唐辛子を保存するためにも発酵唐辛子ペーストを作っていたのです。結局冬になってから仕込んだ豆板醤、小さい瓶の方は解禁して少しずつ使っていますが、やはり自家製はおいしいです。


2018.05.18 hot sauce

本来の目的だったホットソースも。まだ早いですが、ペーストを使い切ってしまわないうちに一度ぐらいは……と簡単に作ってみました。ペーストにビネガーと塩を足してミキサーにかけ、漉して完成。本当はビネガーを加えてからもちょっと熟成させるのでしょうけど、まあいいかと(笑)漉して残った固形分も、もちろん使えるので捨ててはいけません。

こんな感じで、2年の熟成どころか1年も持たないこと確実な発酵唐辛子ペースト。今度の唐辛子シーズンにはもっとたっぷり仕込もうと思います。


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葡萄の若葉の季節。
今週になってようやく買ってきたものの、ギリシャ料理の定番ドルマダキァ(ドルマデス)を作るより先にお寿司にしてしまいました。

2018.05.02 sushi

ここ2年ぐらい、作る機会を逃し続けていたので……かなり久しぶりになります。
お手軽なサーモンをよく使っていたのだけど、やけに高くなってしまったので買う気になれず。ちょっと手間はかかるけど、ギリシャでよく見かける小鯛(ニシキダイ?)を軽く締めて使いました。


2018.05.02 fish

時期やサイズによって変わるけどキロ5ユーロぐらいです。


2018.05.02 sushi3

柿の葉寿司みたいにツルツルの面を内側にしてますが、包み方はドルマデスと同じですね。フレッシュな葉でなく瓶詰めので作ってもいいけど、なんとなくこの時期に作りたい気分です。
木の桶みたいなのがあればなぁ。その方が香りもよさそうだし。


2018.05.02 sushi1

巨大に見えますが、たぶん普通の柿の葉寿司ぐらいです


2018.05.02 sushi2

茹でた葉で巻いた押し寿司も。これは小鯛が全部隠れないよう、葉っぱ1枚を下から包み込むように巻いてあります。

葡萄の葉寿司、いっそ魚じゃないネタでもよさそうですね。
覚えていたら今後の課題にします。


追記:生魚を使う場合は常温で置いておくのは心配なので、しばらく押してから冷蔵してますが、先に酢飯だけを包んで押し数時間涼しい場所に置くという方法を試しました。葉を開いて魚をのせて包み直し、また押して冷蔵という方法だと葉の風味がよく出ておいしかったです。今回は2日続けて作り、2回目は玉子焼きのも作りましたがこれも好評でした。


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