ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:おうちごはん

本家のアレと入れ替わりに、帰ってきた“パスコロ”。

2024.01.10 paskoro
覚えてる方がいらっしゃるかはわかりませんが、昔思いつきで作ったパスティチオ・コロッケ略してパスコロを、かなり久々に作ってみました。




毎年「あの季節」になると思い出すのだけど、バンズを焼いてパスティチオコロッケとソースを作って、タイミングよく組み立てて……という作業が面倒すぎて、しかもブログ用に撮影もするとなるとなかなか。実は数年前にも作ってるのですが、写真がいまいちでボツになりました。

2024.01.10 paskoro1
今回は、なかなかいい感じにできたかな?ちょっと遊んでみたくなり、画像を広告風にしてみました(クリックで拡大)。ドラクマで価格を入れてるのは悪ふざけではなく、架空の広告だとわかりやすくするためです。

ギリシャのママの味、オーブン焼きパスタ料理の「パスティチオ」を、サクサク衣のコロッケにして自家製バンズでサンドしました。
完熟トマトに赤ワインやスパイスを加えじっくり煮込んだコキニストソース、シャキッとみずみずしいロメインレタスがおいしさを引き立てます。


・パスティチオコロッケ:パスティチオは、ムサカの野菜部分をチューブ型パスタに置き換えたようなオーブン焼きの料理。ケファロティリ(羊乳ハードチーズ)と和えたパスタ、甘い香りのスパイスを加えたミートソース、ベシャメルソースを丸く成形し、ギリシャのラスクで作った細かいパン粉の衣で包んで揚げました。

・コキニストソース:肉などで作られるトマトソース煮込みは赤い色をしていることからコキニストと呼ばれます。シナモン、クローブ、オールスパイス、ナツメグ、ベイリーフといったスパイスを使うのが特徴で、甘くエキゾチックな香りがトマトソースの味を引き立てます。パスティチオのミートソースと同系統の味つけですが、コキニストソースは上記スパイスにクミンやカイエンペッパーも加えちょっとスパイシーに。赤ワインで味に深みを、はちみつとワインビネガーで甘酸っぱさもプラスしてみました。

・ロメインレタス:ギリシャでレタスといえば、基本的にロメインレタスのこと。みずみずしさに加え、レタス類の中ではしっかりとした食感と味なので、爽やかなアクセントとなります。

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元の画像。
2024.01.10 paskoro2

期間・数量限定(1月10日、2個のみ)のパスコロ、復帰したところですがすでに終了いたしました。


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先月の半ばからクリスマス前の断食期間に入っているので、決まりごとに従って動物性食品を断つまではしていないものの、なんとなくそれっぽい気分の料理をよく作っています。

2023.11.30 squid with beans & kafkalithra1
今日ご紹介するひと皿は、11月終わりに作った「いかと豆とカフカリスラの煮込み」です。丁度その一週間前に作っていた「干し鱈と豆と青菜の煮込み」に似ていますが、あの時チャービルとフェンネルを使ったら、やっぱりカフカリスラも欲しくなって翌週市場へ買いに行ったのでした。
カフカリスラはパイに入れたりしたほか、たっぷり野菜感覚で煮込みにしようと思い立ち、ニスティシマ(ギリシャの断食料理)でよくやる野菜とシーフードとの組み合わせにしてみました。


2023.11.30 kafkalithra1
ところでカフカリスラについては以前も何度か書いていますが、ギリシャ以外ではあまり馴染みのないハーブかと思いますので、ちょっと説明しておきます。

ギリシャ語ではΚαυκαλήθρα、英語ではMediterranean hartwort。
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する、セリ科(ニンジン科)トルディリウム属のトルディリウム・アプルム(Tordylium apulum)という植物です。

独特の香りがあるカフカリスラはギリシャでは料理に使われ、特に青菜のパイにはよく入れるハーブのひとつです。


2023.11.30 kafkalithra2
野山に生えているのも見かけますが、目につきやすいのは春に花を咲かせる時期で、花弁が白いハートの形をした可憐な姿がとても印象的です。ちなみにこういう見た目の花はセリ科によくあるようで、日本で知られるものだと、葉っぱや香りは違うのですがコリアンダーやオルラヤ(オルレア)の花が似ています。

うちの近所の丘でもよく見るので散歩のときに探したりしているのですが、私がカフカリスラに惹かれるのは料理に活躍することや花が可愛いだけでなく、花のあとの変化の様子が面白いというのも大きな理由です。


2023.11.30 kafkalithra3
なんと、こんな形の種ができるのですよ。どうしてこうなった!?って感じですが、あの花が散ってからギザギザの歯みたいに成長するのが不思議。


2023.11.30 kafkalithra4
種は熟すと、歯の部分と分解されて散っていきます。妖精の入れ歯みたいで面白いなと思うのですが、見ててちょっとぞわっとする人も多いのではないでしょうか?
ギリシャを旅する機会があれば、ぜひ探してみてくださいね。

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2023.11.30 squid with beans & kafkalithra2

いかとうずら豆とカフカリスラの煮込み

作り方:

うずら豆は前もって戻し、一度茹でこぼしてからやわらかくなるまで茹でておきます。

いかは下処理し、食べやすく切っておく。玉ねぎは短い薄切り、にんにくは入れても入れなくてもいいけど、粗みじんくらいに刻む。トマトは控えめな量をすりおろすか皮をむいて刻む(もしくは生トマトじゃなくトマトペーストでも)。カフカリスラは根っこも使用。きれいに洗って、根元は縦半分に切り、あとはざく切りにしておきます。あればチャービルも適量刻んでおきます。

鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて色づかせないよう弱火で炒め、香りが立ったら玉ねぎも加えやわらかくなるまで炒めます。いかを加え炒め、プリッと仕上げたい場合は(玉ねぎとにんにくをできるだけ鍋に残して)一旦取り出します。

鍋にトマトまたはトマトペーストも加え、オイルとなじませるように炒めたら、豆とカフカリスラとチャービルを加え、豆の茹で汁をひたひたぐらいに加え軽く塩こしょうして煮込みます。

いかを一緒に煮ている場合は、全体がやわらかくなるまで。いかを取り分けてる場合は豆とハーブがくたっとやわらかくなるまで煮たら、いかを戻して軽く煮て味をなじませます。塩こしょうでもう一度味をととのえてできあがり。
お好みで、赤唐辛子フレークをちょっと入れるか仕上げにふりかけてピリッとさせてもおいしいです。

※うずら豆の代わりにひよこ豆か白いんげん豆などでもいいです。カフカリスラはギリシャ以外だと入手がちょっと難しそうなので(イタリア辺りでも料理に使うことはあるようですが)、味は変わりますがフェンネルでも。その場合は丸ごとのオリーブを何個か入れて煮るのも好きです。

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【追記】
カフカリスラのイタリアでの名前は他にも複数あるのかもしれませんが、“プーリアの傘”(ombrellino pugliese)と呼ばれるそうです。ローマ風の生野草ミックスサラダについての記事を見つけました。野に生えるさまざまな野草やハーブを集めてオリーブオイルと塩とワインビネガーで食べるサラダはギリシャにも同じものがあり(茹でて食べるホルタとはまた別物)、とても興味深いです。


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誰しも食べ物のマイブームってあると思うのですが、特にその傾向が強いうちの次女。最近はティロカフテリを毎週リクエストされています。

2023.11.10 tyrokafteri potato
ティロカフテリは、辛いチーズのディップというかスプレッドのこと。ギリシャではよく食べられる、パンが進んで困ってしまうメゼのひとつです。
ベースとなるチーズはフェタチーズ(もしくは似たタイプの白チーズなど)で、青唐辛子を使った白っぽいタイプとパプリカを使った赤いのがあります。

「ギリシャのごはん」レシピ本には赤いティロカフテリを掲載していますが、実際うちでよく作るのは大きめサイズで辛味が結構強い青唐辛子を使ったタイプ。ティロカフテリはフードプロセッサーがなくても作れるとても簡単なディップで、むしろフードプロセッサーじゃなく手作業で混ぜた方が粗いテクスチャに仕上がりおいしいです。

2023.11.10 tyrokafteri
皮が焦げるまでローストした青唐辛子を掃除して、ナイフとフォークが当たっても気にならないお皿に置きます。フェタチーズも気前よく大きめの塊をその隣に待機させましょう。
ナイフで唐辛子をある程度刻み、フェタチーズとともにフォークでつぶしながら混ぜあわせていきます。チーズが高いからちょっとかさ増ししたいという意図があったり、塩気を和らげたいな……という方はここでギリシャヨーグルトもお好みで適量加えてください。ワインビネガー少しとオリーブオイルで味をととのえてできあがり。隠し味程度にすりおろしにんにくを加えてもいいです。

日曜恒例のピッツァついでに唐辛子を焼いて、次女のためにティロカフテリを作るというのがルーティンになってたのだけど、ある時、風邪をひいて食欲が落ちていたため手つかずで残ったことがありました。もしかしたら食べるかもしれないしと遠慮して置いておいたティロカフテリは、傷んではなかったので食べられることは食べられるけど、ちょっと微妙。「もったいないけど捨てるか…」に気持ちが傾きかけた時にふと思いついたのが、ポテトに絡めて焼くおつまみでした。

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ティロカフテリポテトの作り方:

じゃがいもは食べやすく切って(私は皮をむいてくし切りにしてます)耐熱皿に並べ、ゆるくラップをかけて柔らかくなるまでレンジ加熱する。

じゃがいもの水気を切って、オリーブオイルをひいたフライパンで焼く。全体がこんがりするまで返しながら焼いたら(余分な油があればキッチンペーパーに吸わせる)、真ん中を開けてティロカフテリを加える。

2023.11.10 tyrokafteri potato process
ティロカフテリが溶けてふつふつなってきたら、ポテトに絡むよう混ぜ合わせてできあがり。よく油がなじんだ鉄のフライパンか、もしくはお手軽にテフロンのフライパンならティロカフテリがフライパンに持って行かれないのでおすすめ。チーズが少し焦げてカリッとするまで焼いたのもまたおいしいです。
または、溶けたティロカフテリを混ぜずにポテトにつけながら食べても。

いずれの場合もお好みで黒こしょうをガリガリ挽いて、オレガノを散らしてどうぞ。

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2023.11.10 tyrokafteri potato1

完成品の写真を撮って食べかけていたら、次女が欲しいと言うのであげたんですが、どうやらこれが新たなヒットとなってしまったらしく、ティロカフテリを毎週作る作業に、ポテトを焼くという手間が新たに加わったのでした……。


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干し鱈の料理に使ったフェンネルとふだんそうの残りで、クレタ島のフェンネルパイを久しぶりに作りました。

2023.11.23 meze
青菜そのままだと手をつけない次女も、パイなら喜んで食べてくれます。
レシピは拙著「ギリシャのごはん うちで楽しむ、とっておきレシピ74 増補新装版」(リンクはAmazonアソシエイトです)で、新たに追加したうちのひとつ。
パイを日常的に食べるギリシャには、全国津々浦々、生地や調理法もさまざまなパイが郷土料理として存在します。クレタ島のこれは、チーズなしのシンプルなフィリングを小麦粉の生地で包みフライパンで焼いたもの。中国の餅(ピン)にも似ていますね。

クレタ島→ラキ(クレタ島のポマースブランデー)と連想してメゼの気分になったので、ストック食材と相談してできあがったのがあとの2品。
お寿司を作ったときに余ったスモークにしんをトッピングしたレンズ豆のサラダと、少しだけ残ってた冷凍のムール貝とえびを使ったサガナキです。シーフードの量がちょっと寂しいサガナキは、ざくざく刻んだフレッシュトマトを入れて。チーズと唐辛子もいつも入れるのですが、今回は残り物活用でティロカフテリ(唐辛子とフェタチーズのディップ)を使いました。

ところで最近はほとんどお酒を口にしなくなった私ですが、先週は普段よりギリシャ料理を多く作ってたら、ワインやウゾが欲しくなってちょくちょく飲んでました。と言っても、グラス一杯だけなんですけどね。もちろんお酒を飲まない人でも楽しめるギリシャ料理ですが、相性のよさもあらためて確認したのでした。


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先月、干し鱈がちょっと安くなってた時に買ったのですが、袋のまま冷蔵庫に放り込んだきりだったので、そろそろ何とかしないと。

2023.11.23 salt cod with beans & greens
たっぷり粗塩をまとった干し鱈は、袋のまま長いこと放置してると塩が滲出してきたりするんですよね。適当な大きさに切り分けて、使わない分はとりあえず保存容器へ。小さめの4切れは塩抜きして煮込みを作ることにしました。

最初は鱈だけでシンプルなおつまみっぽい煮込みを作るつもりだったのですが、うずら豆が食べたい気分だったので、あわせて煮ようか。魚と豆だけより、たっぷりの青菜とハーブも入れたのがいいなぁ……と、私が好きなタイプのギリシャ料理を形にしたのが今日ご紹介する料理です。青菜と煮込んだ料理は以前も載せましたが、そのバリエーションですね。普段あまりパンを食べない私でも、「この料理には絶対パン!」という場合があるのですが、これもそう。天然酵母の田舎パンをちぎって、汁に浸しながら食べると最高です。


2023.11.23 swiss chard
今回使った青菜は癖がなく柔らかなふだんそう。ほうれんそうでもいいし、あればノゲシ(ギリシャではゾホスという名前で青空市場で売っている)を少し混ぜるとほろ苦さも加わりおいしいです。春先なら、まだ花を咲かせてない若いヒナゲシの葉っぱで作りたいところ。ヒナゲシは苦くはないですが、少し野性味のある食感と味わいになります。


2023.11.23 chervil
ハーブはチャービルとフェンネルを使いました。チャービルはギリシャではパイや煮込み、スープなどに入れますが、フレッシュハーブの中ではそれほど登場回数は多くない気がします。もちろん、地方や人にもよるけど。カフカリスラというハーブとセットで使われることが多いですが、今回はフェンネルと組み合わせてみました。フェンネルは葉がディルと変わらないくらい柔らかなものと、野生種もしくはそれに近いのか少しごわごわしたのがあります。どちらに出会うかはその時の運次第ですが、今週の青空市場で売ってたのはとても柔らかい葉っぱ。これはサラダに入れてもおいしそうです。


2023.11.23 salt cod with beans & greens1
干し鱈に話は戻って。3月25日の独立記念日はギリシャ正教の生神女福音祭(聖母マリアの受胎告知の日)という祝日でもあり、この日の行事食と言っていいほどよく食べられるのが干し鱈のフライなのです。それでギリシャ国家の重要な行事に干し鱈のイメージがついてしまったのか、最近では10月のオヒ・デー(参戦記念日)にも干し鱈を食べる人が増えているよう。うちは別にその日に干し鱈は食べないけど、スーパーで特売になるので助かります。

ヨーロッパの干し鱈料理というとポルトガルの干し鱈コロッケなどが日本の人にはよく知られますが、前述の干し鱈フライなど、ギリシャにも干し鱈を使ったおいしい料理が沢山あります。日本ではちょっと入手が難しい食材かもしれませんが、ぜひお試しください。

【関連記事】
鱈と青菜煮込み別ヴァージョンと、その他おすすめのレシピです。今回の記事のレシピは続きをご覧ください。









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