ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:クレタ島

とても慌しかった10月。
いろんな人に会う機会があったり、クレタ島へ出張で(たった1日だけど)行ったりもしてました。

2024.10.26
クレタ島はたぶん18年ぶりくらいなんですが、もうちょっとゆっくりできたらよかったなぁ……でも昔行った教会を再訪したり、なかなか楽しかったです。食べ物的には、自分が行きたい場所を回ったりはほとんどできなかったのが少し残念だったけど、クレタ料理のお店や食料品店はアテネにも沢山あるし、まあよしとしましょう。

トップの写真は、アテネのクレタカフェニオンからお持ち帰りしたミルクフェッドラム腸のフライのリメイク。羊腸は裏返したりしてよくよく洗う下処理が必要ですが、乳飲み仔羊はほぼそのままでも大丈夫なのだそう。確かに臭みがほとんどないです。
シンプルに小麦粉をまぶして端がカリッとするまで揚げたのに塩とレモンだけでもおいしいのだけど、持ち帰った分は揚げ直してスモークパプリカを少し。自家製のハラペーニョソースを添えました。
この日は揚げ魚のマリネも作ったのですが、一部は漬けずにその場でおつまみに。


2024.10.31 dakos
一番よく知られるクレタ料理は、たぶんダコスでしょう。大麦パンなどで作られるラスクにトマトやチーズをのせたパンサラダっぽい一品ですが、今やその辺のスブラキ屋さんなんかでもメニューに載ってたりするほど一般的になりました。


2024.10.31 kavroumadakia with graviera cheese
ダコスに使ったラスクは買ってきたものだけど、クレタ島のグラヴィエラチーズ入りのカヴルマダキァという固焼きパンを久しぶりに作りました。結構日持ちするし、オリーブなんかと一緒におつまみに重宝するものですが、作った端からすぐに手が出てなくなってしまいます。


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8月はうだるような暑さにすっかりバテつつも、この夏作ってみたいと思っていた保存食をなんとか完成させていました。

2024.08.14 corn xynochondros (2)
Ξινόχοντρος από καλαμπόκι

作ったのは、とうもろこしのクシノホンドロス。
まずクシノホンドロスとは何?というのは以前書いたのを関連記事のリンクから見ていただくことにして……本来は粗く砕いた麦で作られるクレタ島の伝統食品なのですが、ある時にとうもろこしを原料としたグルテンフリーのクシノホンドロスというのを見かけて、こんなものまでグルテンフリーヴァージョンが出るとは時代だな〜と感じるとともに、自作したい気持ちがムクムクと湧いてきたのです。

それでとうもろこしの季節を楽しみに待ってたのだけど、私がよく行くいくつかの市場で売られてたのはなんだかいまいち。甘味に欠けていたのは、この用途には丁度よかったのですが。最近になって実入りのよいとうもろこしをあちこちで見かけるようになったので、猛暑のせいだったのかもしれませんね。


2024.08.14 corn xynochondros 1
めげずにとうもろこしを買い集め、まずは粗びき乾燥とうもろこしを作りました。小麦で作った時と同じような感じだけど、やはりうちのフードプロセッサーやミルでは上手く挽くことができず、粒そのままみたいなのと細かすぎるのが混ざっています。市販品は確か原材料に「とうもろこし粉」という表記があった気がしますが、コーングリッツぐらいの粗さに挽いたとうもろこしで作っているようです。もしコーングリッツが手に入るなら、それでもっと簡単に作れそう。


2024.08.14 corn xynochondros 2
とろりとして酸っぱくなるまで発酵させた山羊乳と塩適量、とうもろこしのホンドロスをあわせて煮ていきます。山羊乳を発酵させるのは、初めて作った時の自然に任せる方法ではなく、山羊乳ヨーグルトをスターターとして使いました。


2024.08.14 corn xynochondros 3
汁気がなくなるまで煮たホンドロスを手で握ってまとめ、乾燥させます。一緒に干されてるのは小麦で作った普通のクシノホンドロスと、夏のはじめに仕込んであった杏の梅干し風(今回はサワーチェリーも少し)。


2024.08.14 corn xynochondros 4
この形のまま完全に乾燥させてもいいのだけど、中まで乾くのに時間がかかるのと、料理に加えて煮る時に崩しにくいのもあり2日目は粗くほぐして乾かしました。


2024.08.14 corn xynochondros 5
防虫のため、最後は低温のオーブンで仕上げています。


2024.08.14 corn xynochondros 6
その後バカンスに出かけたりいろいろあって先日やっと一品作ったのがこちら。なんとなく、オクラの煮込みに合いそうだなと最初に思い浮かんだのですが、丁度冷蔵庫にあった使いかけのバターナッツかぼちゃも入れたらちょっと秋っぽい雰囲気の煮込みになりました。

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春にハネムスカリ球根の料理に使いたくて買った乾燥そら豆がまだ残っていたのを、ようやく使い切りました。

2024.07.10a
乾燥そら豆の煮込みって私はたまに食べたくなるのでサラコスティの初めにミント風味のも作りましたが、よく煮てもちょっと皮の食感が気になるんですよね。家族はあまり好きじゃないようなので、皮を剥いてターメイヤにでもしようかなと思いつつ、なかなかそのタイミングがやってきませんでした。

それで今週は、えいっと全部戻して3つの食べ方で。前にもらったクレタ島の自家製ラキが少し残っているのを思い出したので、クレタ料理のメゼにしてみました。


2024.07.10b
そら豆は生でもおつまみとして食べられますが、クレタ島では乾燥そら豆をただ戻しただけで生で食べる「ヴレフトクキア」というのがあります。日本語にすると、濡れそら豆でしょうか。塩水に浸けて一晩戻しただけのもので、皮を剥いて中身を食べます。

ヴレフトクキアは現代ではあまりやらなくなっているようだけど、復活祭前などの斎(ものいみ)の期間、特に油なども摂らない厳しい節食をする日には定番とされるものだったそう。他にはラキまたはチクディアと呼ばれるポマースブランデーのおつまみとしても食べられます。


2024.07.10c
クレタ島料理のもう一品は、「クコファヴァ」。ファヴァと呼ばれる豆のペーストのそら豆版なのですが、そら豆のことをファヴァと呼ぶ国もあるのでちょっと紛らわしいですね。ギリシャ語ではそら豆はクキァ。オトメレンリソウの種子を割り豆にしたものと、それを煮てペースト状にした料理をファヴァと呼びます(関連記事参照)。

クコファヴァを作るには、まず乾燥そら豆を水で戻して皮を剥きます。これを鍋に入れ、水と好みで玉ねぎも適量加え、とても柔らかくなるまでひたすら煮ます。簡単に潰れるぐらいに柔らかくなったら、フォークなどで好みの状態にマッシュします。器に盛って、生の玉ねぎや乾燥オレガノをトッピングしてオリーブオイルをたっぷりかけます。好みでレモンを絞ってどうぞ。


2024.07.10d
家族にはターメイヤをメインにしました。エジプト版のひよこ豆コロッケ/ファラフェルです。夫の母方の家族は元々がクレタ島の出身で、長いことエジプトにも住んでいたので、なんとなくルーツを辿るみたいな組み合わせのメニューになりました。エジプトではギリシャ人コミュニティの中で暮らしていた義母や叔母さんですが、ターメイヤやモロヘイヤなどエジプトの味も懐かしいようです。

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いよいよアポクリエス(カーニバル)のクライマックス。

2024.03.02 volvoi me koukia
ギリシャで最も重要視される行事がパスハ(復活祭、イースター)なのですが、その準備期間である40日以上のサラコスティ(断食・節制期間)の、さらに準備期間となるのが3週間に渡るアポクリエスです。

この期間中は段階的に動物性食品の摂取を制限していくのですが、先週の肉週間、今週のチーズ週間と、長いようであっという間に過ぎてしまいます。料理的には私は断食期間に食べるようなものの方が作るのが好きなので、いそいそと準備しています。そのうちのひとつ、ハネムスカリ球根のピクルスも早めに仕込んだのだけど、長女の好物なのですでに残りわずか。もう一度買いに行くことになりそうです。

2024.03.02 volvoi
近所の青空市場では一軒ぐらいしかハネムスカリ球根を売ってるお店がなかったのだけど、国産のを買えてよかった。暖冬にもかかわらず、今年はいろいろ出るのが遅いような気がします。葉にんにくや若いそら豆もうちの辺りではまだ見ないので、大きい市場へ探しに行ってみよう。


球根はピクルスにすると長期保存できるけど、漬ける前のも味わいたいので、そのうち作ろうとずっと思っていた乾燥そら豆とシンプルに煮た料理をようやく試してみました。
かなり昔に買った野草の本に載っていたレシピで、クレタ島出身の著者の曽祖父がイラクリオンで営んでいた食堂で出していた料理だそう。ギリシャでは多くの地方でハネムスカリの球根を食用としますが、特に好んで食べられる地方のひとつがクレタ島です。ちなみに乾燥そら豆もクレタではよく食べるらしく、煮込んだりペーストにした料理があります。


2024.03.04
作り方はごくシンプルで、下処理して茹でた球根と柔らかく煮た乾燥そら豆を最後にあわせて味がなじむようじわじわ加熱するように煮るだけ。球根とそら豆はそれぞれ苦味とアクがあるので、どちらも茹でこぼしてから煮ます。
ふたつをあわせてから加える味つけは塩こしょうとオレガノ。たっぷりオリーブオイルをかけて食べます。


2024.03.02 volvoi me koukia1
野趣あふれるその味わいは、素材のままと言ってしまえばそれまでだけど、決して単調なものではありません。大地が造り出した香りや食感が複雑に絡み合うのを辿るようにフォークを進め、プロジミ(サワードウ)のほのかな酸味のあるパンで皿のオリーブオイルをぬぐい、さっぱりとしたワインで口を潤して……というのを延々くり返していると、ギリシャでこの味に出会うことができてよかったなぁと、しみじみ思うのです。


【関連記事】

ハネムスカリ球根についてnoteにも記事を書いたので、あわせてご覧ください。


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寒い日が続いています。

2023.01.30 xinochondros soup
今週はアテネにも雪が降るほどで、次女の学校は水曜までオンライン授業だったのもあり私はほぼ冬眠してました。セントラルヒーティングがあるのでそこまで室温は低くないんだけど、寒いと体が動かなくなるんですよね。

こんな時に食べたくなるのがトラハナのスープ(トラハナについては関連記事に詳しく書いています)。ドロッとしたテクスチャーがお粥やおじやを連想させるコンフォートフードですが、トラハナの仲間のようなクシノホンドロスを夏に作ったのがまだあったので、それを使ってスープを作りました。クシノホンドロスは小麦粉じゃなく麦の粒を粗く挽いたもので作るので、プチプチとした食感です。

覚え書き。
ポークチョップの骨部分と鶏を捌いた時に出た鶏ガラがあったので、血抜きをしてから圧力鍋で煮ます。適当なくず野菜と、半分に切った玉ねぎ、トマト一切れ、ベイリーフも入れて。骨にはスープ用に肉をある程度残していたので、ほろっとやわらかく煮えたら骨から肉をはずしておきます。玉ねぎは一旦取り出し、スープを漉して玉ねぎと一緒に鍋に戻します。
好みで小さく切ったズッキーニや一口大に切ったじゃがいもも入れ、クシノホンドロスを適量加えこれらがやわらかくなるまで煮込みます(玉ねぎは混ぜているうちに勝手に崩れます)。取っておいた肉を最後に戻して軽く煮、塩こしょうで味をととのえたらできあがり。


2023.01.19 cauliflower & potato stew with xinochondros
見た目があまり変わらないけど、別の日に作ったカリフラワーとじゃがいもの煮込みもクシノホンドロス入りで作ったのでついでに載せておきます。
こちらは肉系のものは入ってないのですが、うまみが足りないなんてことは全然なくて、変わらずおいしい。肉やブイヨンを入れたスープよりも、我が家ではこちらの系統で作る方が多いです。


【関連記事】


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