ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:ダイエット

カーニバルシーズンが終わり、復活祭に向けての長い節制の期間「メガリ・サラコスティ」が昨日から始まりました。

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初日であるカサラ・デフテラ(クリーンマンデー、清浄な月曜日の意味)は、多くの人にとってまだお祭り気分が残っている楽しい日。ギリシャ正教の断食・節食では魚以外のシーフードは食べていいので、それらを使ったご馳走を囲んでにぎやかに過ごします。

また、ピクニックをしたり凧揚げをして遊ぶ風習もあり、野山や海辺へ出かける人も多いです。アテネの中心エリアでは、アクロポリス周辺が毎年かなりの人出となり、ライブ演奏やダンスも催されます。

我が家はというと、私以外はみんなシーフードが苦手。普段あまり食卓に上らないシーフードを食べるチャンス!と、ここぞとばかりに私が張り切るイベントになりがちなのですが、今年はちょっと趣向を変えて、ごくシンプルなメニューにしてみました。

本来、この日は油やお酒も抜きの厳しい節食の日だそうで、たぶん修道院ではそのような食事をされていると思います。シーフードは使えるけど、行事に便乗して値上がってたりもするし、他の日に食べればいいかな……ということでタラマ(塩辛いたらこのような魚卵ペースト)だけ。

最近あらためてギリシャ正教の断食について勉強してたこともあり、油抜きのメニューを考えました。

・ラガナ(ごまをまぶした大きな平焼きパン)
・タラモサラタ
・ファソラーダ(白いんげん豆のスープ)
・ビーツのにんにくビネガー和え
・自家製オリーブ3種
・ルッコラ
・ミックス野菜のピクルス(市販品)
・ごまのハルヴァ(市販品)


まずカサラ・デフテラに欠かせないのが、ラガナという大きくて平たいパンとタラマです。ラガナの由来はユダヤ教で過ぎ越しの祝いに食べられるマッツァと同じで、イスラエル人がエジプトを脱出する時にパンを発酵させる時間がなかったことから、パン種を使わないとされます。マッツァと違いギリシャのラガナについては、少なくとも現代に食べられているものはイーストで発酵させていて普通のパン生地と変わらないのですが、あまり膨らまないよう平たく押さえる成形にその名残があります。

カサラ・デフテラにはどこのパン屋でもラガナが大量に焼かれ飛ぶように売れるものですが、買いに出かけるのも面倒なので私は手作り派。自作すると安上がりなのもいいです。


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ラガナをちぎってタラモサラタをたっぷりつけて食べるのがとてもおいしいのですが、ここで問題。“油抜き”メニューにすると決めたので、オイルたっぷりのタラモサラタはいいものかというのがちょっと気になってきました。

実は“油抜き”に関してはふたつの解釈があり、オリーブオイルは禁止だけど他の油(ひまわり油、コーン油など)やマーガリンは使えると言う人もいます。それらをふんだんに使っていたら、節制の意味はあまりないような…...。うちのタラモサラタはオリーブオイルよりもニュートラルな味のひまわり油などをいつも使っているので、オリーブオイルのみ禁止という解釈に従えば問題ないのですが。

先に書いた理由から“油抜き”を徹底してみたくなり、タラマはそのままで出すつもりでしたが、ふと「ノンオイルのタラモサラタ」を思いついたので作ってみました。これが我ながらなかなかおいしくできたので、記事最後にレシピを書いておきます。普通のタラモサラタよりカロリーも少しおさえめなので、ぜひお試しください。


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他のメニューについて。ファソラーダ(白いんげん豆のスープ)は、豆料理全般の中でもカサラ・デフテラによく食べられる定番。夫の友人のお母さんであるポリさんが作っていた、ピリッと辛いノンオイルの豆スープをお手本にしています。

オリーブは小さなグリーンオリーブのペットボトル漬け、ビネガー風味のカラマタオリーブ、塩だけで漬けたブラックオリーブと全て自作。

ビーツは市販の真空パックの茹でビーツを切って、ワインビネガーとにんにくで和えただけ。ピクルスとごまのハルヴァも市販品で、頑張りすぎないというのももうひとつのテーマでした。


【メガリ・サラコスティについて】
ギリシャ正教で一番重要視される行事である復活祭を前に、長い節制と祈りの生活を送る期間。ギリシャ語ではメガリ・サラコスティまたはテッサラコスティ、日本語では大斎(おおものいみ)。
サラコスティという名前の由来は、キリストが荒野で行った40日間の断食にならったもので、元々は復活祭直前の週であるメガリ・エヴゾマダ(受難週間、聖週間)と3月25日の生神女福音祭(この日は魚食が許される)は数えていなかったため40日間とされました。その後メガリ・エヴゾマダとその始まり(一週間は日曜から数えるため)である棕櫚の日曜日(この日も魚食が許される)も含むようになったため実質48日間となります。


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ノンオイル・タラモサラタ(タラモサラタ・アラドティ)

材料:(約2/3カップ/約140g分)
リーンなパンの白い部分...20g(ひと切れ分)
アーモンド(皮なし)...25g(ひとつかみ)
タラマ...30g(約大さじ2)
玉ねぎ...25g
レモン汁...大さじ1

パンは水に浸けてふやかし、ごく軽く水気を絞る。

すべての材料をフードミルかフードプロセッサーに入れて、クリーミーな状態になるまでよく混ぜる。途中、必要なら水を少量加えて濃度を調整する。

時間があれば冷蔵庫で1〜2時間置いて味をなじませる。

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MEMO:レストランで出されるひと皿分ぐらいの量ですが、大きなフードプロセッサーだと倍量以上でないと混ぜにくいです。
アーモンドの代わりにカシューナッツを使っても。
フードプロセッサーがない場合、ホールアーモンドの代わりにアーモンドプードルを使い、玉ねぎは細かくすりおろして加えるとすり鉢で作れます。また、アーモンドバターで作ってもいいと思います。
日本のたらこを使う場合は塩気が少ないので、必要なら塩で味をととのえます。


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パスハ(復活祭)間近。今週はメガリ・エヴゾマーダといって、直訳すると「大きな週」。受難週間です。

2022.04.14 tahinosoupa
少なくともこの一週間だけは動物性食品を断ったりの節制生活を実践するという人がギリシャでは多いです。
健康によさそうですが、復活祭は深夜に羊のモツスープで断食を破るのに始まり、肉料理をひたすら食べます。ギリシャ人の本気のパスハ料理は日本人の私にはかなりヘビーなので、ほどほどがいいですね

我が家は特に節制はしてないですが、普段から肉もそんなに食べないし、ギリシャの精進料理的なものは好きなので今週はいくつか投稿しようかと思います。

今日のひと皿は、タヒノスパ。
タヒニ(ごまペースト)を加えたスープで、動物性食品だけでなく油も抜く日におすすめです。

作り方は過去記事に書いてありますので、下記リンクからどうぞ。




今回のは玉ねぎ、にんじん、ズッキーニ、そして米を入れて雑炊風に作ったものです。
シンプルに水で煮て作るスープは、しゃきっと背筋が伸びる感じの味わい。
現代日本の食べ物は「うまみ過多」なところがあると私は思ってるんですが、そういう味に慣れていると、このような料理は物足りなく感じるかもしれません。

タヒノスパは野菜ブイヨンを加えてもいいですが、まずは極シンプルな方法で作ってみて、塩加減やレモンの量で好みに調整してみるのがおすすめです。


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