ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:ハーブ

ほんの少しだけフレッシュチーズが余ったので、手っ取り早くパスタで消費。

2024.01.04 orzo
フレッシュチーズというとリコッタチーズやカッテージチーズがよく知られますが、ギリシャにもさまざまなフレッシュチーズが作られます。
料理やお菓子などに、一番幅広く使われるのはアンソティロスとミジスラ。見た目も味わいも似通ったこの2つのチーズはイタリアのリコッタのようにホエイを再利用して作られますが、微妙な違いがあります。

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・アンソティロス:羊乳または山羊乳チーズを作ったあとのホエイを使う。フレッシュな状態での水分量は最高70%、固形分に含まれる乳脂肪は最低65%。

・ミジスラ:ホエイの種類に指定はなく、牛乳の場合も。フレッシュな状態での水分量は最高70%、固形分に含まれる乳脂肪は最低50%。

厳密にはこのような決まりがあるようですが、ホエイを使わず乳に酸(家庭で小規模に作られる場合はレモンやビネガー、少し変わったものではイチジクの樹液など)を加えて作るフレッシュチーズもミジスラと呼ばれたりします。

いずれも乾燥させたタイプがあり、こちらはミジスラの方がよく見かける気がしますが、結構塩気が強いのですりおろしてパスタにふりかけたりする使い方が一般的です。
ちょっと面白い使い方をするのがペロポネソス半島マニの郷土料理のチュフティというパスタで、乾燥ミジスラを茶色くなるまで炒めて加えます。

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2024.01.04 orzo1
前置きが長くなりました。チーズとハーブだけを加えたシンプルパスタは今まで焦がしバターで作ったりもしてたのですが、チュフティみたいに焦がしチーズでやってもよさそうだなと思い試してみたのがこちらです。

チュフティに使うのは乾燥ミジスラだけど、今回手元にあったのはフレッシュなアンソティロ。うちでは多めに余った時は冷蔵庫で数週間乾燥させたりもするのですが、今回は2人分のパスタに使える程度の量だったので、フレッシュチーズでもできるか実験してみることに。塩をしてキッチンペーパーで押して水分を取っただけのを使いました。


2024.01.04 myzithra
フライパンにバター(できれば羊乳か山羊乳のバターがおいしい)を溶かし、チーズを加えます。脂肪分が低いチーズだからか溶けないので、水分が飛ぶにつれポロポロの細かいそぼろ状に。きつね色に香ばしくなるまで炒めたら火から下ろします。

パスタはクリサラキという大麦(クリサリ)の粒を模した形のものを使いました。日本ではイタリアのオルゾまたはリゾーニという名前で売られているはず。なければ他のパスタでもいいです。ギリシャではクリサラキはソースやスープに加え炊くような調理法で作ることがどちらかというと多いですが、今回は普通のパスタのように茹でます。

パスタを茹でている間にハーブを刻みます。このパスタを作る時は数種類のフレッシュハーブを混ぜるのが好きで、パセリ、ディル、スペアミント、バジル、フェンネル、チャービル、タイムなどなど……その時にあるもの何でも、あまりこだわりなく組み合わせて大丈夫です。お好みで葱を少し加えても。
大まかなルールとしては、よく火を通した方が好きなハーブ(ローズマリーやセージ)や、香りがきつく感じるフレッシュオレガノも、私の場合あまりこれには入れません。

パスタが茹であがったら水気を切ってチーズの入ったフライパンにあけ、フレッシュハーブを加え黒胡椒を挽いて和え、味をととのえできあがり。レモンの皮のすりおろしやレモン汁を加えても爽やかでおいしいです。

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この日はパスタのほか簡単なサラダと青菜パイ(ただ単に食べたかった)という献立でしたが、ロースト野菜やポーチドエッグを添えて食べたり、付けあわせとしてもおすすめです。

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いよいよクリスマスまで一週間を切りました。予定は未定で何もそれらしい準備はしてないのですが、いつもブログを見てくださってる読者の皆さまへレシピのプレゼントを置いておきます。

2023.06.26 kritsinia
作って撮影とレシピ作成したのは、実は夏休み初めの6月下旬。子供の「お腹すいた」攻撃を避けるためのスナックを大量生産してたんですが(あるだけ食べるので作戦は成功とは言えませんでした……)、こういうのがあるとホリデーシーズンにも重宝しますよね。

イタリアのグリッシーニに似たブレッドスティックはギリシャでとてもポピュラーで、ごまや他のシード類をまぶしたものや生地にフレーバーを練りこんだものを多く見かけます。

今回ご紹介するハーブとチーズ入りのクリチーニャ2種類は、そのまま食べてもおいしく、また、シャルキュトリーやチーズなど盛り合わせたおつまみプレートにもぴったり。チーズを入れずハーブだけで作ってもいいですよ。日持ちするので、クリスマスから年末年始のおもてなしやおうち時間にぜひ活用してください。

2023.06.26 kritsinia3

写真手前はディル&フェタチーズ、奥はフェンネルの葉っぱとチーズを抜いてシードのみで作ったものです。

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先月の半ばからクリスマス前の断食期間に入っているので、決まりごとに従って動物性食品を断つまではしていないものの、なんとなくそれっぽい気分の料理をよく作っています。

2023.11.30 squid with beans & kafkalithra1
今日ご紹介するひと皿は、11月終わりに作った「いかと豆とカフカリスラの煮込み」です。丁度その一週間前に作っていた「干し鱈と豆と青菜の煮込み」に似ていますが、あの時チャービルとフェンネルを使ったら、やっぱりカフカリスラも欲しくなって翌週市場へ買いに行ったのでした。
カフカリスラはパイに入れたりしたほか、たっぷり野菜感覚で煮込みにしようと思い立ち、ニスティシマ(ギリシャの断食料理)でよくやる野菜とシーフードとの組み合わせにしてみました。


2023.11.30 kafkalithra1
ところでカフカリスラについては以前も何度か書いていますが、ギリシャ以外ではあまり馴染みのないハーブかと思いますので、ちょっと説明しておきます。

ギリシャ語ではΚαυκαλήθρα、英語ではMediterranean hartwort。
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する、セリ科(ニンジン科)トルディリウム属のトルディリウム・アプルム(Tordylium apulum)という植物です。

独特の香りがあるカフカリスラはギリシャでは料理に使われ、特に青菜のパイにはよく入れるハーブのひとつです。


2023.11.30 kafkalithra2
野山に生えているのも見かけますが、目につきやすいのは春に花を咲かせる時期で、花弁が白いハートの形をした可憐な姿がとても印象的です。ちなみにこういう見た目の花はセリ科によくあるようで、日本で知られるものだと、葉っぱや香りは違うのですがコリアンダーやオルラヤ(オルレア)の花が似ています。

うちの近所の丘でもよく見るので散歩のときに探したりしているのですが、私がカフカリスラに惹かれるのは料理に活躍することや花が可愛いだけでなく、花のあとの変化の様子が面白いというのも大きな理由です。


2023.11.30 kafkalithra3
なんと、こんな形の種ができるのですよ。どうしてこうなった!?って感じですが、あの花が散ってからギザギザの歯みたいに成長するのが不思議。


2023.11.30 kafkalithra4
種は熟すと、歯の部分と分解されて散っていきます。妖精の入れ歯みたいで面白いなと思うのですが、見ててちょっとぞわっとする人も多いのではないでしょうか?
ギリシャを旅する機会があれば、ぜひ探してみてくださいね。

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2023.11.30 squid with beans & kafkalithra2

いかとうずら豆とカフカリスラの煮込み

作り方:

うずら豆は前もって戻し、一度茹でこぼしてからやわらかくなるまで茹でておきます。

いかは下処理し、食べやすく切っておく。玉ねぎは短い薄切り、にんにくは入れても入れなくてもいいけど、粗みじんくらいに刻む。トマトは控えめな量をすりおろすか皮をむいて刻む(もしくは生トマトじゃなくトマトペーストでも)。カフカリスラは根っこも使用。きれいに洗って、根元は縦半分に切り、あとはざく切りにしておきます。あればチャービルも適量刻んでおきます。

鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて色づかせないよう弱火で炒め、香りが立ったら玉ねぎも加えやわらかくなるまで炒めます。いかを加え炒め、プリッと仕上げたい場合は(玉ねぎとにんにくをできるだけ鍋に残して)一旦取り出します。

鍋にトマトまたはトマトペーストも加え、オイルとなじませるように炒めたら、豆とカフカリスラとチャービルを加え、豆の茹で汁をひたひたぐらいに加え軽く塩こしょうして煮込みます。

いかを一緒に煮ている場合は、全体がやわらかくなるまで。いかを取り分けてる場合は豆とハーブがくたっとやわらかくなるまで煮たら、いかを戻して軽く煮て味をなじませます。塩こしょうでもう一度味をととのえてできあがり。
お好みで、赤唐辛子フレークをちょっと入れるか仕上げにふりかけてピリッとさせてもおいしいです。

※うずら豆の代わりにひよこ豆か白いんげん豆などでもいいです。カフカリスラはギリシャ以外だと入手がちょっと難しそうなので(イタリア辺りでも料理に使うことはあるようですが)、味は変わりますがフェンネルでも。その場合は丸ごとのオリーブを何個か入れて煮るのも好きです。

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【追記】
カフカリスラのイタリアでの名前は他にも複数あるのかもしれませんが、“プーリアの傘”(ombrellino pugliese)と呼ばれるそうです。ローマ風の生野草ミックスサラダについての記事を見つけました。野に生えるさまざまな野草やハーブを集めてオリーブオイルと塩とワインビネガーで食べるサラダはギリシャにも同じものがあり(茹でて食べるホルタとはまた別物)、とても興味深いです。


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明日は七草粥を食べる人日の節句ですね。

2023.01.06 prasorizo
だからというわけではないのだけど、ディルを入れたポロねぎごはん(プラソリゾ)を作りました。

邪気を払うとされ、無病息災を願って日本で食べられる七草粥。お正月料理に疲れた頃でもあるので、シンプルな味わいにホッとしますよね。
子供の頃に近所で七草を集めてみたことがありますが、田舎でも全部見つけるのは結構大変だったのを思い出します。

その後はスーパーで売ってる七草を使ったり、ギリシャに住んでからは現地の豊富な野草やハーブでギリシャ風の七草風ごはんを作ったりも。
最近ではそこまでしないけど、やはり今ぐらいの時期にシンプルな野菜のごはんが食べたくなるので、理にかなっているな〜と感じます。

今回はポロねぎを使ったプラソリゾですが、よく知られるスパナコリゾ(ほうれんそうごはん)だと、もうちょっと七草寄りですね。


Horta
<アテネの市場で売られている野草ミックス。パイや煮込みなどに使われる>


スパナコリゾのアレンジで、市場で売ってる野草ミックスを使ってホルトリゾ(野草ごはん)を作ってみたりもするんですが、ギリシャ風七草粥といった感じでおいしいものです。


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連続でチキンの料理ですが、こちらは先月作ってたもの。シミ島の思い出レシピです。

2022.11.22 chicken with prunes & herbs
毎年夏のシミ島バカンスの時に、土地の様子を見に行ったついでに少しだけセージを摘んでくるという話を先日書きました。




車の中に置いておくとすぐカラカラのドライハーブになるのですが、その香りが呼び起こす記憶のひとつが、村の広場の前にかつてあったレストランのひと皿です。




シミ島の郷土料理というわけではなくて、そのお店の女性シェフのオリジナルだったという料理。
ある年に彼女が亡くなり、そして何年か後にはレストランも閉店してしまったのでもう一度その味を確かめるというのは永遠に叶わなくなったのだけど、シミ島のセージの香りを嗅ぐといつも食べたくなるのがこの料理なのです。


奥のもう一品は、パーボイルドライスと黒目豆のピラフのようなもの。パンじゃなくて、何か米料理と一緒に食べたい気分だったので。
サラッとした食感に仕上がるパーボイルドライスを使ったピラフは、黒目豆を茹でたら結構な確率で作りたくなる我が家の定番。その時によって唐辛子でちょっとピリッとさせたり気分で変えてますが、ハーブは葉セロリを入れるのが好きです。


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