ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:レシピ

ギリシャでクリスマスに食べるパン、フリストプソモ(キリストのパン)。
夫の家族は食べる習慣がなかったそうですが、私は結構好きなので、気が向いた年には自作しています。

2022.12.25 christmas bread
国民のほとんどが正教徒であるギリシャでは、復活祭やクリスマスは一大イベント。特にこの2つの行事は盛大にお祝いするので、ごちそうの準備もやることがいっぱいあり忙しいです。

お菓子やパンの類は、市販品でも自家製でも大量に用意するのが一般的です。
クリスマスシーズンになるとベーカリーやお菓子屋さんのウィンドウにはクラビエデスやメロマカロナ(どちらもクリスマスクッキー)、ディプレス(揚げ菓子)が山積みになっているし、どこかのおうちでクリスマスクッキーを焼いてる香りが漂ってくることも。

フリストプソモもギリシャのクリスマスのテーブルによく登場するもので、クリスマスイブまたはクリスマスの数日前に焼いて、クリスマスに食べるパンです。これは甘い菓子パンのようだったり普通の食事パンに近かったりいろいろですが、キリストのパンということで十字のモチーフを使っているのと、殻つきのくるみを埋め込んであるのが特徴。殻つきのくるみは生命を象徴します。それに加え生地やナッツなどで美しいデコレーションを施したり、家族に関係するモチーフ(たとえば農業なら、作物や農具の形など)を生地で作って飾る習慣のある地方も。
パン生地自体は先に述べたように、甘いもの甘くないものいろいろですが、上質な材料を使うことやスパイスで風味付けするのが特徴です。

私はその時の気分でいろんなタイプを作ってきましたが、好みが定まってきたので今年はレシピを書いてみました。スパイスの香るふんわりとしたパンは、少しだけ加えた蜂蜜でほんのり自然な甘さ。クリスマスの料理やおつまみ、ワインとよく合いますよ。

2022.12.25d
伝統に従うなら、フリストプソモにはナイフを入れず手で割って分けます。


クリスマスブレッド(フリストプソモ)

ギリシャでクリスマスに食べられるパン。クリスマス以外にこの形で出すのはおかしいと思いますが、十字や殻つきくるみの飾りなしで普通のスパイスブレッドとして食べても。

材料:(直径約20cmのパン1個分)
スポンジ:
強力粉...50g
インスタントドライイースト...小さじ1/8
水...50ml

生地:
水...100ml
ベイリーフ...1枚
シナモンスティック...1/2本
マスティハ(小粒、あれば好みで)...小さじ1/4
マフレピ(ホール、あれば好みで)...小さじ1/4
塩...小さじ1/2
強力粉...200g
アニシード(ホール)...小さじ1/2
インスタントドライイースト...小さじ1/2
蜂蜜、オリーブオイル...各大さじ1
くるみ...40g(軽くトーストする)

飾り:
殻つきのくるみ...1個〜複数個
ホールクローブ...好みで4粒〜適量
蜂蜜...小さじ1弱
ごま...好みで適量

スポンジを作る。材料をボウルに入れて混ぜ、乾かないよう覆いをして寒くないところに一晩置く。

生地を作る準備をする。水100mlとベイリーフ、シナモンスティックを小鍋に入れて弱めの火にかけて、沸騰したら約1分静かに煮て火から下ろし人肌に冷ましておく。マスティハとマフレピは分量の塩と一緒に粉状にすりつぶしておく。

スポンジの入ったボウルに強力粉を加える(まだスポンジとは混ぜない)。粉部分にマスティハとマフレピの粉、アニシードをさっと混ぜて真ん中をくぼませ、ベイリーフとシナモンを煮出した水を70ml加える。水の上にイーストを散らすように加える。

イーストが溶けるようスプーンかヘラで混ぜてから、蜂蜜とオリーブオイルも加え全体をざっくり混ぜあわせる。水分が全体に行き渡るようスプーンで混ぜたら、なめらかな生地になるまで手でこねる。この時、水分が少ないようなら残りの水を適宜加え調節する。覆いをして倍になるまで暖かい場所で発酵させる。

生地を飾り用に100g弱取り分け、残りは台にのせて手でガス抜きしながら平たくのばす。くるみを散らし、外側から真ん中に向けて巻き込むようにしてまとめていく。生地の端はしっかりつまんで閉じる。手のひらで押さえて直径18cmくらいの丸型になるよう形をととのえる。

2022.12.25 christmas bread1
取り分けておいた生地を2つに分割し、パンの直径より少し長いひも状にのばし平たくする。それぞれ両端に少し切り目を入れて十字の形になるようパンの上にのせ、切り目の部分は外にカールさせる。
真ん中に殻つきのくるみを埋め込み、好みでホールクローブなどを使ってデコレーションする。覆いをして、1.5倍くらいにふんわりふくらむまで発酵させる。

2022.12.25 christmas bread2
オーブンは200℃に予熱する。仕上げ用の蜂蜜を小皿に入れ、倍量の水を加え電子レンジで10〜20秒温めて溶かす。これを生地の表面に刷毛で塗り、ごまを散らす。

予熱したオーブンに入れ、きつね色になってしっかり火が通るまで約20分焼く。

MEMO:十字の飾りは端をカールさせてないタイプ(端をパンの底部分に留める)、三つ編み2本で十字を作るなど、好きなやり方でいいです。このレシピではシンプルなデコレーションにしてますが、くるみやクローブを増やしたりホールアーモンドなどを好きな形に飾っても。
レシピには入れてませんが、ごまと一緒に散らしている黒い粒々はニゲラシードです。


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日本はもう年越しモードかと思いますが、ギリシャはクリスマス当日と翌日が祝日。うちはイベントに関してはかなりあっさりしてるので、25日にちょっとだけクリスマスっぽいものを作りました。

2022.12.25a

【今年のメニュー】
・栗&ソーセージミート入りターキーロールとマルメロのロースト
ギリシャ風ロールキャベツ肉なしヴァージョン
・グレープフルーツとアボカド入りグリーンサラダ
・ギリシャのクリスマスブレッド
クラビエデスとメロマカロナ


ちなみに我が家ではここ2年くらい?週末は土曜が肉で日曜がピッツァと決まってるのですが、今年はクリスマスと年越しが週末なので基本は普段のメニューでいいかな……ということに。クリスマスは比較的何でも食べる長女が喜びそうなメニューにしてみました。

ギリシャでは、このようなお祝い事のときには、とにかく肉料理が大量に出てくることが多いです。
肉料理のオンパレードになる復活祭と比べたら若干おとなしめな気もしますが、お肉のローストなどがどーんと出されます。肉の種類は家庭によって好みが結構違うようで、現代ではターキーのローストも定番。
ロースト以外の肉料理では、地方の伝統料理だったり豚肉の煮込みなども。昔はクリスマス前に豚一頭を捌いていろんな保存食を作ったりするのが一般的だったので、豚肉をクリスマス料理として食べることも多いのです。

我が家に限って言えば、家族全員が食べられる肉が豚肉としっかり火の通った牛肉だけなので、クリスマスの料理は豚肉とセロリの煮込みをよく作ります。特にアヴゴレモノ(卵レモン)ソースで仕上げた白いタイプはクリスマスにぴったり……なんですが、これも夫と次女は食べないから半分はアヴゴレモノなしにする必要が。今年はクリスマスイブが豚肉料理だったので、クリスマス当日は上記メニューといつもの巨大ピッツァにしました。

2022.12.25c
それで、たまにはターキーの料理でも作ってみるかという気になったのだけど、長女と私しか食べないので控えめな量で。もも肉を1本買ってきて骨から外し、クリスマスっぽいターキーロールを作りました。

どういう風にするか考えながら適当に作ったからレシピは作成してないのだけど、自分用覚え書きも兼ねて大まかな作り方を記しておきます。

2022.12.25b


栗&ソーセージミート入りターキーロールとマルメロのロースト

1.ターキーはもも肉を使いましたが、胸肉でもいいです。骨からはずして、巻きやすいよう開いておきます。今回は2週間ほど前に肉の下ごしらえをしたので、塩、こしょう、にんにくすりおろし、オリーブオイルで下味をつけて冷凍してありました。

2.フィリングに使うソーセージミートを前日くらいに作っておきます。豚ひき肉(今回は包丁で叩いた肉を使用)に、塩、こしょう、にんにくすりおろし、粗くすりつぶしたフェンネルシード、セイボリーを加え粘りが出るまで混ぜます。ソーセージは栗やマルメロに合いそうな感じのものなら何でもOKで、刻んだオレンジの皮やポロねぎを加えても。

3.栗は茹でて皮をむいておきます。マルメロはくし切りにし(皮はそのままでいい)、レモン汁を少し加えた水に浸けておきます。オーブンは200℃に予熱します。

4.ターキーは皮目を下にして広げ、ソーセージミートを薄めにのばします。薄く削ったグラヴィエラチーズを散らし(隠し味的なもので、なくてもいい)栗(大きければ半分くらいに割る)を全体にのせて端からしっかり巻いていきます。皮がたるんでいるところがあればととのえて、たこ糸で縛ります。

5.ローストパンに入れ、オリーブオイルをひとたらしして(好みでバターでも)オーブンに入れます。脂が出てくるまで焼いたら、水気を切ったマルメロを加え脂を絡め、ワインを少し加えさらに焼きます。

6.何度か脂をかけながら焼き、ターキーロールの中まで火が通り皮がこんがりしたらできあがり。

7.お好みでソースを作ります。ターキーロールとマルメロは取り出し、冷めないように置いておきます(スイッチを切ったオーブンに入れておくといいです)。ローストパンに残った脂が多すぎたら少し捨て、小麦粉を加え軽く炒めます。ワインかブイヨンまたは水を加えのばし、鍋に漉し入れてとろみがつくまで煮て味をととのえます(バルサミコを少し入れると味が引き締まる)。

8.ターキーロールを食べやすくスライスしてマルメロと一緒に盛りつけ、ソースを添えてできあがり。

※もちろんチキンで作ってもいいです。日本では皮付き骨なしの鶏肉が普通に売ってるから気軽に作れそう。小さめサイズの丸ごと一人分で出してもいいし、そのサイズならオーブン焼きじゃなくフライパンで作っても。


2022.12.25e
盛りつけ例。サラダは先にバタバタと撮影したから完成形ではないです。
フリルレタスとルッコラに、スライスしたアボカド、少しほぐし気味にしたグレープフルーツをのせ、砕いたフェタチーズを散らします。食べる直前にハニーマスタードヴィネグレットを加え和えます。

ロールキャベツはラハノドルマデスやサルマデスと呼ばれ、冬の定番ギリシャ料理。おくるみに包まれたキリストを連想させるとかで、クリスマス料理としても出されることが多いです。米とひき肉のフィリング入りでアヴゴレモノソースで仕上げたものがポピュラーですが、今回は肉なしのプレーンなタイプにしました。アヴゴレモノソースのロールキャベツはレシピ本に掲載していますが、他のバリエーションもブログにいろいろ載せてるので興味のある方は検索してみてください。

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2022.12.25d
長くなってしまったので、今日はここまで。
クリスマスブレッドはレシピを書いたので次回掲載しますね。
今年のクリスマスは過ぎちゃいましたが、いつ食べてもおいしいパンなのでお楽しみに!


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昨日の節約料理。ちょっと季節はずれですが、なすはまだ結構安いので助かります。

2022.11.08 melitzanes skordostoumbi with pasta1
なすをトマトと合わせた料理は地中海料理の定番ですね。ギリシャでもポピュラーでいろんなバリエーションがありますが、たまにすごく食べたくなるのがザキントス島の郷土料理「メリジャネス・スコルドストゥビ」。メリジャネスはギリシャ語でなすのことで、スコルドストゥビは生のにんにくをワインビネガーとあわせたもの。パツァスというモツスープに加える薬味としてよく知られますが、トマトソースとの相性も抜群で、にんにくとビネガーの香りがとても食欲をそそります。

なすのスコルドストゥビは以前も何度か簡単な説明を載せてる気がしますが、なすを揚げ焼きにして、スコルドストゥビ、トマトソースとあわせてそのままフライパンで煮るかオーブンで焼くだけ。じゃがいもも入れたり、チーズを加えるヴァージョンなどがあります。
うちは家族がチーズ好きなので、適当にスライスしたラドティリかグラヴィエラチーズをちょっとのせてオーブンで焼く場合が多いです。羊乳のセミハード〜ハードチーズ、もしくはマイルドなフェタチーズでも。

昨日はおやつにロールケーキを作ったので、ついでになすを焼くのもオーブンでやりました。最近の物価上昇で光熱費も上がってるので、一応節約のつもり。
うちは毎週日曜はピッツァの日だし、オーブンはそれほど気にせず使ってるのですが、薄いシートケーキを焼くのにオーブンをつけるのはもったいなくて、ついでに晩ごはんの準備を……と考えてなすが目に留まったのでした。


2022.11.08 melitzanes skordostoumbi1
「ギリシャのごはん」レシピ本CLASS101のギリシャ料理講座で紹介しているムサカのレシピもオーブンをフル活用してますが、フライパンでやるよりもオーブンの方が一度にできて面倒が少ないのです。オイルも大量に使わず済むので(控えすぎてもおいしくないから、ソースにはたっぷり目に入れますが)重すぎない仕上がりになります。


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なすを焼いたら一気に仕上げられるよう、トマトソースは先に作っておきます。

2022.11.08 melitzanes skordostoumbi3
なす、チーズ(入れる場合)と適当に重ねて焼くだけ。

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フライパンで作る場合、なすを焼いてトマトソースとお好みでチーズをのせ、ふたをして煮ます。


2022.11.08 melitzanes skordostoumbi with pasta2
ザキントス島ではこういう形では出てこないかと思いますが、長女と私の分はパスタ添えにしました。卵を入れないシンプルな生地のパスタです。以前レシピをご紹介したミロス島のスコルドラザナと似た味。
写真はないけど夫と次女には揚げ焼きのポテトを添えました。丸ごとレンジで加熱したじゃがいもを手のひらで軽く押し潰し(皮はむいてもそのままでも)、カリッとするまで両面焼いてできあがりです。


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10月半ばに作っていた料理。

2022.10.10 kolokytha me xinochondro
秋になると、かぼちゃを食べたくなりますね。
日本のようにホクホクなかぼちゃではなく水っぽいものが一般的なんですが、スーパーでもよく見かけるバターナッツかぼちゃは比較的水分も少なく使いやすいのでよく買います。

かなり前に載せたギリシャ風の「かぼちゃごはん」と似た系統で、自家製のクシノホンドロスとかぼちゃの煮込みにしてみました。

クシノホンドロスが手元にある方はあまりいないと思いますが、一応作り方を。

かぼちゃは普通に煮物を作るぐらいに大きく切っておきます。
玉ねぎをほとんど色づかせないようオリーブオイルでじっくり炒め、トマトを少し。必要なら、酸味の角を取るのにお好みで砂糖ひとつまみを加えます。

かぼちゃ、塩、水を加えふたをして煮、やわらかくなり始めたらクシノホンドロスを加えさらに煮込みます。クシノホンドロスもかぼちゃもやわらかくなったらできあがり。塩と好みで胡椒も加え味をととのえます。

【関連記事】

クシノホンドロスを手作りしてみたい方は、こちらの記事と記事中のリンクを参考にどうぞ。


かぼちゃごはんのレシピです。


かぼちゃごはんの記事にもパイレシピがありますが、こちらは新ヴァージョンです。

他にもかぼちゃレシピをいくつか載せてますので、レシピインデックスまたはブログ内検索をご利用ください。


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餃子を作った時の生地が中途半端に余ったので、おひとりさま昼ごはんのパスタにしました。

2022.10.26 pasta1
これって「じゃまくさいほどの量」って言いませんか?
小ぶりなみかん大の生地は捨てるか迷うほどの量だと思いますが、残り物には福がある。こういうのからおいしいものが生まれる場合が多いです。


2022.10.26 pasta2
適当にのばして切って、名前のないラフなパスタに。

キムチや野菜を入れて煮込み麺?とも考えたけど、そのまま食べるのにちょっと飽きてきた醤油漬けオリーブでパスタにしましょうか。


2022.10.26 pasta3
醤油漬けオリーブは自家製の新漬けを醤油ベースの調味液に漬けたもの。
オリーブの味わいを生かすため極々ミニマルな味つけにしたかったので、とりあえず刻んでバターと一緒にじゅくじゅくと弱火で炒めてみました。火を通さなくてもいい材料ですが、こうやってちょっと加熱することでバラバラなただの材料に一体感が出るような気がします。

パスタを茹でる段になって、ふと「胡椒すらもなしでやりたいけど、ここに入ってもいいのはバジルだ」と思い立ち、ベランダで細々と生きているバジルの穂先をちょっと摘んできました。
ギリシャで一般的な細かい葉っぱのバジルを、パラパラと数枚。パスタを食べてるとたまにバジルに遭遇するぐらいが丁度よく、あくまでアクセント程度に(上に飾ったのが主張強めですが)。


2022.10.26 pasta1b
狙い通りに仕上がって満足な昼ごはんでした。
炭水化物はそんなに量いらない派なので、これぐらいがいいですね。


2022.10.25
ちなみに餃子はシーズン初の大根餃子でした。
夏はなす餃子、冬は大根餃子が好きでよく作ります。大根の場合はぜひ水餃子で。ぽりぽりとした食感がおいしいです。


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