ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:保存食

今回の記事タイトル、どんな料理かわかる人は少ないかも?

2025.01.15 chicken youvarlakia
Γιουβαρλάκια κοτόπουλου με ξινόχοντρος από καλαμπόκι

去年の夏にとうもろこしを使って「クシノホンドロス」という保存食を作っていたのです。クシノホンドロスとはクレタ島の伝統食品で、本来は粗く挽き割りにした小麦を発酵させた山羊乳や羊乳とあわせて煮て乾燥させたもの。詳しくは関連記事に書いてますが、ギリシャの各地で作られるトラハナスという保存食の一種です。

それのとうもろこし版をスーパーで見かけて面白いなと思って自作してみたのだけど、とうもろこしの味わいを生かした使い方を考えて思いついたもののひとつがユヴァルラキァ(米入りミートボール。卵レモンスープにすることが多い)でした。

ちなみにユヴァルラキァのバリエーションのような料理で、米の代わりにプリグリ(ブルグル、挽き割り小麦)を入れたものがロドス島やポンドスの郷土料理にあります。それも思い出して、クシノホンドロスで作っても美味しそうだなぁ……コーンならやっぱりチキンとあわせるのがいいかなぁ……と連想していって頭の中では完成していたのですが、実際に試してみるタイミングがなかなか巡って来ないままに年を越してしまいました。

今週やっと作ることができたので、覚え書きとして記しておきます。


2025.01.15 chicken youvarlakia1
クシノホンドロスは煮えるまで結構かかるので、ある程度柔らかくなるまで煮ておくか、もしくは水分を加えふやかすかで迷って、今回はふやかす方法で。玉ねぎをグレーターで粗くすりおろし、クシノホンドロスを加えフォークでほぐしつつしばらく置いてみました。結果、(どれぐらいの時間ふやかすかにもよる気はしますが)完成品は微妙に硬い粒がいくつかあったので、やはり煮る方が確実かもしれません。


2025.01.15 chicken youvarlakia2
鶏ひき肉はギリシャではあまり売ってないので、フードプロセッサーで自作。玉ねぎとクシノホンドロスをあわせたもの、ディル(パセリでも)みじん切り、塩こしょう適量を加えくるみ大くらいに丸めます。


2025.01.15 chicken youvarlakia3
鶏を捌いた時の骨があればそれを使ってストックを作り、なければくず野菜だけで作った野菜ブイヨンでも水でもいいので沸かしてユヴァルラキァを加え、ふたをして20〜30分ぐらい静かに煮ます。水で煮てもユヴァルラキァから味が出ますが、少し味見用にとって塩でととのえても物足りないようなら、ガラスープの素など少し加えてもいいです。

仕上げ用のアヴゴレモノは卵とレモン汁を溶き合わせスープに加えるだけですが、一度に食べきらない場合など、温め直しに耐えるようにするにはコーンスターチを加えます。一度に食べてしまうなら、卵白を泡立てる方法でふわふわにするのもいいですね。今回は夜遅くに帰ってくる長女用に置いておきたかったのでコーンスターチ入りにしました。塩で味をととのえて、好みでバターも。


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スタコブティロというクレタ島の山羊&羊バターを入れたらとても風味豊かに仕上がりました。


2025.01.15 chicken youvarlakia4
今週はちょっと寒いので、こういう料理がぴったりです。

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唐辛子の時期なので、いろいろ仕込んでいます。

2024.09.24a
バナナ南蛮のような黄緑色の唐辛子は年中ほぼ安定して売ってるのですが、発酵唐辛子やレモン胡椒を作るのにいい細長くて小さめの赤や緑の唐辛子が市場にいっぱい出回るのは秋の初めごろ。

ついでに見かけたら買いたいのが、ハラペーニョもしくはそれに似た唐辛子です。今年は近所で大量に売っているところがあったので、毎回作るピクルス以外にも楽しめました。
そういえばあれ、食べたいなぁと思い出したのが、ハラペーニョポッパーでした。チーズやベーコンなど詰めて揚げるか焼くかしたものですが、シンプルに(ただ単に材料がなかっただけなのだけど)チーズだけ詰めてみました。


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今回使ったのはケファロニア島の白チーズ。フェタチーズのようなタイプの樽熟成チーズで、その時によって味わいやテクスチャーにばらつきがあるものの、フェタチーズをとてもクリーミーにしたような感じです。


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試しに生のハラペーニョをそのままで齧った激辛好きの夫がギブアップするほどだったので、恐る恐る4個だけ作ってみました。ハラペーニョは他の唐辛子と比べて辛さが一定ではなく、ロシアンルーレット状態でびっくりするくらい辛いのが混ざっていることがよくあるとか。
結局、夫と私で分けたこの4個はそこまで激辛というほどでもなくおいしく食べられました。


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唐辛子の保存食はまずいつもの赤い発酵唐辛子と、青唐辛子&青レモンのレモン胡椒。ハラペーニョはホットソースも作りました。




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ハラペーニョピクルスは大きめの瓶ひとつ分できたけど、自作するとたっぷり食べられるのが嬉しいんですよね。料理に添えたりしばらく楽しめそうです。


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8月はうだるような暑さにすっかりバテつつも、この夏作ってみたいと思っていた保存食をなんとか完成させていました。

2024.08.14 corn xynochondros (2)
Ξινόχοντρος από καλαμπόκι

作ったのは、とうもろこしのクシノホンドロス。
まずクシノホンドロスとは何?というのは以前書いたのを関連記事のリンクから見ていただくことにして……本来は粗く砕いた麦で作られるクレタ島の伝統食品なのですが、ある時にとうもろこしを原料としたグルテンフリーのクシノホンドロスというのを見かけて、こんなものまでグルテンフリーヴァージョンが出るとは時代だな〜と感じるとともに、自作したい気持ちがムクムクと湧いてきたのです。

それでとうもろこしの季節を楽しみに待ってたのだけど、私がよく行くいくつかの市場で売られてたのはなんだかいまいち。甘味に欠けていたのは、この用途には丁度よかったのですが。最近になって実入りのよいとうもろこしをあちこちで見かけるようになったので、猛暑のせいだったのかもしれませんね。


2024.08.14 corn xynochondros 1
めげずにとうもろこしを買い集め、まずは粗びき乾燥とうもろこしを作りました。小麦で作った時と同じような感じだけど、やはりうちのフードプロセッサーやミルでは上手く挽くことができず、粒そのままみたいなのと細かすぎるのが混ざっています。市販品は確か原材料に「とうもろこし粉」という表記があった気がしますが、コーングリッツぐらいの粗さに挽いたとうもろこしで作っているようです。もしコーングリッツが手に入るなら、それでもっと簡単に作れそう。


2024.08.14 corn xynochondros 2
とろりとして酸っぱくなるまで発酵させた山羊乳と塩適量、とうもろこしのホンドロスをあわせて煮ていきます。山羊乳を発酵させるのは、初めて作った時の自然に任せる方法ではなく、山羊乳ヨーグルトをスターターとして使いました。


2024.08.14 corn xynochondros 3
汁気がなくなるまで煮たホンドロスを手で握ってまとめ、乾燥させます。一緒に干されてるのは小麦で作った普通のクシノホンドロスと、夏のはじめに仕込んであった杏の梅干し風(今回はサワーチェリーも少し)。


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この形のまま完全に乾燥させてもいいのだけど、中まで乾くのに時間がかかるのと、料理に加えて煮る時に崩しにくいのもあり2日目は粗くほぐして乾かしました。


2024.08.14 corn xynochondros 5
防虫のため、最後は低温のオーブンで仕上げています。


2024.08.14 corn xynochondros 6
その後バカンスに出かけたりいろいろあって先日やっと一品作ったのがこちら。なんとなく、オクラの煮込みに合いそうだなと最初に思い浮かんだのですが、丁度冷蔵庫にあった使いかけのバターナッツかぼちゃも入れたらちょっと秋っぽい雰囲気の煮込みになりました。

【関連記事】



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前回の記事「おうちでギリシャ居酒屋」の続き。パスパラスというケア島の郷土料理をそのうち作ろうと、ずっと思っていたのですが、去年の今頃ケア島に行ったなぁと思い出していたタイミングで食材も巡ってきました。

2021.08.08 paspalas
Πασπαλάς Κέας

パスパラスと呼ばれる食べ物はギリシャのいろんな地方にあるのですが、そのほとんどは豚肉で作られる保存食。ケア島のパスパラスは、豚を捌いたときに出るくず肉や脂の部分をコンフィのように加工した保存食、そしてその保存食を入れて作るトマト入りスクランブルエッグのことも指します。

こういった保存食は作っておくと便利ではあるものの、今の私の料理スタイルでは「そのまま食べるにはあまり適しないけど捨てるに忍びないもの」をなんとかしたくて肉の脂身など簡単に塩漬けにしたりしているので、本来の目的である「食材を余すところなく活用する」というのを小規模にやっている感じでしょうか。


2021.08.08 paspalas1
今回ほんの少しだけ作ったパスパラスは、私の家族が食べないポークチョップの周りの脂の多い部分を使ったもの。適当に小さく切って、塩こしょうをまぶして1〜2日ほど置き(※)、鍋かフライパンに入れて軽く炒め、ひたひた〜少しかぶるくらいの水とベイリーフ、オールスパイスを数粒。肉が柔らかくなって、水分が蒸発し肉から出た脂で煮てる状態になったら、少し色づくまで炒めて完成。最後の方でセイボリーまたはタイムを加えます。


2021.08.08 paspalas2
保存食としては肉が空気に触れないように脂で覆われている必要があるけれど、数日内に使うなら特に気にしなくて大丈夫。

※肉に下味をつけずに鍋に入れ、水と調味料を加え煮る方法もあります。

料理の方のパスパラスは、パスパラス(保存食)とトマトを炒め、トマトの水分が飛んだら溶き卵(塩こしょうと、私はワインビネガーも数滴加えます)を加えスクランブル状に炒めてできあがり。好みでハードチーズのすりおろしを少し散らしてもいいです。

分量は適当ですが、茶碗に軽く1杯ぐらいのパスパラスに、小振りなトマト1個、卵2個ぐらいの割合です。

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最後に、ケア島の写真をいくつか。

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ケア島行きのフェリーが出るのがアテネからちょっと遠い港なんですが、1時間ほど(だったかな?)で着くので日帰りでも行ける島のひとつです。

2023.08.12 kea2
人もあまり多くないので、素朴な島でのんびりしたい方におすすめです。

2023.08.12 kea2
波が穏やかな海も。

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島のシンボル?ライオン像も見に行きました。結構近くまで車で行けるんですが、集落から徒歩で行くのは夏場はちょっときついかも。

2023.08.12 kea5
こちらは、ケア島のレストランのパスパラス。この時他に頼んだのはルゥザという豚加工品や、青菜パイ、地元のチーズなど。ルゥザはキクラデス諸島で作られる生ハムのような保存食で、島によって材料や作り方が少しずつ違うのですが、ケア島のそれはオールスパイスがほんのり香る味わいでした。
ごく薄く切った方が美味しいと思うのだけど、以前いただいたシロス島のもこれぐらいだったので、ギリシャでは厚切り寄りがスタンダードみたいです。

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デザートにサボテンの実のジェラートを買って食べつつ、沈みつつある太陽をビーチで眺めてから岐路につきました。


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南欧の国々で全体的にオリーブが不作だとかいう話はちらほら聞いていて、ここギリシャでもオリーブオイルの値上がりが著しい昨今。

2023.10.25
今年の夏から秋にかけては猛暑に山火事に水害と、農産物への影響が大きそうだな……と心配していたのですが、やはりオリーブも不作なのか、自分で漬ける用のフレッシュオリーブの時期になっても市場でほとんど見かけません。


2023.10.18 olives1
毎年楽しみにしている丸くて小さなグリーンオリーブにはとうとう出会えず、近所の青空市場で見つけて2kg買ってきたのはティアドロップ型のグリーンオリーブでした。この形の大きい粒のはあまり好きではないので避けてるのだけど、小さめだからカラモン種かな?品種の見分けには詳しくないのでよくわかりませんが。

グリーンオリーブは主に新漬けにしてるのですが、ところどころ紫に熟してきているのは水酸化ナトリウムの処理とは相性が悪いので、より分けてペットボトル漬けをひと瓶だけ仕込みました。これはまあそれなりにおいしく漬かりそう。

2023.10.19 olives
そして、新漬けとして仕込んだ方は、味見してみるとやはりいつものほどおいしくない。渋の抜け方にもムラがあっていまいちだったので、そのまま食べるのはやめて全部変り種にアレンジしてしまいましょう。

和風味のお漬物にする分は面倒だから種の入ったままにすることにして(なんせ2kg弱もあるので)、あとはせっせと種抜きしつつ使い道を考えました。

佃煮にでもしようかなと考えて、ふと気が変わってできあがったのが「オリーブ入りの油みそ」。ちょっと久しぶりに自家製味噌を作った話を前の記事で書きましたが、冷凍保存していた古い味噌を使い切ることもできて一石二鳥だなと思いついたのでした。


2023.10.26 onigiri2

早速おにぎりにして味見。

2023.10.26 onigiri

背後に写ってるのは今回仕込んだペットボトル漬け(一部紫がかったグリーンオリーブ)と去年のペットボトル漬けカラマタオリーブ(紫色に熟したオリーブ)です。


オリーブの油みそなので、油もオリーブオイルを使っています。作り方は、粗刻みのオリーブをオリーブオイルで軽く炒め、味噌も加えて炒め、ラキ(ぶどうの蒸留酒)を少々と砂糖または蜂蜜で味をととのえます。少し前に仕込んだ三升漬もあったので、今回はそれを少し加えてピリ辛に仕上げてみました。
……と、たったこれだけの作り方なのですが(計量せず適当に作ったので、分量は味見して調整してください)、普通に漬けたオリーブで作ると塩辛くなってしまうので注意。その場合、オリーブは種抜きしてほぼ塩気がなくなるくらいまで水に浸けて塩抜きしてから使います。

沖縄の油みそは豚肉入りでよく作られますが、このギリシャ風アレンジ版も豚肉入りで作っても。もちろんオリーブだけでも大満足なおいしさです。


【関連記事】

ペットボトル漬けの作り方はこちらの記事に書いています。


自家製オリーブの記録と、それを使った料理はこちらのタグからどうぞ。アジア風のアレンジ多めです。


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