ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:行事食

今日3月25日はギリシャの独立記念日。そしてキリスト教行事の生神女福音祭(受胎告知の日)でもあります。

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復活祭まで40日以上も続く長い断食期間の最中で、きちんと節食ルールを守る人は動物性の食品を口にしないのですが、生神女福音祭は魚食が許されるため魚料理を食べるのが伝統です。

中でも干し鱈の料理、特にスコルダリァというガーリックディップを添えたフライが定番。なぜエーゲ海がありながら輸入品である干し鱈がよく食べられるのかという理由は以前書いたので、関連記事をご覧ください。

干し鱈の料理はどちらかというと煮込みやオーブン焼きなどが私は好きなんですが、フライもたまに食べるといいものだな……と思うので、年に一度、3月25日はベーシックな「バカリァロス・スコルダリァ」に落ち着きつつあります(と言いつつここ数年のを見返したら、一昨年は干し鱈のスパゲッティだったけど)。
というわけで、鱈フライもスコルダリァも去年と作り方は同じ。

サイドディッシュにぜひ欲しいのは、シンプルなビーツのサラダ。実は普段はめんどくささが勝ってパックの調理済みビーツも愛用してるのだけど、葉っぱも食べたいときは青空市場で新鮮な葉つきビーツを買ってきます。


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揚げたて熱々の干し鱈フライに、スコルダリァをたっぷりつけて。ビーツや青唐辛子ピクルスと交互に食べると、食材同士の相性のよさに、思わずうなずきたくなるおいしさです。

【関連記事】

去年の3月25日メニュー。


ほぼ同じような感じですが、こちらは2021年の。


新刊「おうちでギリシャ居酒屋」でも、たらフライのスコルダリァ添えのレシピをご紹介しています。こちらは日本でも作りやすいよう甘塩たらを使っていますが、もちろん干し鱈を塩抜きして使っても。


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昨日はカサリ・デフテラといって、復活祭までの長い断食期間(大斎)のはじまりの日でした。

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宗教的にも重要なこの日は祝日で、家族で集まって断食メニューの食卓を囲んだり、ピクニックや凧揚げに出かけたりします。
子供たちが小さかった頃は私たちも凧揚げに行ったりしたのですが(一度もうまく揚がらなかったけど)、最近は行事食だけ楽しんでいます。

ギリシャの断食メニューは植物性のものに加え、タコ、イカ、エビ、貝に魚卵といったシーフードは食べてもいいことになっています。
なので祝日である初日はちょっと高価なシーフードを使ったごちそうをいっぱい食べたりするのが一般的。うちは家族がシーフードを食べず普段はあまりそういう料理を作らないから、ここぞとばかりに私が好きなシーフード料理を楽しむ日でした。
ここ数年は、それほど張り切らなくてもいいかな......という気分になったのと、断食の本来の目的が忘れられてるよね(そもそも私はキリスト教徒じゃないけど)という考えから、比較的質素なメニューにしています。

カサリ・デフテラの行事食として挙げられるのは、ラガナという平たいパン、たらこのような魚卵ペーストのタラマ、あとは豆スープやオリーブにピクルス類。そして、ごまペーストのサクサク食感ヌガーみたいなハルヴァなど。
今年のメニューも大体このあたりを軸に、豆料理は白花豆のレモンマスタード風味煮込みにするなど、今食べたい気分のものを選んでみました。

・自家製ラガナ
・ノンオイル・タラモサラタ
・白花豆のレモンマスタード風味煮込み
・ムール貝の炒めマリネ
・ハネムスカリ球根のロースト
・ルッコラ、クレタ島の小粒ブラックオリーブ塩漬け
・市販のごまハルヴァ



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パン好きな夫はラガナを楽しみにしてるので、今回も大きな天板いっぱいにどーんと。これはいつも適当に作ってるからレシピはないですが、ただの平たいパンです。

ギリシャの断食期間に食べる料理については以前noteに記事を書いたので、興味のある方はご覧ください。
レシピも関連記事にまとめてあるので、こちらもあわせてどうぞ。


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ムール貝のレシピは3月12日発売の新刊「おうちでギリシャ居酒屋」に掲載しているものです。アテネの居酒屋で食べたものをヒントに結構前から作ってたのでブログにちょこちょこ登場してたはずですが、出版にあたりレシピ化してみました。
冷凍のムール貝むき身で作れる、お手軽な一品です。日本だと牡蠣の方がよく売ってそうなので、牡蠣のむき身で作ってもいいかもしれませんね。


※スモークサーモン入りタラモサラタ、キクラデス風焼きなすサラダ、フェタムースなど、ディップ類もいろいろ掲載しています。


【関連記事】







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8月27日は聖ファヌリオスの祝日だったので、聖人にちなんだファヌロピタというケーキをその前日に焼きました。

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聖人の日はあまり覚えていることがないのですが、丁度去年の今頃に一時帰国し、その時に市販のファヌロピタを買って持って行ったなぁと思い出していたのです。

ほとんどのレシピがそうであるように、ファヌロピタも作り手や地方によってさまざま。でもいくつかの決まりがあって、そのうちのひとつは動物性の材料を使わないニスティシマ(節制のルールに従った)のケーキであること。また、材料の数は7、9、11のいずれかと決まっているそうです。



……と、そんな話とレシピを10年ちょっと前に出した「ギリシャごはんに誘われてアテネへ」という本のお菓子の章に書いたのも懐かしい。もう絶版になっている本ですが、そのレシピで作ったというご報告をいただいたり、未だにちらほらとご購入くださる方もいるようでありがたいです。

私はクリスチャンでもないし教会へは行かないのでただファヌロピタを作っただけですが、聖ファヌリオスの日に教会へ持って行き、祝福を受けたそれを切り分けて振る舞うのが習わしです。また、聖ファヌリオスは失せ物を見つけてくれる聖人なので、何か大事なものを無くしたときにも、ファヌロピタを教会へ持って行き願掛をします。

ファヌロピタは風味付けにシナモンやクローブが使われ、オレンジなども入れるレシピが多いです。そのためギリシャのお菓子によくある風味に仕上がります。

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濃いギリシャコーヒーとの相性が抜群なので朝食やおやつにもいいですが、チーズやワインと一緒に楽しんでも。ずっと前に買ったヴァトペディ修道院伝統レシピの甘口ワインがあるのを思い出し、あわせてみました。

ちなみにヴァトペディ修道院は聖山アトス(アトス自治修道士共和国)の中でも最も規模の大きい修道院のひとつです。女人禁制で俗世とは切り離された祈りの生活をする聖地という認識ですが、かなり現代的になっている部分もあって、ヴァトペディのような大きな修道院にそれが顕著です。



アトスのことを紹介した書籍では村上春樹の「雨天炎天」が一番有名でしょうか。
そこに描かれているのは何十年も前のアトスなのでそれなりの変化も当然と言えば当然なのだけど、ヴァトペディ修道院の今風なウェブサイト(オンラインショップは洗練されたパッケージデザインの食品やコスメが多数あり、SNS展開も!)を眺めていると、時代は変わったものだなぁとつくづく感じます。


※書籍のリンクはAmazonアソシエイトです

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明日はラザロの土曜日(ラザリのスボタ)。日曜は聖枝祭でいよいよ復活祭まであと一週間となります。

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行事にちなんだ食べ物としては、拙著「ギリシャごはんに誘われてアテネへ」、「ギリシャのごはん増補新装版」(旧版には掲載していません)で紹介したラザラキァというパンを作る地方がいくつかあります。夫の母方の家族に縁のあるシミ島含めドデカニサ諸島ではよく見られるものですが、全国的にはあまり知られていなかった風習。近年はギリシャのレシピサイトやニュースサイトなどで紹介されていたりして知名度が上がっているようです。

本当は金曜に焼けたらよかったのだけど、いつも金土は慌しいのでなかなか時間が取れず……今年は前倒しで週の半ばに作ってしまいました。

布でぐるぐる巻きにされたラザロの姿を模した形をしていればいいので、生地の配合などはこれと決まっているものはなく、スパイスがほんのり香るタイプが多いよう。リーンな生地にする人もいますが、子供受けする形なので、うちでは味も子供が喜ぶよう甘い菓子パンのように作っています。復活祭までは動物性食品を摂らない期間なので、卵やバター、ミルクなどは入れないこと。


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今回はココナッツのフィリング(※)入りで。本に載せてるのはくるみや干しぶどうを使ったものですが、どちらもおいしいです。

※フィリングは必ずしも入れるというわけではなく、なしで作る人の方が多いです。味的にはあった方が好きなので、我が家のラザラキァはフィリング入りのレシピを考え作成しました。

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ラザロのパンのレシピはこちらに掲載しています(リンクはAmazon)。ポピュラーな定番ギリシャ料理から珍しい郷土料理まで幅広く紹介していますので、ぜひご活用ください。

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昨日はカサリ・デフテラといって、復活祭に向けての長い断食期間であるメガリ・テサラコスティ(サラコスティ)のはじまりの日でした。

2024.03.18
ギリシャでは祝日なので、みんなで集まって食事をしたり、凧揚げやピクニックに出かけたり楽しく過ごします。ギリシャ正教の断食メニューは動物性のものや血の出る魚は食べないけれど、その他のシーフードは食べて大丈夫なので、特に初日かつ祝日であるこの日は奮発してテーブルがご馳走で埋め尽くされるというのも珍しくありません。

うちは私以外みんなシーフードが苦手なので、毎年自分が食べたいものでやらせてもらってます。去年は油抜き断食メニューで節制を心がけたテーマにしたけど、今回は久々にタコを食べたくなって先週のうちに買ってあったのでした。手元にあった食材たちとあわせて形になったメニューはこちら。

・タコとハネムスカリ球根の土鍋焼き
・乾燥そら豆のミント風味煮込み
・ハネムスカリ球根のホイル焼き
・タラモサラタ
・ルピーニ、オリーブ、トマト、ルッコラ
・きゅうりのビネガーがけとケイパー
・ラガナ(本来は発酵させてない平焼きパン)
・りんごとヘーゼルナッツ入りセモリナ粉のハルヴァ

ギリシャにキリスト教が入ってくるずっと前から食べられていた食材がほとんどとなっています。たとえば先日も載せたハネムスカリ球根やルピーニ。これらは地方によっては断食期間によく食べられるものだったりもします。

シーフードはイカかタコかちょっと迷って、甲イカの墨煮かそれを使った真っ黒なピラフにかなり心が傾いていたのだけど、昔作ったタコとハネムスカリ球根の煮込みをトマトに頼らずもう一度作りたくなったのです。結局そこからまた少し違うことを思いつき、土鍋焼きになりましたが。長くなるので球根を使った2品についての詳細はまた後日。


2024.03.18 broad bean stew
乾燥そら豆は、先日の料理に使った残り。同じくクレタ島の料理で、ミントを加えた煮込みを昔作った記憶が蘇ってきました。元の料理をどこで見たのか思い出せないのでうろ覚えですが、玉ねぎやトマトを炒めたところに一度茹でこぼしたそら豆を加え煮、最後の方で刻んだミントを加えます。

ラガナという平たくて大きなパンと並んで、カサリ・デフテラには欠かせないタラモサラタ。去年考えたノンオイルのもよかったなぁと思いつつ、ベーシックにパンをつなぎにしたタイプのを作りました。

オリーブ、トマト、ルッコラと一緒のお皿に盛り付けた黄色い豆はルピナスの種子であるルピーニ(ルピナ)。ルピーニは現代のギリシャではそれほど食べられるものではなく、アテネでは品揃えのいい乾物屋さんなどで売っています。ペロポニソス半島のラコニアやクレタ島では断食期間によく食べるそう。特に厳しく節制をする日には乾パンやナッツ、ほとんど手を加えない野菜といったものだけ口にするのですが、ルピーニもそんな質素な食べもののひとつです。

お菓子はセモリナ粉のハルヴァにしました。ハルヴァと呼ばれるお菓子はいろんな種類があり、いずれも断食期間中によく食べられるもの。カサリ・デフテラにはごまペースト(タヒニ)で作ったサクサク・ほろほろ食感で口どけのいいヌガーの仲間のようなタイプが特にポピュラーな気がしますが、最近ごまやタヒニを食べ過ぎだったので。ごまペーストのハルヴァとは全然違う感じのお菓子ですが、セモリナ粉の粒感とほろっとした食感で日本のお菓子にも似たものがあったような、なんとなく懐かしい味わいです。


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