ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:郷土料理

4月の下旬ぐらいから出始め、5月が最盛期となるぶどうの若葉。
まだ売ってますが、そろそろ旬も終わりなので、今シーズン作ったドルマデスのまとめを載せておきます。

2026.04.30 dolmadakia yialantzi
まず最初に作りたいのは、ハーブライス詰めのドルマダキァ・ヤランジです。
薫り高い数種類のハーブに、玉ねぎやねぎの甘味、オリーブオイルのふくよかさ、レモンのさわやかな酸味が、ぶどうの若葉のフルーティーかつハーバルな風味とあわさって絶妙な味わいを生み出します。
ハーブライスだけのと、松の実&カランツ入り、どちらも捨てがたいので半々ずつ作りました。


2026.05.07 dolmadakia with salt cod
2回目は、干し鱈入り。干し鱈を入れたドルマデスは、いくつかの地方で見られる郷土料理です。初めて作った時は、それほど好きではないなぁという感想だったのだけど、懲りずに何度か作っているうちに自分なりの最適解が見えてきた感じ。


2026.05.07 dolmadakia with salt cod1
ハーブやスパイスはその時にあるものや気分で少し変えたりしますが、カランツ入りのがうちの定番となっています。


2026.05.12 dolmadakia
3回目は肉入りとレンズ豆入りの2種類にしました。


2026.05.12 dolmadakia with meat
ひき肉と米のフィリングを入れたドルマデスは、アヴゴレモノ(卵レモン)ソースで仕上げる方がどちらかといえば一般的なのですが、我が家のはトマト風味。夫の母方の叔母さんが作ってたのを真似て、レシピ化したものです。


2026.05.12 dolmadakia with lentils
レンズ豆入りは、シミ島の郷土料理です。夫の母方の家族に縁のあるシミ島にはドルマデスの独特な地方バリエーションが複数あって、レンズ豆やファヴァを米とあわせてフィリングにすることも。私のレシピのお手本としたのは島のビーチタベルナで昔出会ったものですが、オレンジの香りがアクセントの洗練された味わいです。


【関連記事・リンク】






ぶどうの葉のハーブライス詰め(ドルマダキァ・ヤランジ)は、「ギリシャのごはん」レシピ本にも掲載。定番料理から、お店の再現料理や郷土料理など満載なので、お手に取っていただけると嬉しいです。

「オレンジページの学校」のオンライン料理講座、一昨日開催でした。

2026.05.21
写真は講座で作った料理(青菜とトマトのは急遽増やした1品)。思ったよりかなり多くの方が参加してくださったようで、どうもありがとうございます。ライブ配信は初めてのことで、いろいろ心配でしたが、時間内に仕上げることができました。

ただ、今回の講座のテーマだった「イカリア島の長寿の秘訣やライフスタイル」についてはあまりお話しできなかったなぁというのが反省点。この記事で少し補足もしておこうかと思います。

イカリア島は北エーゲ海の小さな島で、その名前はギリシャ神話の登場人物イカロスに由来します。100歳以上の長寿人口が多い地域「ブルーゾーン」に挙げられたことから注目され、世界中から多くの人が訪れるようになりました。

以下の項目が、イカリア島の特徴として挙げられます。

・野菜・豆・穀物が中心の質素な食生活
・自家菜園を持ち、自給自足に近い
・動物性の食品は主に山羊肉や魚介類など
・ハーブをお茶として飲んだり料理によく使う
・家族や友人とテーブルを囲むのが日常
・労働や徒歩移動が日々の運動となる
・小さな島ながら、水資源に恵まれている
・島ならではの環境によるリラクゼーション効果
・コミュニティの団結力はあるが、個人主義なのでストレスが少ない
・時間や義務に縛られない
・平等であることを重んじ、欲があまりない

食生活の面ではギリシャの他の島々や田舎のそれとあまり変わらず、「地中海式ダイエット」の基となったクレタ島も健康的な食生活で知られますが、クレタ島は大きな島で食料も豊富な分、肉や動物性脂肪の摂取はイカリア島より多そうです。

人々の気質に関しては、もしその通りならかなり独特だと思うので、重要ポイントのような気がします。

興味深いのが、海賊の襲撃を避けるため、イカリア島の住民は数世紀に渡って隠れて生活していたという話。エーゲ海では古代から近代に至るまで海賊が見られ、多くの島々では内陸部に集落を作ったり、要塞を築いて対策していました。一方イカリア島では、多くの人々は島の中でも特に山がちでアクセスの悪い場所に住むことを選び、大きな岩や鬱蒼と茂る木々でカモフラージュされた小さな家を建てました。そのような家は海からは目視することができず、煙を出したりという生活の気配も極力消してひっそりと暮らしていたため、イカリア島は無人島だと思われていた時代もあったそう。

そんなイカリア島も近代化やツーリズムの波に吞まれ、島民の食生活やライフスタイル、気質も変わってきていそうです。そもそもブルーゾーンの研究結果がどれぐらい信用できるものかはわかりませんし、何をすれば・しなければ健康で長生きできるという確証もないですが、豊かな人生を送るヒントになりそうです。

ギリシャのクリスマス料理の定番というと、やはりローストでしょうか。

2025.12.25 christmas menu
大きな塊肉や丸鶏をポテトと焼いたのは普段からよく食べるけど、クリスマス感を出すならターキーなどにしたり、フルーツや栗、芽キャベツなど「それっぽい食材」を組み合わせるのがポピュラーです。

また、地方によって伝統料理はいろいろあるものの、豚肉とセロリのアヴゴレモノソースやロールキャベツといった煮込み料理も、ギリシャのクリスマス料理の定番とされます。

我が家ではその年によって気分でいろんな料理を作ってきましたが、ここ何年かはお気に入りが定まってきたかなという感じです(と言いつつ、また違うものが食べたくなるかも)。


2025.12.24 christmas eve
クリスマスイブは引き続きザキントス島のを採用し、ブロッコリーとクルラでした。
ブロッコリーを食べる風習があるというのが面白いなとただ単に思ったのと、何よりも楽なので。ちなみになぜクリスマスイブにブロッコリーを食べるのかは深い意味はないそうなのですが、ザキントスでは紫色のブロッコリーの栽培が盛んだとか。


2025.12.24 kouloura
クルラは赤ワインで捏ねてフルーツやナッツをふんだんに加えた、リング型の甘いパンです。クリスマスに食べるパンというとフリストプソモ(キリストのパン)もそうですが、スパイスなどが香ります。うちは普通に食べるだけですが、暖炉の炎の上でクルラの穴からワインとオリーブオイルを注ぎ、祈りを捧げるのが伝統。


2025.12.25 avgolemono soup
クリスマス当日のメニューも、ザキントス島のアヴゴレモノスープが気に入って今年も作りました。体調がいまいちなのと、時間がなくて数種類の肉を使ったりする本来の作り方より簡略化しましたが。


2025.12.25 sarmades
あとは、カストリア風のサルマデス(ラハノドルマデス、ロールキャベツ)と、生ハム柿ルッコラ。発酵キャベツで作る北ギリシャ風のロールキャベツは気に入っていて、キャベツを漬けるのを忘れなければ大体いつもクリスマスかお正月辺りに作っています。


【関連リンク】

有料記事ですが、今回のロールキャベツとクルラのレシピ付きで少し長い記事をnoteに掲載しています(最初の部分は無料で読めます)。


普通のキャベツで作るアヴゴレモノ(卵レモン)ソース仕立てのロールキャベツは「ギリシャのごはん」レシピ本に掲載しています。郷土料理や行事食もいくつか載せていますので、お手に取っていただけると嬉しいです。

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2025年の更新はこれで最後になりそうなので……

いつもブログを見にきてくださっている皆さま、どうもありがとうございます。
また料理教室やイベントをやりたいなとか、ニッチなテーマの本を作ってみたいなとか(編集能力がなく進んでないけど)いろいろ考えてるのですが、こちらも地味に続けていきますので引き続きよろしくお願いします。
よいお年をお迎えください。カリ・フロニャ!

今年の夏休みは予定が合わずシミ島のサマーハウスへは行けなかったのだけど、近場の島へ日帰り旅行に出かけたりしました。

2025.09.24 tzolia
Τζόλια Μάνδρας

先週は、マンドラという街で夫の仕事の用事があったので、ついでにサラミナ島へも寄ろうということに。マンドラは西アッティカのエレウシスの近くにある小さな街です。広大な松林に囲まれていて、かつてこの街の住人の多くは樹脂採集・加工業に携わっていたそう。観光で訪れるような場所ではないので日本人にはなじみがないですが、ギリシャに長く住んでる人は、2017年11月に起きた大規模な洪水被害のニュースを思い出すかもしれません。


2025.09.20 mandra1
取引先の人が別れ際に、「そこの道を曲がったとこにある教会に寄っていきなさいね」と言っていたのだけど、夫の仕事中にちょっと散歩をしてたとき、確かに街の中心の広場に立派な教会を見かけました。
後で調べてみたら、アギオス・コンスタンティノスとアギア・エレニの教会で、19世紀後半から20世紀初頭にかけてギリシャで活躍したドイツ人建築家、エルンスト・ツィラーが手がけたものだそうです。


2025.09.20 mandra2
それ以外は取り立てて何もない街という印象ですが、マンドラにはハサポタベルナ(肉屋のレストラン)や肉料理専門店がいくつかあり、おいしい焼き肉料理が食べられることで知られています。

でも肉料理よりも私が気になっていたのは、ジョリアという手打ちパスタ。イタリアのカヴァテッリに似ていて、小さく切った生地を指先で押しながら転がしてカールさせた形が特徴です。自分でも作れるシンプルなものだけど、マンドラのどのレストランのメニューにも載っているので、ぜひ現地で食べてみたかったのです。


2025.09.24 tzolia2
ジョリアは別名をゴグリエスやクルクビネスといい、地方によっていろんな名前で呼ばれるのですが、いずれもアルヴァニテスと呼ばれる人々の料理だそう。アルヴァニテスとは現在のアルバニアの領土となっているイピロス北部のアルヴァニ地方からギリシャ中部および南部に移住した人々の子孫で、中世、そして18世紀と、情勢の変化に伴う何度かの移住の波によりやって来ました。マンドラも、彼らが定住した土地のひとつ。ちなみにジョリアと似たイタリアパスタのカヴァテッリは、イタリア南部のモリーゼ州発祥とのこと。モリーゼにもトルコの迫害から逃れてきたアルバニア系の人々が暮らしているらしいので、ルーツは同じなのでしょう。




拙著「ギリシャのごはん うちで楽しむ、とっておきレシピ74」(イカロス出版)の郷土料理の章に、「南エヴィア風手打ちパスタ(Κουρκουμπίνεςクルクビネス)」のレシピを載せています。前述の通りジョリアのバリエーションですが、こちらはエヴィア島のカリストスへ行ったときに教えてもらった郷土料理で、鶏のレッドソース煮とあわせてよく食べられます。


2025.09.24 tzolia1
このように、同じアルヴァニテスのパスタでも、地方によって生地の配合、大きさ、食べ方が少し違っていたりします。マンドラでは、レストランで出されているものや市販品の写真を見た感じ、小さめに成形するよう。食べ方はシンプルにバターとすりおろしチーズですが、焦がしチーズをあわせたりもするようで、このテクニックはペロポネソス半島南のマニのチュフティというパスタ料理を思い出したりもしました。


2025.09.24 tzolia3
マンドラでの用事を終えたらサラミナ島へ向かう予定だったので、もしレストランが開く時間までかかったら、ジョリアをテイクアウトしよう……とか考えていたのですが、昼前に用事が済んでしまったので、残念ながらまたの機会に。食べたい気持ちを鎮めるため、後日自作しました。


2025.09.24 tzolia4
マンドラのジョリアはシンプルに小麦粉と水、少しの塩とオリーブオイルで生地を作って寝かせ、ひも状にのばしたのを短く切って成形します。成形は、グレーターの一番細かい目の面を使う人が多いよう。結構簡単にできて、なかなか楽しいですよ。羊バターで炒めた焦がしミジスラ(※)と、そのままのミジスラのダブル使いで仕上げてみました。小さなお団子のようなもっちりしたパスタに、バターやチーズの豊かな乳製品の風味が絡む、シンプルだけど味わい深い一品です。


2025.09.24 tzolia5
私は肉料理レストランに行きたい気分になることがあまりないため、マンドラのお店紹介記事など見てもあまり気に留めたことはなかったのだけど、こうやっていろいろ繋がると俄然興味が沸いてきますね。もうひとつ気になったのは、エヴィア島カリストスの辺りの名物料理にティロピタリと呼ばれる大きめの揚げチーズパイがあるのですが、マンドラのレストランにもジョリアと並んでティロピタリが定番なのです。同じようなチーズパイはギリシャ料理にあるものの、ただ単に呼び名の地方バリエーションというだけでなく、アルヴァニテスの料理なのだろうなぁとわかって、ふむふむとひとり頷いたのでした。

※ミジスラチーズはリコッタチーズのようなフレッシュタイプと塩をして熟成乾燥させたタイプがあり、今回の記事に出てくるのは後者。すりおろしてパスタにかけたりする使い方が一般的です。リコッタ・サラータや、低脂肪のハードチーズで代用できるかと思います。

断食期間もそろそろ大詰めだしニスティシマ(ギリシャの精進料理的なもの)でいいや......と、豆料理多めにしてたらクレームが発生しまして。

2025.04.10 pastitsada
主に復活祭用にと先日買って小分けしておいたラムの、すね肉の部分を使って昨日はパスティツァーダにしました。

パスティツァーダは通常牛肉や鶏肉(特に雄鶏で作るのがおいしい)で作られるケルキラ島の郷土料理で、スパイシーなトマトベースのソースで肉をじっくり煮込んだもの。家族みんなで集まってゆっくり楽しむ日曜の食卓によく登場する料理です。

全国的に見かけるコキニスト(レッドソース煮)の肉料理のバリエーションですが、ケルキラ島のパスティツァーダはより多くのスパイスを使うのが大きな特徴。家庭によってこだわりのスパイスブレンドがあったり、スパイスミックスが市販されていたりもします。


2025.04.10 pastitsada1
じっくり煮込んでホロッとやわらかくなった肉と濃厚なソースは、パスタにたっぷり絡めて味わうのが定番。ブカティーニやチューブ型のショートパスタ、もしくは太いスパゲッティが合います。

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比較的短時間で簡単に作れる、手羽元を使ったメゼヴァージョンのレシピを「おうちでギリシャ居酒屋」に掲載しています。
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本では肉だけの盛りつけですが、もちろんパスタと一緒に食べたり、ポテトやパン、ライスと食べてもおいしいです。


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