ギリシャのごはん

ギリシャ料理のレシピと、ギリシャで私が作っているごはんの記録。

タグ:郷土料理

この夏のバカンスではいつものシミ島のあと、サモス島にも立ち寄りました。そこの郷土料理のひとつが、細長い形をした玉ねぎに米などの詰め物をしたクレミドドルマデスです。

2024.09.05
Κρεμμυδοντολμάδες Σάμου

玉ねぎのドルマデスまたはイェミスタ(地方によってはそれ以外の名前で呼ばれることも)はギリシャの島々で結構よく見かける料理なのですが、サモス島のそれは特産品である細長い形をした玉ねぎを使うのが特徴です。


郷土野菜にはザキントス島のネロクレミド(水たまねぎ)のように全国のスーパーで見かけるようになったものもありますが、生産量が少なく地元でしか消費されないものもあり、サモス島の長い玉ねぎは現地でも売っているところが限られるよう。

samos onions
いくつか見て回ったスーパーや八百屋には普通の玉ねぎしか置いてなかったけど、夫の仕事関連でたまたま行ったカルロヴァシで、道を訊くために車を停めた場所にたまたま特産品マーケットがありそこで発見。早々に目的を果たすことができ、玉ねぎを旅の供にうきうきで島を巡ったのでした。

ちなみに特産品屋外市場という大きな看板が出ていたものの、駐車場の端に屋台がぽつんとひとつだけ。たまに来る客の相手をしつつ、店番の女性がのんびりといんげんのヘタ取りをしていました。

この玉ねぎは島の南東のクメイカという村やマラソカンボスの辺りで栽培されているそう。何曜日にやってるのかは知りませんが、青空市場でよく売っているようです。

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今回の旅ではレストランで食べる機会はなかったので、市場の女性に聞いた話など参考に、アテネに戻ってから自作しました。「別に、ロールキャベツと同じだよ」とのことでしたが、風味付けにオールスパイスを使うのが特徴でしょうか。彼女はディルとパセリを入れると言っていましたが、ハーブはフェンネルを入れる人も多いみたいです。


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まあまあな量の玉ねぎを買ってきたので、半量を炒めた挽き肉入り、半量を肉なしで。肉入りの方のハーブはフェンネルとパセリ、肉なしはディルとパセリにしてみました。どちらもちょっと多めのオールスパイスと、控えめな量のトマトペーストを使った味つけ。包むのに使えない玉ねぎの中の層(少なければ普通の玉ねぎも足し、玉ねぎ多めにして甘味を出します)は刻んで炒め、フィリングに加えます。

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こちらは肉なし。トマトペーストを入れたつもりだったけど、やけに白く見えるから忘れたのかも?


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お味の方は、特にひき肉入りのが親しみやすい甘辛味といった感じでよかったです。


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サラダはトマトときゅうりにスベリヒユ。暑いのにうんざりしながらも、食べものに関しては、秋の実りよりも夏をもうしばらく感じていたい気持ちが優勢です。


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前回の記事「おうちでギリシャ居酒屋」の続き。パスパラスというケア島の郷土料理をそのうち作ろうと、ずっと思っていたのですが、去年の今頃ケア島に行ったなぁと思い出していたタイミングで食材も巡ってきました。

2021.08.08 paspalas
Πασπαλάς Κέας

パスパラスと呼ばれる食べ物はギリシャのいろんな地方にあるのですが、そのほとんどは豚肉で作られる保存食。ケア島のパスパラスは、豚を捌いたときに出るくず肉や脂の部分をコンフィのように加工した保存食、そしてその保存食を入れて作るトマト入りスクランブルエッグのことも指します。

こういった保存食は作っておくと便利ではあるものの、今の私の料理スタイルでは「そのまま食べるにはあまり適しないけど捨てるに忍びないもの」をなんとかしたくて肉の脂身など簡単に塩漬けにしたりしているので、本来の目的である「食材を余すところなく活用する」というのを小規模にやっている感じでしょうか。


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今回ほんの少しだけ作ったパスパラスは、私の家族が食べないポークチョップの周りの脂の多い部分を使ったもの。適当に小さく切って、塩こしょうをまぶして1〜2日ほど置き(※)、鍋かフライパンに入れて軽く炒め、ひたひた〜少しかぶるくらいの水とベイリーフ、オールスパイスを数粒。肉が柔らかくなって、水分が蒸発し肉から出た脂で煮てる状態になったら、少し色づくまで炒めて完成。最後の方でセイボリーまたはタイムを加えます。


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保存食としては肉が空気に触れないように脂で覆われている必要があるけれど、数日内に使うなら特に気にしなくて大丈夫。

※肉に下味をつけずに鍋に入れ、水と調味料を加え煮る方法もあります。

料理の方のパスパラスは、パスパラス(保存食)とトマトを炒め、トマトの水分が飛んだら溶き卵(塩こしょうと、私はワインビネガーも数滴加えます)を加えスクランブル状に炒めてできあがり。好みでハードチーズのすりおろしを少し散らしてもいいです。

分量は適当ですが、茶碗に軽く1杯ぐらいのパスパラスに、小振りなトマト1個、卵2個ぐらいの割合です。

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最後に、ケア島の写真をいくつか。

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ケア島行きのフェリーが出るのがアテネからちょっと遠い港なんですが、1時間ほど(だったかな?)で着くので日帰りでも行ける島のひとつです。

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人もあまり多くないので、素朴な島でのんびりしたい方におすすめです。

2023.08.12 kea2
波が穏やかな海も。

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島のシンボル?ライオン像も見に行きました。結構近くまで車で行けるんですが、集落から徒歩で行くのは夏場はちょっときついかも。

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こちらは、ケア島のレストランのパスパラス。この時他に頼んだのはルゥザという豚加工品や、青菜パイ、地元のチーズなど。ルゥザはキクラデス諸島で作られる生ハムのような保存食で、島によって材料や作り方が少しずつ違うのですが、ケア島のそれはオールスパイスがほんのり香る味わいでした。
ごく薄く切った方が美味しいと思うのだけど、以前いただいたシロス島のもこれぐらいだったので、ギリシャでは厚切り寄りがスタンダードみたいです。

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デザートにサボテンの実のジェラートを買って食べつつ、沈みつつある太陽をビーチで眺めてから岐路につきました。


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この一週間はかなり慌しく過ごしていましたが、無事に復活祭を迎え、ようやくひと息ついているイースターマンデーです。

2024.05.04 easter sweets
うちは家族の食べ物の好みが結構バラバラなため、こういう行事の時はみんなが好きなお菓子の方に力が入ります。今年も沢山作りましたが、オーブンから出た途端に手が伸びてくるので「すぐ食べてもいい分」をキッチンに置いておくのは必須です。


2024.05.04 easter sweets1
ほんのり甘く、香りのいい菓子パンのチュレキと、イースタービスケットは絶対に外せない定番。どちらもやさしい甘さなので、日本人にも受けるギリシャのお菓子です。我が家オリジナルのサワーチェリーとチョコのチュレキは家族の大好物なのでできれば2つは欲しいのだけど、今年は控えめに1個だけにしたら案の定足りなかったみたい。もうすぐサワーチェリーの時期なので、ドライチェリーを多めに作らなければ。


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チョコは中に入れてるダークチョコだけでもいいかなとも思いましたが、やっぱりホワイトチョコはあった方が断然おいしいです。ビニール袋に入れて溶かし、そのままかけるだけと簡単ですしね。

イースタービスケットは昔知人のお母さんに教えてもらったレシピでずっと作っています。他のレシピを試してみたり、このレシピをアレンジや改良してもいいのだけど、こういうお菓子って思い出も味のうちなのですよね。日本向けに膨張剤をアンモニアの代わりにベーキングパウダーにした(うちではアンモニアで作っています)以外は配合はいじってなくて、やさしい味のビスケットです。バターはギリシャならケルキラ島タイプなど、ミルクの香りがしっかり感じられるものを使うのがポイントです。

もうひとつ、ここ何年か復活祭のお菓子盛り合わせに参加させてるのがシミ島のブティレーニャです(奥の大きな輪っか)。夏のバカンスの時は島のベーカリーで買ったのを朝食やスナックにいつも食べているお気に入り。シミ島には他にもいろんな伝統的なお菓子があって、今回はザハレーニャという粉砂糖をまぶしたクルラキァも食べたくなったので作りました(一番手前に並んでいるもの)。レシピはそのうちどこかで紹介しようと思いつつ、載せてませんが……いつか機会があれば。

あとは復活祭といえばフレッシュチーズのお菓子も欲しいなと作ったサントリーニ島のメリティーニャという甘いチーズパイと、いつもの茶色いイースターエッグ。カラフルなイースターエッグも巷に溢れてますが、やはりギリシャのイースターエッグといえば伝統的な赤。染料を買って作るほど大量にもいらないし、玉ねぎの皮で赤茶〜茶色になるまで煮て作ります。赤いのは出来合いのを少しだけ買ってくるのだけど、今回は気が変わって自作のだけ。ちょっとヒビが入ってしまった(そして色が薄い)のをチュレキの飾りにしました。


2024.05.05 easter breakfast
ささやかな朝食バイキングがちょっとうれしい、復活祭の連休です。


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昨日は聖枝祭(パームサンデー)でした。今週は受難週で、復活祭へのカウントダウンに入った感じ。

2024.04.28 salt cod pie
Μπακαλιαρόπιτα

聖枝祭は魚を食べていい日なので、節食はしてないけど食べたかった魚の料理を作りました。

3月25日の魚食の日と同じく干し鱈を使い、今度はケファロニア島の干し鱈パイ。作るのは数年ぶりで、レシピは書こうと思いつつ作り方が定まってないのでなし。でも、いい加減ざっくりでも書いておかないとまた次回困りそう……。


2024.04.28 salt cod pie1
ケファロニア島のパイは厚めのフィロで作るどっしりとしたもので、肉のパイや魚介のパイなどがよく知られます。フィリングにつなぎ的な役割で米を入れるので、素朴なフィロと相まって食べごたえあり。

前回(関連記事参照)は葉にんにくも入れて作ってみたのだけど、今回はなしで青菜とさまざまなハーブを入れました。


2024.04.28 salt cod pie2
青菜は残ってたふだんそうを使いましたが、花が咲き始める前の若いひなげしの葉を使うのが好きです。鱈の旨味に青菜やハーブの香りが合わさり、春を感じられるお気に入りのパイのひとつです。


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明日はラザロの土曜日(ラザリのスボタ)。日曜は聖枝祭でいよいよ復活祭まであと一週間となります。

2024.04.24 lazarakia1
行事にちなんだ食べ物としては、レシピ本で紹介したラザラキァというパンを作る地方がいくつかあります。夫の母方の家族に縁のあるシミ島はじめドデカニサ諸島ではよく見られるものですが、全国的にはあまり知られていなかった風習。近年はギリシャのレシピサイトやニュースサイトなどで紹介されてたりして知名度が上がっているようです。

本当は金曜に焼けたらよかったのだけど、いつも金土は慌しいのでなかなか時間が取れず……今年は前倒しで週の半ばに作ってしまいました。

布でぐるぐる巻きにされたラザロの姿を模した形をしていればいいので、生地の配合などはこれと決まっているものはなく、スパイスがほんのり香るタイプが多いよう。リーンな生地にする人もいますが、うちでは菓子パンっぽく作っています。復活祭までは動物性食品を摂らない期間なので、卵やバター、ミルクなどは入れないこと。


2024.04.24 lazarakia2
今回はココナッツのフィリング(※)入りで。本に載せてるのはくるみや干しぶどうを使ったものですが、どちらもおいしいです。

※フィリングは必ずしも入れるというわけではなく、味的にはあった方がおいしいですが、なしで作る人の方が多いです。

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ラザロのパンのレシピはこちらに掲載しています(リンクはAmazon)。ポピュラーな定番ギリシャ料理から珍しい郷土料理まで幅広く紹介していますので、ぜひご活用ください。

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